第三話 キーパー
6.本気の
翌朝、健がダイニングに行くと、リズが朝食を用意してくれていた。 健はリズの様子を伺いながら朝食を取る。
「ごちそうさま」
ご飯の後片付けを終えると、リズは健を正面に座らせた。
「健。 選択の機会をあげるわ。 今夜までの間、どうするか決めてね」
「……選択」
「ええ。 今夜、私は本気で健を誘うわ。 その誘いを受ければ……健は私のモノになって、お父様同様に私の腕の中で息絶えることになるわ」 そう言って
リズは微かに笑った。
「……」
「それが嫌なら、夜までに私を拒んで」
「『拒む』……」
「ええ。 『死ぬのは嫌』でも『リズのモノにはならない』と言えばいい…… ああ、今夜私の部屋に来なければ、それでもいいわ」
「……」
「明日の朝まで待って、健が来なければ、私は荷物をまとめて出ていく」
「……出て行って……リズはどこに行くの……」
リズは肩をすくめた。
「次の人の所に行くわ。 それだけよ」
「その場合……僕はどうなるの?……」
リズは苦笑して答える。
「成人するまでは、お父様の残したお金で食べていけるでしょう。 学校に行って、希望する職に就いて、普通に生活することになるでしょうね。 健の
人生ですもの」
「……」
「じゃあね」
健を残し、リズは自分の部屋に戻った。 後には、ただ座り続ける健が残された。
その晩、健は学校から帰って来て、夕食を食べ、勉強をしていた。 朝食以降、リズとは顔を合わせていない。 風呂に入った形跡はあったが、姿は
見なかった。
チッチッチッチッ……ポーン
健の部屋の時計が鳴った。
(……9時……)
健はドアを見て、躊躇いがちに立ち上がり、また腰かけた。
チッチッチッチッ……
時を刻む音がやけに響く。
(まだ時間はある……あるけど……寝てしまうかも……)
リズの事を考える。 行けば……父親と同じ運命だ。 その選択は、あり得ない。 あり得ないはず、なのに……
(リズ……)
カチ……
ノブの鳴る音がした。 気がつけば、健はドアを開け廊下に出ていた。 足音を忍ばせて、リズの部屋の前に立つ。
(リズ……)
心の中で呼んだ。 当たり前だが、返答はない。
(選択……は……)
カチ……
健はドアを開けた。
……
常夜灯のオレンジの灯りの中、ベッドにリズがうずくまっていた。 何かを羽織っているようで、伏せた頭以外はよく見えない。 リズがゆっくりと顔を上げた。
「健……」
リズの眼が微かに光っている。 その頭には、二本の角が生えていた。
「来たのね……」
リズを覆っていたものが、正面で二つに分かれ、リズの肢体が露になった。 覆っていた何か、リズの両側に広がっていく。
(ああ……あれは羽だったんだ)
リズは、背中から生えた黒い羽で体を覆っていた。 それが、左右に広がっていく。
(花が開いていく……)
「ふふ……黒い花が開いていくみたいでしょう?」
リズが、健の思いを読んだかのように言った。 胸を抱いていた腕をほどき、立てていた足を伸ばし、黒と白の妖花がゆっくりと開き、その奥を……さらけ
出す。
「あ……」
妖花の中心、リズの秘所が健の目の前にさらけ出される。 昨夜、健を優しく抱いたそこは、今は蜜を滴らせて妖しく光、健を誘っていた。
「健……ごらん……私の本気を……」
薄紅色の花弁の奥、赤い闇が健を呼んでいる。 健は、吸い寄せられるようにリズに歩み寄る。
パサ、シュルリ……
パジャマが脱げ、下着が落ちる。 自分で脱いだのか、自然に落ちたのか判らなかった。 リズの秘所に触れるところまで来た時、彼は一糸まとわぬ
姿になっていた。 昨夜のように、リズの前に膝をつき秘所へと顔を寄せる。
ビク……プシュッ……
秘所は激しく震え、熱い蜜を健の顔に吹き付けた。 濃厚な女の匂いに、頭がクラクラする。
「オイデ……」
「うん……」
健は、熱く濡れた秘所に顔を押し付け、舌を突き出した。
(おしべ……)
理科で習った花の構造が頭にひらめく。 次の瞬間、秘所につきこんだ舌に肉襞が絡みついた。
グシジュッ……ジュブッ……
ブウッ……
ヌルヌルした肉襞が、舌に吸い付いたような気がした。 それだけではない、秘所の陰唇が広がり、健の顔に吸い付き、奥へ引きずり込もうと蠢く。
グフゥ……
「クフフ……健……不用意に触ると大変よ……そこが健を欲しがってるんだから……アン……」
ブフッ……ブフッ……
思いもよらない攻撃に、健は自由になろうとじたばたともがく。 しかし、自分の意志とは関係なく、リズにつきこんだ舌がリズの中をかき回そうとする。
「アン……アアン……」
ブフッ……ブッ……
何とか舌を抜き、健はリズから離れることに成功した。 荒い息をつき、手を床について息を整える。
「はっ、はっ、はっ……」
「くふっ……もう前戯は必要ないほど濡れてるの……ずっと、待っていたから……」
リズの言葉に顔をあげる健。 光る瞳が彼を捕らえる。
「判った? 本気のリズの秘所が……」
リズの指が、秘所を大きく広げた。 赤黒い闇に、健の視線が吸い寄せられる。
「ここに入れば、貴方は私のモノ……健」
リズの唇が、妖しい笑みを形作る。
「……そうなりたいでしょう?」
「……うん……」
健は立ち上がり、固く反り返ったモノを、不自然なほどに膨れ上がった男を、リズの秘所に触れさせた。
ビチャ! ズブッ!
「アウッ!」
「ぐうっ!」
獲物に食らいつく勢いで秘所がモノに巻き付き、一気に中へと引きずり込んだ。 健のモノは、根元までずっぷりとリズに咥えこまれた。
「あ……あ……」
ネットリトした蜜を滴らせ、肉襞がモノを舐めしゃぶる。 想像を絶した快感に、固くなったモノが溶けてしまいそうに熱く、気持よくなる。
「熱い……」
「熱くて、気持よくて……溶けちゃいそうでしょう? ほら……動いて……溶かしてあげる……」
ズニュ、ズニュ、ズニュ……
いやらしい音を立て、健のモノがリズの中を出入りする。 動いているのは健の体。 しかし、動かしているのは健の意志ではなかった。
「あ……あ……」
「奥をついて……ああ……もっと深く……」
リズに操らるままに健の体はリズを歓ばせ、健自身を快楽の沼へと引きずり込む。 リズの本気に、健は翻弄され、その虜になっていった。
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