第三話 キーパー
5.初めての
健の目の前で、リズは自分を慰め始めた。
あ……は……
薄紅色の花弁がめくれ、濡れた奥底を健に見せ、また隠れる。
はぁ……はぁ……
健はリズを見つめたまま、荒い息を吐いていた。 股間は痛いほどに膨れ、ヒクヒクと脈打っている。 手が時折自分自身に伸び、ビクリと震えてまた
ひっこめる。
「リ、リズ……」
情けない声が出た。 リズに誘われているのが判っている。 しかし健は、どうすればいいか判らなかった。
くす……
リズが笑った。 健は、恥ずかしさと悔しさで真っ赤になる。
「笑わないでよ……」
「くす……ごめんなさい。 貴方が可愛かったから、つい」
リズは自分を慰めていた手を止め、上半身を起こし、健に向かって両手を広げた。
「おいでなさい……」
健はおずおずとリズに近づき、リズの足の間で膝をつき、そこで途方に暮れる。 子犬が『おあずけ』を食ったような様子に、リズが微笑む。
「わたしに重なって」
リズは健の手を取り、背後に倒れながら、健をゆっくりと引っ張った。 健はリズの両脇に手を突きながら、リズに覆いかぶさった。
ヒヤリ……
リズの体は少しだけ冷たかった。
「健は温かいね。 初めてに期待してるのかな?」
「むぅ」
プクッと頬を膨らます健を見て、リズがまた笑う。
「じゃあ……私に触って」
リズは、健の手を取り、自分自身に導いた。 ヌルリとした感触が少年の指に絡みつく。
あ……
リズが微かな吐息を漏らし、健は慌てて手を引っ込めた。
「ご、ごめん。 痛かった?……」
リズは首を横に振る。
「もう十分に濡らしてるわ。 どう? 『女』に触った感じは?」
「『女』……」
健は真っ赤になって、もごもごと口ごもる。 リズは、手を口に当て苦笑し、健自身に手を伸ばした。 熱い肉棒に、リズの指が触れる。
「!」
健は腰を引きかけ、思いとどまってリズを見る。 リズは健を見つめ、頷いた。
「ん……」
リズの手に導かれつつ、健は自分自身をリズの秘所にあてがう。
ヌルリ……
亀頭に感じるヌメリに、健の腰が震えた。
「そのまま……きて……」
リズの手が健の背と腰に回される。 健はそろそろという感じで、リズの中に入っていく。
ん……
ヌルヌルとした筒の中に、亀頭が入っていく感触。 一瞬身構えたものの、思ったよりスムーズに健はリズの中に入った。
「え……と……」
「ゆっくりでいいから、貴方自身を前後させて」
「う、うん」
ゆっくり、ゆっくりと健はリズの中を前後に動いた。 固い肉棒が、リズの中を滑らかに前後する。
(こんなもの……なのか?)
リズに抱き着いている感触は心地よいのだが、繋がっている所は、想像してたほどじゃないかな……健はそう思った。
「んふ……じゃいくね」
「え?……」
健が何回か前後したところで、リズは健の動きに合わせて腰を動かし、健の肉棒を深く迎え入れた。
「あっ!?」
亀頭をザラッとした感触が包み込む。 突然の刺激に肉棒が震え、亀頭がキュンと痺れた。
「リズ!?」
「動いて、今のタイミングで……あ……そう……奥に……」
深く突き入れた亀頭が、リズの奥で荒ら刺激され、リズの奥を叩く、叩く、叩く。
あっ……あっ……そう……あっ……
リズ……リズ……リズ!……
一度覚えると、腰が勝手にリズの奥を求めて動くようになった。 リズの奥に亀頭が届くと、痺れるように気持ちがいい。 そしてリズも、健に奥を突か
れるたびに背を反らし、甘い喘ぎを漏らす。
リズ……あ……なんか……変……
亀頭を痺れさす快感が、一突きごとに肉棒を伝わってくる。 健の股間がぎゅっと縮まり、冷たいような、熱いような心地よいものがこみ上げてくる。
もっと……強く……もっと奥を……
リズの求めるままに、健の腰がリズを突き、リズの体がしなやかに健を抱きしめる。
いく……いっちゃう……
いっしょに……健……
熱い喘ぎのハーモニーがぴたりと揃い、歓びのクライマックスへと駆け上がる。
あ……あああ……
く……ああ……
ドクドクドクドク……
ビチャ……ビチャ……ビチャ……
健が熱い精を放ち、リズの奥がそれを受け止める。 二人は一つになろうとするかのように固く抱き合い、肉の歓びに浸りきった。
「く……は……」
「ふぅ……」
リズが健を放すと、健は力尽きたてリズに覆いかぶさった。 冷たいと感じていたリズの体が、軽くほてっている。 リズは健を慈しむように、軽く撫でた。
「よくがんばったね、健」
「うん……」
生返事をする健。 リズが、自分を子ども扱いしてる様に感じ、ちょっと不満だった。
「初めてだもの。 教えてもらわないと判らないでしょう?」
「そうだけど……あれ?」
健は首をひねった。
「なに?」
「ねぇ……リズ……お父さんとのとき……確か……尻尾と角と羽が……あったよね」
リズが瞬きをし、健を見返した。
「そうよ」
「今は、出てなかったよね……なんで?」
「……んふ……」
リズが笑う、妖しく。
「まだ本気じゃないからよ……」
「え?」
リズは、二三度瞬きして、体を起こした。
「健。 今夜はここまでにしましょう……あなたも初めてで疲れたでしよう」
「そんなことは……あっと」
手をついて体を起こそうとした健は、体がずっしりと重いのを感じた。
「今夜は休みましょう」
そう言って、リズはベッドに横になって健を抱きしめ、優しくキスをした。
「おやすみ」
「……おやすみ」
健は、リズに抱かれたまま目を閉じる。 闇の中に落ちるように、意識が途切れていった。
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