星から来たオッパイ

PartE (2)


 「ふ−む、ソーラーセイル、スイグバイで加速し、恒星系からの脱出速度を得る……」

 「でもソーラセイルは恒星風、スイングバイは天体重力を利用するので、恒星から離れると慣性飛行、事実上『漂流』状態になります。 ロケットを持って

いれば加減速は可能ですが、推進剤が必要で、それがなくなれば終わりです。 しかし推進剤を必要としない『重力加速』が可能であれば、ごく微小な

加速でも無限に加速できるのでは?」

 「エネルギーが必要でしょう」 天文学部の学生が言った。

 「核エネルギーか、星から届く光を蓄えればどう? 高性能の太陽電池が必要になるけど」

 その場の全員が腕組みし、考え込む。 教授が口を開く。

 「『重力加速』を除けば、地球の技術の延長で実現可能だな」

 天文学部の学生たちがざわめきだした。

 「そ、それって……他の星、いえ、他の恒星系にいける宇宙船が作れるってことですか!?」

 興奮する学生を、教授が宥める。

 「結論を急いではいかんよ。 エミ君の言うところ『重力加速』が可能だとしても、隣の恒星系に到達するには数百から数千年の時間が必要だろうて」

 「なんだ」

 学生たちの興奮がいっぺんに覚めた。 エミが後を引き継ぐ。

 「私もそう思います。 しかし、キキさんたちを送り出した……『タァ』でしたっけ? そこから地球に向けてカプセルを送り出した後の成功率が、相当高くなる

のでは?」

 「確かに、数万年かかるところが、数千年になれば10倍、数百年ならば100倍。 大変なスピードアップだ」

 「ちょっと待ってください」 太鼓腹が皆の注意を引いた。

 「確かダークマター仮説についての話から、かなりの論理の飛躍で『重力加速』の話が出たんですよね? 『タァ』のカプセルにはそう言った装置は見つ

かっていないでしょう?」

 「それはそうだ」 教授が太鼓腹の言葉を肯定する。

 「ただ、『タァ』のカプセルの装備のうち、半分以上は用途すら判っていない。 試しに動かしてみたが、『何も起こらない』とされた装置が結構あり、調査が

継続している。 その中に微弱な重力を作り出す『重力加速』推進機があったとしても、判らないだろう」

 「『タァ』星人の超技術ですか。 凄いなぁ」 一人の学生が呟いた。

 「いや、『タァ』と言うのは星の名ではなく、彼らの世界を示す言葉らしい。 『タァ』ユニバースというのが近いかな」

 「『タァ』ユニバース人ですか?」

 しばらく教授と学生たち、エミは討論を続けたが、現時点では願望混じりの推定に過ぎないため、最後は雑談になって終わった。

 学生たちが退出するのに合わせ、エミがその場を辞そうとしたとき、教授のスマホが鳴った。 教授は電話に出ると、何事か英語ではない言葉で話し

始めた。 退出のタイミングを失い、エミは何となくその場に留まる。

 「……」

 教授は首を振りながら、スマホを切った。

 「お忙しいようですね」

 「ん? ああ、そうだね……しかし……」

 教授が言葉を濁すのを見て、エミは首をかしげた。

 「何か気になることが?」

 「北極海に面した国の海岸に、裸の女性の遺体が漂着したとらしいのだが……司法解剖を行った機関から意見を求められた」

 「はぁ? 何故です?」

 「どうも地球の人間の死体ではではなかったらしい」

 
 −−某国 北極海に面した集落の海岸−−

 女達に『捕まった』子供たちは、海岸に連れて来られた。 うち一人は女に抱えられていた。 彼の体はミイラの様やせ細り、身じろぎすらしない。 目が

動かなければ、ミイラそのものにしか見えなかった。 彼は大人しく女に抱えら、赤ん坊の様に女の乳首を咥えてじっとしている。 一行は砂浜を歩き、

波打ち際で足を止める。 沖の方にクジラの背中のような黒い物体が見える。 女達を食んできた『カプセル』だ。 それがこちらに向かってきた。

 ザザー……

 『カプセル』の起こした波が一行の足を濡らす。 波が引くと、一行は『カプセル』に近づいた。

 (潜水艦?……)

 (なんだろう?……)

 子供たちの心に疑問が浮かぶ。 しかし、頭がボーっとして断片的な思考が形にまとまらない。 子供らは、危なげな足取りで女達に続いて『カプセル』に

入った。

 
 (あったかい……)

 『カプセル』の中は、快適な温度に保たれていたが、湿気が多いようだった。 『カプセル』の中ほどにある部屋に入った。 部屋の中央には、乳首を

上にした乳房の形をした物体が幾つもならんでいる。 人ほどの大きさのそれが、ヤングとポールをドローンに変えた物体だったが、子供らが知るはずも

なかった。

 「お前はここで眠っていなさい」

 女はミイラの様にやせ細った子供を、乳房の一つの上に、座らせるように置いた。 すると乳首大きく広がり、上に乗った子供の体を呑み込んでしまった。

 「わっ……」

 その光景に一人の子供が驚きの声を上げた。 しかし、誰も逃げ出す様子もなく、その場に佇んでいる。 その間に、やせた子供の体は乳房の中に、

完全に呑まれてしまった。

 タプン……

 乳房の中は暖かく、乳臭かった。 やせた子供は、女から離された直後から、息苦しさを感じていたが、乳房の中に呑み込まれると、息苦しさは拭った

ように消える。

 (ふぁ……)

 暖かくトロリとしたクリームのような乳が、体を積み込む。 心が安らぎ、思考が止まる。

 (いい気持ち……)

 やせた子供は目を閉じて、幸せなまどろみの中に浸る。

 
 「お前とお前。 こちらにおいで」

 女が二人の子供を指さした。 二人は女の後について、部屋の隅にある扉をくぐる。 中は薄暗くてよく見えないが、さほど広くはないようだ。 二人は、

何となく壁際に拠った。

 フニャ……

 背中が柔らかいものに触れたのが、服を通してわかった。 女が手を回すと、部屋の中が柔らかい光で満たされた。

 「わっ」

 「おっぱいだらけだ?」

 そこは4m四方ほどの広さがあり、壁と天井にはスイカほどの大きさの『おっぱい』が密集していた。 『おっぱい』の形をした茸が群生している様にも見える。

 異様な光景に、二人はきょろきょろと辺りを見回す。

 「服をお脱ぎなさい」

 女が二人に命じた。 二人は一瞬きょとんとしたものの、すぐに女に言われた通りに服を脱いだ。 パンツを残したのは、恥じらいが残っているからだろう。 

あまり栄養状態がよくないらしく、骨の浮き出た二人の体を、女がじっくりと見聞するように見つめる。 ボットン……

 天井から、大きな塊が降ってきた……と思ったら、それは天井に生えていたおっぱいだった。

 ボットン、ボットン、ボットン

 立て続けにあと3つのおっぱいが降って来た。 おっぱいは大きなボールのように床の上でバウンドし、乳首を上にして床に転がった。 二人の子供が、

そのおっぱいを見つめていると。 それは這うように近づいてくる。

 「え……」

 一人が後ずさる……が背中が壁のおっぱいに突き当たり、そちらに注意がむく。 その間に、床を這いずっていたおっぱいは、意外な速さで二人の足に

たどり着き、その足を上り出した。

 「え?」「わ」
 二人の子供は子かを上げたが、そのまま凍り付いたように動かなくなった。 おっぱいは大きなカタツムリの様に二人の体を上り、その胸に二つずつが

吸い付いた。

 「きゃっ」

 「お、重い」

 胸に吸い付いたおっばいの重みに、二人ともその場に座り込んでしまった。 自分の胸をみると、おっぱいが胸にしっかりと吸い付いている。 日焼けした

子供達の肌と、白いおっぱいの間にくっきりとした境界線が出来ている。

 「く、くすぐったいよ」

 「んー」

 二人は、おっぱいの張り付いたところがくすぐったくなってきたのを感じ、おっぱいを掴んで引きはがそうとする。 柔らかいおっぱいにに指が深々と食い

込むが、滑ってしまい、引きはがすことが出来ない。 そうこうしているうちに、二人はおかしな感覚に襲われた。

 「痛っ……」

 「えっ?」

 自分の指が、胸に食い込む感触があった。 改めておっぱいと自分の胸の間をみてみると、境界線がぼやけ、自分の肌に白い色が広がってている。

 「な、なにこれ……」

 「こ……あ……」

 一人の子供の指が滑り、張り付いたおっぱいの乳首に擦れた。 途端に、深い歓びの感触が胸から伝わって来た。

 「あ……あん……」

 細い声で喘ぎつつ、彼は自分のおっぱいの乳首に指を押し当て、指先で転がしてみた。 こんどははっきりと、深い快感がおっぱいから伝わってくる。 

いや、自分のおっぱいが感じている。

 「か、感じる……」

 「ククッ……気持ちいい?」

 女の問に、乳首を弄っていた子供がコクコクと頷いた。

 「遠慮せずに気持ちよくなりなさい……」

 「うん……」

 子供はコクンと頷くと、大胆に乳首を指で弄り出す。 足を投げ出して、トロント目を潤ませ、甘い喘ぎを漏らす。 そして、日焼けした肌は、おっぱいの

張り付いたところから、どんどん白いく変わっていく。

 「な、なんだよ……これ……」

 もう一人は、驚きの為か正気を取り戻しかけていた。 恐怖の眼差しで、隣に座り込んでおっぱいを弄っている自分の友人を見ている。

 「そのおっぱいは、新しく作り出したものよ」

 女の声にも彼ははっとしてそちらを見た。

 「それは体に張り付いてその人間と同化し、その人間を私達と同じ、ドローン女に変えるのよ」

 女は、あられもない姿勢でよがっている子供の方にて手を添え、横たえてやった。 かれは、夢中になっておっぱいを弄っていいて、その体は半分以上が

おっぱいと同じ、白い色に変わっていた。 色だけではない。 体つきが丸みを帯び、ふっくらとしてきている。

 「おい……」

 もう一人の子供は、床に横たわった友人に声をかけた。 その彼の指も、いつの間にか自分の胸に伸び、そして乳首を弄り始めている。

 「ゆっくり楽しんで」

 女が艶然と笑う。

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