乳の方程式

Part22 バース・Q


フニュ…

あ… 

ヒヤリとした柔らかいものがルウの胸に押し当てられた。

マドゥーラは菌類と言っていたが、ゆっくり動いている上にゼラチンのような感触で、クラゲのような感じだ(もっともルウはクラゲを良く知ら

ない)

モゾリ、モゾリと動いていたそれは、尖ってきたルウの乳首を探し当て、キュウッと吸い上げた。

「きやっ」 顔を赤らめるルウ。

「くすぐったい?」 『ジャム』が聞く。

「うん…ん…」  ルウの目が見開かれた。 胸がじんわりと暖かくなって来たのだ。 思わず両手で胸を隠すように押さえるルウ。

「や…あ…」   手に触れたのは、彼、いや彼女の胸に張り付いた『ティッツマッシュルーム』の筈。 しかしルウは自分の胸に手が触れ

たと感じた。

「うそ…あん!…」 乳首に指が触れた途端、甘い疼きが胸に溢れた。 

クリ…クニクニクニクニ… ルウの指が蜘蛛の様に、『ティッツマッシュルーム』の乳首状の部分を弄る。 二つの乳首が指の下で固く尖っ

てきて、ルウの指に絡みつく。

「だめ…だめ…」 呟くルウ。 優しい温かみ胸に溢れて来て、乳首の先端がじわっと濡れてくるような感じに途惑う。

「でる…でちゃう…きゃ…」

チュ…チュゥチュウチュウ… ルウの胸を何かが強く吸い、ルウは乳首から暖かいものが溢れだし、吸われていくのを感じた。 そして…

「あ…ああ…はぁ…」 喘ぐルウ。 胸を吸われると、深い陶酔感が湧き上がり、体を満たす。 

「だめぇ…もっとゆっくり…焦らないで…」 ルウの声が変わっている。 さっきまでは中性的なハスキーボイスだったのが、艶のあるアル

トに。

「ルウ…もっとやさしく…」 『ジャム』が悶えるルウにアドバイスする。

そう言われて、ルウは手で胸…に張り付いた『ティッツマッシュルーム』を激しくもみし抱いていた事に気が付いた。

意識して手の動きを止め、今度はゆっくり、そして深く手を動かす。

「はぅ…」 深い喜びが体の芯から沸き起こる。

「そう…そうすると…たまらないでしょう」

「ええ…」 うっとりと応えるルウ。

次第に、『ティッツマッシュルーム』とルウの胸が癒着している部分が、はっきりしなくなっている。

そして、褐色だった『ティッツマッシュルーム』の色が、ルウの肌の色に変わっていく。

あ…はぁ…あふぅ…

軽く目を閉じ、右手で『ティッツマッシュルーム』の乳首を、左手で自分の『女』を弄るルウ。

淫らで美しく欲望に忠実に生きる『女』がそこにいた。


「アレがルウなのか…」 かすれた声で船長が呟く。

「信じられん…」 オットーも呻いた


宙を漂いながら、『女』の快楽に酔いしれるルウを『ジャム』が背後から抱きとめた。

「立派なトモダチ…素敵よルウ」

赤い手がルウの胸と女を這いずる。

ルウは『ジャム』の手に自分の手を重ね、更なる快楽を目指す。

はぁ…あ?…あ…ぁぁぁぁぁ…

ルウの口調が変わった。


「何だ!?」

「見ろ、『ジャム』が手の数を増やして…いやムチか?あれでルウを一斉に愛撫してる?」

「なんか変だぞ…あ!あいつ、ルウの体に、肌の下に潜り込んで!」


あぁぁぁぁぁぁ…

ルウの体に、無数の赤い筋が走っていく。

『ジャム』が…ジャム達が、ルウの皮膚の下にその体を滑り込ませて移動しているのだ。

直接神経に触っているのだから、普通ならば凄まじい激痛が走るはずだ。

しかし、ジャム達はいかなる業を用いているのか、ルウに全く苦痛を与えていない。 むしろ…

あああ…ジャム…これ…凄い…

「愛しいルウ…」「素敵でしょう、私達と直接抱き合うのは…」「貴方を離さない…」

ゾワゾワゾワ…

ジャム達が赤い文様となって、ルウを飾っていく。

ルウは宙を漂い、体を揺らし、ジャムの快楽に踊り狂う。

僅かに少年の面影が残る顔に、赤い筋が侵入し、魔性のルージュが真紅の唇を書き込み、狂気の隈取が目元を歪める。

優しげな青い瞳は無慈悲なクリムゾンの鏡と変わり、そして…


「おい、ルウの頭…髪が」


ショートカット金髪が、根元から赤く染まり…一気に伸びた。

宙に広がった赤く煌く髪は、意思あるもののように動き、そしてルウの背中で流れる滝のような形に落ち着く。

『ああ…あ…く…ク…ククッ…ククク…』

ルウが笑った、『ジャム』の言葉で、そしてルウの声で。

『ククク…』

笑いながらルウは自分の体を検分した。

無数の赤い縞が全身に走り、それが緩やかに蠢き続けている。

燃えるような赤い髪と濡れて光る赤い瞳。

その目には、狂気が渦を巻いていた。

『フフ…』笑いながらルウは首を巡らし、スクリーンを…その向こうの船長達を見つめた。


うっ…

ブリッジの全員が呻いた。 

ルウは堕ちた…しかし、マドゥーラ達とはどこか違う。

「オットー?…」

「…あれは…『ジャム』の女王…ジャム・クイーン…」

震える声で呟くオットー。

「オットー先生…名前は後で考えてくれ…」 船長の呟きに、他の乗組員も同意した。

【<<】【>>】


【乳の方程式:目次】

【小説の部屋:トップ】