乳の方程式

Part26 ミルキー・クレイジー


3つのバイオセルと前後へのハッチ、そしてエアロック。

合計6つのハッチを持つキューブ状の接合部の中で、チャン達と女達の鬼ごっこが続く。

「ククク…待って…」

「ねぇ…怖くないから…」

艶っぽい口調に振り向けば、瑞々しい白い肌、柔らかく揺れる胸、そして…赤く濡れた瞳が迫ってくる。


「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょぉぉぉ!!」

三人は壁をけり、空をかいて逃げ回る。 しかし、接合部は6人もの人間が鬼ごっこを続けるには狭すぎた。

リタを避けたチャンが体を捻り、マドゥーラの乳と鉢合わせする。

ふわ… 極上のクッションより柔らかい乳に、頭がすっぽりと埋まる。

シュゥゥゥ… ピンクの乳房から、白く甘い乳のしずくが噴出し、霧の様に立ち込める。

ぐはっ… ごほっごほっ… せき込む三人。

「に、逃げろ…」

纏わり付くマドゥーラの乳を振り払いながら、チャンが手近のハッチに手を掛けた。

首筋を這い回る乳首の感触に耐えながら、ハッッチを開いて向こう側に飛び出した。

ディック、オーナンスキーもそれぞれ別のハッチを開き、向こう側に逃げた。


「チャン!応答しろ!」 船長がコンソールに怒鳴るが応答は無い。

「駄目だ、また船内通話を妨害されている」

「船長!船首側の接合部のハッチが開きません、全部!」

「何だと!?それじゃ俺達が移動できるのは、船首側の接合部からブリッジまでじゃないか」

飛び交う怒号と報告の内容に、ブリッジにいる全員の顔が真っ青になる。

「副長以下4人は…機関部に取り残された事になる…どうしてハッチが開かないんだ!」

船長がはっとして口を開いた。

「接合部のテレメータを確認してみろ、気圧の数値だ」

「え?…あ、はい」慌てて何人かがコンソールでテレメータを確認する。

「気圧が0!…あれ戻った…また0に!」

「気密漏れか!?」

「いや、多分『ジャム』の仕業だ」オットーが推論を述べる。「各部のハッチは気密保持が最優先する。贋の気圧データを送れば、それだ

けでハッチは閉じてしまう」

「なんていい加減な制御だ」 誰かが吐き捨てるように言った。

仕方あるまい、宇宙船は生命維持に有利な方に働くのが基本設計思想だからな」

船長達はハッチの開放作業に取り掛かった。


はぁはぁはぁ…

ディックはバイオセル2のハッチ前に来ていた。

血走った目でハッチの脇のナンバープレートを確認する。

「2だ…よ、よし…」

大急ぎでハッチを開くディックの背後で空気が動いた。

「待って…」 リタの声がした。

「待てるか!」 

ハッチを開いて、大きな円筒状のバイオセル2の中に飛び出した。

そのまま円筒の中心を流れるように飛ぶ。

「このまま抜け…何!?」

急に視界が悪くなった。 白い霧が立ち込めてきたのだ。

デイックは驚いて姿勢を乱し、水耕栽培棚の一つにぶつかった。

「何だ…この匂いは!」

微かに甘い…乳の香り。 それに気付いたディックは戦慄した。

「い、いかん急いで逃げないと…」

オイデ…

ぴたりとディックの足が止まる。

キテ…コッチニキテ…

背後から聞こえる声、逃げ出そうとしても足が動かない。

手を伸ばして水耕栽培の棚を掴む。 しかし力が入らない。

「よ…よせ…」 顔を正面に向けたまま、背後に迫る気配に言うディック…

オイデ…コッチニ…

見えない手がディック頭を捕まえ、振り向かせる。

「ひっ…」

白い霞の向こうから丸い影が姿を現す。 彼の背丈ほどに膨れ上がったリタの乳房、それがゆっくりとディックに迫ってくる。

「く…来る…」

ディックは全てを言うことができなかった。

ビュルルルル

リタの乳がネットリとした白い液体を浴びせかけ、ディックの口を塞いでしまったのだ。

うご…ぐぅぅぅ…

もがくディックがリタの乳に触れる。

ズリ…ズリ…

(う…引きずり込まれる!?)

リタの乳はウネウネと蠢き、その谷間に乳まみれのディックを引きずり込んでいく…まるで、獲物を捕らえた軟体動物の様に。

ウニョウニョウニョ…

柔らかくのたうつ乳の谷間で、粘るミルクで体全体を愛撫されるディック。

ミルクの力なのか服がボロボロになり、溶けて消えていく。

(やめ…やめてくれぇ…)

白い悪夢のなかで抵抗するディック、その耳に優しい声が響いてくる。


”安心なさい、何も怖いことはないから…ただ…浸っていればいいのよ…”


(なんだと…)

声に囁かれるまでもなかった。 乳が体に染みてくるにつれ、全身から力が抜けていく様だ。

(この…うっ…)

男性自身に何かネットリしたものが絡みついた。 そのままゆっくりと揉み解している。

(やめ…うっ…)

粘っこい快感が股間を熱くする。 それが絡み付く物と一体となり、区別が付かなくなっていく。

(あれが…溶けていくようだ…)

”ほーら…気持ちよーく…なってきたでしょう…”

(ああ…いい気持ち…この声は…ジャムか!?)

”ね…凄くいい気持ちで逆らえないでしょう…だから悪いのはボク達なんだよ…”

(…な…何を言っている?)
”ボク達が悪いんだよ…ウフフ…だから…頑張れなくても君のせいじゃないよ…”

(な…?)

”だから…安心して…楽しんで…気持ちよくなっていいんだよ…”

(そ…そうか…ジャムのせいだよな…俺は頑張ったんだ…でもこいつらが凄かったんだ…俺のせいじゃない…)

ジャムの囁きは、ディックに敗北の口実を与え、彼の心の一部がジャムを受け入れる。

紙一重で堪えていた股間が、熱い快感に心地よく蕩けていく。

(あ…ああ…)

ディックは精と入れ替わりにジャムが侵入してくるのを感じた。 しかし、彼は逆らわなかった。

”ウフ…ね…良かった…”

「ああ…良かった…」 うっとりと応えるディック。

ジャムの囁きは、最愛の恋人の囁きよりもまだ甘く感じられた。

ジャムが頭の中で囁くたびにディックの心臓が喜びに震える。

”そう言って貰えるとボク達も嬉しいな…ウフ…ウフ…ウフフフフフフ…”

ディックは狂った笑いをその顔に浮かべ、頭の中に溢れるジャムの笑い声に聞きほれた。

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