星から来たオッパイ

Part.A (4)


 「こんなの……初めてだ……」

 若い男は呟いた。 普段はならば下半身に集中する快感が、全身に広がり、果てることなく続いている。

 ドクッ、ドクッ、ドクッ……

 少女の中に納まった彼自身がヒクヒクと震え、尽きることなく精を吐き出す。

 (ああ……俺の体がでっかいアレになったみたいだ)

 体に広がる快感に思考が止まり、彼はただ快楽を貪るだけの肉の塊と化す。

 …………

 ……

 …

 
 ドロッ……

 脈動が止まったモノを、少女の秘所が吐き出した。 彼女は優雅なしぐさで立ち上がった。 はずみで若い男の体が床に転がる。

 (……随分育ったな……)

 彼女はもう少女ではなく、20前後の若い娘になり、豊かな胸が重々しく揺れている。

 (……あれでしてもらえたらなぁ……)

 男として率直な妄想を思い描いていると、息が苦しくなってきた。

 (……ぐ……このまま死ぬのか……)

 じわじわと恐怖がせり上がってくるが、体を動かすどころか、声を出すことすらできない。 かろうじて動く目だけが、あちこちをさ迷う。

 ”ふ……”

 娘が微かに笑ったようだった。 彼女は男の傍らに膝をつくと、その体を軽々と担ぎ上げた。 手足が力なくだらりと下がる。

 (……げ)

 彼の手足は、パイロット同様に骨と皮だけになっていた。 体の中身のほとんどが、娘に吸い取られてしまったらしい。

 (どうする気だ……)

 口を開くが、声は出ない。 娘は、彼の体を部屋の中央の『クラゲ』の傍に運ぶ。 2つの『クラゲ』はパイロットと『姐さん』を呑み込んで、『おっぱい』の様に

膨れ上がっている。 娘ははその隣の『クラゲ』の上に、彼を無造作に投げ出した。

 バクン

 『クラゲ』の上が開き、彼を呑み込みだした。 パイロットの時と同じだ。

 (く、食われる……)

 焦ってみても、体は動かない。 ズブズブと音を立て、彼は『クラゲ』の中に呑み込まれてしまった。 ヌメヌメと蠢くゼラチンの様な粘体が、彼を中に引き

ずり込んだ。

 ゴボッ

 『クラゲ』の中は、生暖かく粘性の強い液体で満たされていた。 消化液だろうか。 頭からそこに突っ込んでしまい、鼻と口から液が一気に流れ込んでくる。

 (……く……くそぅ……)

 彼は心の中で呪いの言葉を吐き散らす。 他にできることはない。 あとは『クラゲ』に喰われてしまうのを待つだけだ。

 (……ん?)

 妙な事に気が付いた。 さっきまで息が苦しかったのに、楽になっている。 

 (……もう、死んだのか? 俺……)

 目を動かして、辺りを見回す。 半透明の『クラゲ』の中にいて、妙な液体に頭まで浸かっているので、ぼんやりとしか物が見えないが、外に娘らしき人影が

見える。

 (あのアマ、おれが食われるのを見物する気か……ん?)

 グニャリと正面がゆがんだ。 『クラゲ』の内側がゆがみ、こちらにせり出してくる。

 (……え?……人?)

 ゼラチン状の内壁が盛り上がり、人のような形になる。 もっとも、背中の方は内壁に繋がっているようだが。

 (奴が入って来たのか?……違う、この『クラゲ』の内壁だ!)

 驚いて見ていると、最初は人っぽい塊だったものが、次第に輪郭がはっきりしてくる。

 (……人の形をまねているのか?……お、女になるぞ……)

 『クラゲ』の内壁から生まれた女は、『クラゲ』と同じゼラチンの様なモノでできていた。 あっけにとられていると、その女は男の体に手足を絡みつかせて

きた。

 (ひ……何を……)

 ”カ……カラダ……”

 (しゃべった!?)

 ゼラチン女がしゃべったような気がした。 しかし、口は動いていない。

 ”……カラダ……からだ……体……”

 女の言葉は次第に明瞭になってくる。 女は彼に顔を近づけてきた。

 (お……お前は、いや、お前たちはなんだ!……俺をどうする気だ!……)

 考えることはできても、声が出せない。 答えは望むべくもなかった。 しかし、女から答えが返ってきた。

 ”ふふ……お前の体をもらう……”

 (な、なに?)

 ”いや……逆だな?……お前に体をやる……新しい体を……”

 (どういう意味だ!)

 ”今度は……成功させる……”

 ゼラチン女が彼を抱きしめる。 ゼラチンのバストに、彼の顔が埋まる。

 
 ズブッズブッスブブッ……

 (ひ……なんだ……)

 ゼラチン女の体は、彼の体が潜り込むほどに柔らかかった。 女は彼の頭を自分の胸に抱え、手足を絡めてきた。

 ズブッズブッス……

 骨と皮ばかりになった男の体が、次第に女の中へと埋められていく。

 ビリッ……

 (ぐっ?)

 腕に強い刺激が走った。 腕だけではない、顔や足、女の中に埋まった皮膚に強い刺激が走る。 目だけを動かし、自分の体を確認する。

 (は、肌がぁ!……)

 手や足の皮膚が剥げて、その下の赤い組織が見えている。

 (やっぱり溶かされている!)

 恐怖に襲われ、パニックに陥る男。

 ”あら……ごめんなさい……乱暴すぎたようね……”

 声がすると、皮膚への刺激が止まった。 いや、何がか触っているような感じはあるが、先ほどまでのような痛みはない。

 ”怖ければ、目を閉じていなさい……”

 (……)

 女の言う事など信じらなかったが、自分の体が溶けていくところなど見たいはずもない。 男ぎゅっと目をつぶった。 視覚がなくなると、肌の感覚がいっ

そうはっきりと感じられる。

 (……ぬっ?)

 ヌメヌメしたものが這う感覚。 顔と手、女に呑み込まれ、さっき赤向けになった場所だ。 それが次第に広がっていく。

 (……ひっ)

 肌を溶かされている。 ゼラチン女が彼を包み込み、その皮膚を溶かしている。 そして、むき出しになった真皮が、ゼラチン女を感じているのだ。

 ”大丈夫よ……痛くしないから……”

 ゾワゾワゾワ……

 異次元の皮膚感覚に、背筋を異様な感覚が走り抜ける。 体を、巨大なナメクジに這いまわられる様な感覚だ。 それが次第に広がっていく。 腕から胸、

腹、そして搾り取られて縮こまった男の証へと……

 ヌルヌルヌル……ジュルリ……

 (ひいっ!?……)

 ついにモノが、ゼラチン女に呑まれた。 ヌメヌメしたものが、モノに纏いつき、舐めあげられる

 (くあっ……ああああ……)

 異次元の感覚が、一瞬にして熱い快感へと変わる。 モノを包み込むゼラチン女の感覚は、あり得ないほどの鮮やかな快感となって、モノを包み込んでいた。

 (ひ……ひぃ……)

 ”ふふふ……こうするといいのね……ああ、ここも……ここもいいのね……”

 モノだけではなかった。 下半身をあちこちに、未知の快感が襲ってくる。 ゼラチン女は彼の皮膚を溶かし、体の中へと潜り込みながら、彼の性感帯を

直に刺激刺激しているらしかった。

 (ひぃ……ひひぃ……おかしくなりそうだ……)

 ”ふふ……楽しんで……そして……くふふふ……”

 オッパイのように膨れ上がった『クラゲ』の中で、男の体の輪郭が少しずつ変わっていく。 それは、先に呑み込まれたパイロット、『姐さん』も同じだった。 

その様子を見ながら、娘は満足げに笑った。

 ”ふふ……今度は……うまくいきそうね……”
  
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