ずぶり

其の二十 禁断の門


 山賊達は黒々とした叢をかき分け、女体の神秘が秘められた『門』の上に来ていた。 そこに立って、岩壁にぽっかりと口をあけた出口を見や

る。

 「頭……」

 「うむ」

 巨大『ずぶり』は足を大きく広げて、岩壁に足の裏をあずけており、『ずぶり』の足と岩壁で砂地が三角に区切られていた。 ここで下に降りる

のが最短距離だが、ここからは砂地の上を歩くことになる。

 「ふとももの上を進んで、すねの上を行きやすか」

 三平が『ずぶり』の足を示す。 砂地をできるだけ避けるにはそれが一番だ。

 「しかし、すねの上は狭い……足を滑らせて外側に落ちたらそれまでだ」

 「そうですが……あっ、頭! 下に岩が見えやす」

 三平の声で皆が下を見た。 『ずぶり』の秘所の辺りから、砂地の中から岩肌が覗いているのが見えた。 それが渡り廊下の様に出口まで続

いている。

 「あの上を渡っていけばだいじょうぶでやすよ」

 「そうだな」 頭が頷いた。


 「じゃ、じゃあ『ずぶり』の……アレを伝わって降りると?」 三太が顔を赤くしながら言った。

 「うぶな野郎だ」頭は顔をしかめた。「いまさら女の……なぞ珍しくも無いだろうが」

 「そりゃそうですがね……こんなでっかいのは……」

 言われて一同は下を見る。 彼らの足元の辺りから下に向けて走る亀裂は、当然ながら艶かしい色と形をしている。

 「……」

 奇妙な沈黙が彼らの間に漂う。 その雰囲気に危いものを感じ、頭は乱暴に三太をどついく。

 「つまらんことを考えるな!」


 山賊達は、秘所と足の間に手足を突っ張って下りていく。

 (や、やわらかい)

 ゴスッ!

 余計なことを考えると、上にいる者が容赦なく蹴りをいれる。 おかげで全員が無事に下に降りられた。

 「残ったのはわっしを入れて四人……三平、三太、三蔵……三ばっかりだな」 

 頭はわずかに残った手下達を見回し、次に背後を振り返り、そびえ立つ『ずぶり』の秘所に一瞥をくれる。

 「……あばよ」

 彼らは『ずぶり』に背を向けた。


 ”いってしまわれるのですか……”

 ねっとりとした囁きが耳に絡みつく。

 彼らは足を止め、ゆっくりと振り返る。

 「……」

 『ずぶり』の秘所が細く開き、そこに白い着物を着た一人の女が佇んでいた。

 「お前は……『ずぶり』なのか」 頭がぎょろりと目を剥いた。 「地蔵の奴……地蔵光線とやらは役に立ってねぇじゃねぇか」

 「『お約束地蔵様』のせいではありませんわ」 女は微笑む。 「よく御覧なさい。 ここは陰になっておりますのよ」

 言われてみれば、地蔵のいる岩棚ははるか向こう。 『ずぶり』の秘所の辺りは長い影の中に入っている。

 「げっ!…」 山賊達は思わずあとずさる。

 「そんなに嫌わなくてもよろしゅうございますよ」 くすくすと『ずぶり』は笑う。 「嫌がる殿方を手篭めにする事はありませぬから」

 「な、何を言ってやがる!? 岩棚からここにまでの間に何人お前達に……」

 「まぁ、わたくしのからだに直に触れ……それどころか私の上にのっておいてその気はないだなんて……それに、あの方達はみな拒みません

でしたが?」

 「……拒む前にお前達に捕まったんだ! それ以上近づくな!」 頭が怒鳴る。

 「ええ、近づきません。 ですから……」 女はにいっと笑う。 「おいでなさいませ」


 巨大『ずぶり』の秘所がすうっと口をあけ、淫猥な肉襞で覆われた内部を山賊達の目の前にさらけ出す。

 「な……」

 まったく動かない巨大『ずぶり』の体と対称的に、てらてらと光る粘液で覆われた肉襞は大きくうねり、ときにさざなみの様に震える。

 そして、『ずぶり』の奥から無数のうめき……いやあえぎ声が聞こえて来た。

 ああ……あぁぁぁぁぁぁ……

 ひい……ぃぃぃぃぃぃ……

 「あ、あの声は一太兄ぃ……き、九蔵か?」

 「皆様あのように歓んでおられます……さあ……」 『ずぶり』は手招きをする 「おいでなさいませ……」

 『ずぶり』の姿が揺らめき、山賊達は秘所の奥から流れ出ては来た生ぬるい風に包まれる。

 「ば、ばかを言う……」頭は拒絶しようとして、口がうまく回らない事に気がついた。 それだけではない。 体が泥の中に使ったように身動き

ができない。

 ”おいで……さあ……” 『ずぶり』、いや巨大『ずぶり』の秘所が彼らに囁く。

 ”おいで……中に……”

 ”おいで……わたしの中に……”

 「ひっ?……」

 「あ、足が……ま、前に……」

 「お、お前ら……おい!」

 頭を除いた三人は、引きずられるようにして、一歩、また一歩と前に出ていく。


 「おいでなさいませ……」 『ずぶり』は近寄ってきた三太にそっと手を伸ばし、指先で顎の下に触れる。

 「ひ……」

 『ずぶり』は三太を軽く引き寄せ、唇を重ねる。

 「んーっ!んーっ!」

 『ずぶり』甘い息が唇から滑り込み、三太の胸を満たす。

 膝が砕け、地面に突っ伏す三太。 その手が泥のようなものに触れた。

 「わっ!?」

 見れば、巨大『ずぶり』の奥から、とろとろと肉色の粘液が流れてきていた。 三太はそれに手を突いたのだ。

 ”うふ……”

 肉色の粘液の表面に、女の顔が現れて喘ぐ。 これも『ずぶり』だった。

 『ずぶり』は三太の指に絡みつき、腕を上ってくる。

 「うわうわうわ……く……うう……」

 拒絶の言葉を吐こうとした三太。 その口に『ずぶり』がベタリと吸い付く。 次の瞬間、三田は見事な乳房に顔を埋めていた。

 「もごご……」

 三太は体勢を崩し『ずぶり』の中に顔からつっこむ。 『ずぶり』はうねって三太に絡みつき、様々な女の形を作って三太のあちこちを摩り、咥

え、そして吸う。

 「ひァ……あぅ……ああ……」 三太は異様な快感に捕らえられ、次第に溺れていく。

 三太は『ずぶり』に弄ばれながら、巨大『ずぶり』の秘所の中に流されて行った。

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