ずぶり

其の二十 奈落へ


 ぴちゃぴちゃ……ぺちゃぺちゃ……

 五太と女の顔は、獣の様に互いを舐めあう。

 そのうち、女の顔は次第にのっぺりと形を失い、やがて『乳首』に戻ってしまった。

 だが虜になっている五太は、かまわず『乳首』に抱きつき、その先端に顔を埋め、髭をすりつけ舌を突き刺す。

 ああ……たまりませぬ……

 そこ……そこをもっと……

 五太の足元、『乳が丘』の深みから喜びの声が響いてくる。

 「ここかぁ……ここかぁ……」

 五太は『乳首』に頭を押し付けた、軽くかむように咥えた。

 じゅば……

 と、『乳首』の先端がじょうごの様に開き、五太の頭を咥え込んでしまう。

 もごう……もごもご……

 その様子は、さながら大蛇が人を呑もうとしているようであった。

 しかし五太は慌てる様子もなく、『乳首』の内側を舐めていた。

 ああ……ああ……ああぁぁぁ……

 びくびくと『乳首』が震えつつ、どろりとした『乳』をその奥から吐き出す。

 五太は乳まみれになりながら『乳首』から解放され、よろよろと後図さってしりもちをついた。


 「阿呆!何してやがる!」 「早く逃げろ!」

 へ……っ?

 五太は声のする方を見た。 薄情な頭と仲間の山賊達は、とっくに『乳が丘』をおり、ふもとから五太を呼んでいるではないか。

 「頭……いけねぇ……逃げないと」

 ふらふらと立ち上がる五太。 が、その背中に『乳首』が蛭の様に吸い付いた。

 「ひっ!……」

 いや……いかないで……

 『乳首』が五太に囁きながら、ふにふと背中を嘗め回す。

 あへぇぇ……

 下半身に心地よい痺れがはしり、ひざがくだけて五太は後ろ向きに倒れる。

 ふわり……

 背中が柔らかな肉に受け止められた。 『乳首』の丈が詰まり、径が大きくなって五太を受け止めたのだ。

 ぬるぬるぬる……

 『乳首』は興奮しているのか、ねっとりとした『乳』を間断なく流している。 そして捕まえた五太に乳を塗りつけ、そのからだを揉み解している。

 ぁぁ……ち、力がはいらねぇ……

 頭がくらくらして、意識がまた乳色に染まっていく。

 五太はあらん限りの力で、手足を動かそうとしたが、わずかに手が上下しただけだった。


 ふわり……

 不意に天地が逆転し五太の体が裏返った。 今度は正面から『乳首』の上で弄ばれる。

 ふにふにふにふに……

 果てしなく続く柔らかい乳首の責めに、五太は体の芯まで柔らかくなっていくような錯覚に陥った。

 「ふへ……ふは……ふひ……うっ……」

 固くなった男根が『乳首』の中にはまり込んだ。 滑る感触が絡みつき、腰の辺りに甘い疼きが広がっていく。

 「ハァ……はぁ……はぁ……」

 体が勝手に動き、更なる快感を求めて腰が動く。 そして……

 ずぶり……

 「ひっ……」

 腰の辺りが『乳首』に沈んだ。


 ずぶり……

 うひっ…… 


 ずぶり……

 ひあっ…… 


 五太の体が『乳首』に呑みこまれていく。 思わず手を突き、体を抜き出そうとする。

 ずん……

 うっ……

 『乳首』の内側にある下半身から衝撃が、熱い快感の一撃が伝わって来て、五太の動きが止まった。

 ふにふにふに…… むぐむぐむぐ……

 硬直した五太は、そのまま『乳首』に咀嚼されるようにして、『乳が丘』の中に呑み込まれてしまった。


 ふぁ……

 白い闇の中で五太の意識が戻ってくる。

 目の前におっぱい…… 意識せずそれに顔を摺り寄せる。

 ふにふにふに……

 全身をくすぐる柔らかな感触…… どうやら、無数のおっぱいに埋もれているらしい。

 うふ…… ふふふ…… うふふふふふふふ……

 妙におかしい。 感じるままに全身をおっぱいに擦り付ける。

 びゅくびゅくびゅく……

 生暖かい乳が全身を包み込み、そしておっぱいが全身をくすぐる。

 うふ…… うふふ…… うふふふふふふふふ……

 体の力が抜け、意識がふわふわと頼りなくなっていく。 そしてじわじわと蕩けるような心地よさが体に染み込んでくる。

 うふ…… あは…… あぁぁぁ……

 溶けていく…… 自分の形が溶けて…… そして混じってくる奇妙な優しい何か……

 ああ…… ぁぁぁぁぁ……

 『ずぶり』だ。 『ずぶり』が五太に混じってきた。

 名状しがたい優しさ、穏やかさ、そして女の体が感じる快楽。 それが五太に混じり、そして彼を蕩けさせる。

 ああ…… ぁぁ…… ぁ……

 そして五太は『ずぶり』のものになった。

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