第二十七話 チェンジ

6.奪われて


 ビクン、ビクン

 タカシ自身が震え、痺れる快感を紡ぎ出す。 アマリアに抱かれたタカシは、その感覚に酔いしれていた。

 (いい……)

 とめどない快楽の波に、思考を押し流され、頭の中に白く濃いもやがかかったようだ。

 「ほら、変わり始めたわ、あなた」

 タカシはうっすらと目を開け、アマリアの示す方を見た。 自分の足の間で、白いモノが動いている。 なんだか芋虫のようだ。

 (あれは……オレのモノ……)

 さっきまで興奮して赤銅色の金棒と化していたモノが、血の気が失せた様に真っ白になっていた。

 ズクッ!!

 うっ!?

 モノに強い圧力を感じた。 アマリアが触ったのではない。 モノ自身が縮みだしたのだ。

 ズクッ、ズクッ、ズクッ

 脈打ちながら、モノが縮む。 その都度、モノを貫くような感触が背筋を駆け上り、頭の中に白い潜行がひらめく。

 「ああっ! ああっ!?」

 未知の感覚に、思わずアマリアにしがみつく。 アマリアはあやす様にタカシを抱きしめ、唇を重ねる。

 「凄いでしょう? ほら、貴方のモノが中に潜っていく」

 アマリアの言う通りだった。 モノの先端、張り詰めた亀頭が、文字通り亀が首を引き込むようにタカシの下腹部に引き込まれていく。

 「は、入ってくる……ああっ!?」

 亀頭の先端だけが外に残り、その下に陰嚢がぶら下がるという奇妙な格好でモノが動きを止めた。 タカシが一息ついた、その時。

 グボッ!!

 亀頭が睾丸を巻き込んで一気に胎内に潜った。 圧迫された陰嚢のなかで、熱く白い衝撃がはじける。

 「ぐわっ!?」

 あまりの衝撃に、タカシは意識を失った。

 
 ……

 ………

 …………

 ……………?

 体を撫でる手の感触でタカシは意識を取り戻す。 目を開けるとアマリアの顔が間近にあった。

 ”大丈夫? 苦しくない?”

 夢の中にいるように、意識がはっきりしない。

 ”大丈夫……ええ……大丈夫よ”

 しゃべっているのは自分のはずだが、他人がしゃべっているようだ。

 ”気分はどう?”

 ”気分は……あら……”

 体が軽く、暖かい。 頭の中は霞がかったようにはっきりしないが、それが心地よい。

 ”なんだか……ふふ……楽しい……”

 ”でしょうね……ほら……”

 アマリアの指が、タカシに触れた。 痺れるような快感に、タカシは喘いだ。

 ”きゃ……なに、いまの……”

 ”ご覧なさいな”

 アマリアの示す方、自分の股間に視線を向ける。 既視感を覚えたが、アマリアの愛撫している先には突起物が見当たらない。

 ”あら……うそ……”

 ”ね? 本当に女になったでしょう?”

 ”ほんと……”

 驚愕すべきだが、頭がぼんやりして現実感がない。 それでいて、アマリアの手の感触ははっきりしている。

 ”濡れてるわよ……ほら……”

 アマリアが指を見せた。 キラキラ光る滴の糸が、指の間に見える。 アマリアは指を舐めて見せた。

 ”濡れてるんだ……”

 ”女になるとき、最高に気持ちいいからよ……ほら、まだ興奮してる”

 アマリアの指がタカシの股間を弄る。 爪のついた女の指が、タカシの中に潜り込んできた。

 ”ひゃっう!?”

 生まれたばかりの『女』のモノが歓んでいる。 タカシは、未知の快感にのけ反った。

 ”い、今のなに?”

 ”何って……うふ……”

 アマリアは意地悪そうに微笑むと、再び手でタカシの『女』を弄る。 今度は遠慮せずに、秘所とその陰核を的確に愛撫する。

 ”ひあっ!?”

 再びのけ反るタカシ。 今度は少し痛みがあり、恐怖も沸いてくる。

 ”や、やめて”

 ”やめて? やめて欲しいの? ホントに?”

 アマリアの手の動きが止まり、タカシはほっと息を吐いた。

 ”やめていいの? 貴方のココは、欲しがっている見たいだけど”

 ”そ、そんなことは……”

 否定しかけた時、タカシは下腹がうずいているのに気がついた。 だるいような、くすぐったいような奇妙な感じた。 それは、たまっている時、自分を慰め

たくなる感覚に似ていた。

 ”寂しいでしょう? 奥が……あたしが奪ってあげる、貴方の初めてを……そして、女の歓びを教えてあげる”

 アマリアの言葉は、魔法のようにタカシの心に染み込んでくる。

 ”……おねがい……して”

 恐れが消え、タカシは体の力を抜いてアマリアを待った。 アマリアは微笑みながらタカシをベッドに押し倒した。

 
 あ……

 かわいい……

 これが女……

 タカシはアマリアに組み敷かれ、『女』としての初めてを奪われた。 アマリアは巧みに『女』の感覚を目覚めさせ。目もくらむような快楽の中でタカシを

溺れさせた。

 あは……

 果てることのない女の快楽に、何度目かの絶頂を迎えたタカシは、ベッドに仰向けに倒れた。

 ”んふ……”

 アマリアがタカシに重なり、乳房を顔に乗せた タカシ自身の乳房も膨らんでいるのだが、アマリアには遠く及ばない。

 ”吸ってごらんなさい”

 ”ええ……”

 言われるままに乳首を咥える。 微かに甘いものが口の中に広がり、それがそのまま染み込んでくる。

 ”ふぁ……”

 甘い、とても甘いものが口から頭の中に染み込んでくる。 ぼーっと霞が掛かっている意識に、それが混じってくる。

 ”おいしい……なんだか……素敵な気分……”

 ”女はいいでしょう?………”

 ”ええ……あ、でも。 時間がたつと、あたし男に戻るのよね……”

 タカシはポツリと言った。 ひどく残念な気分だ。

 ”一晩寝たら、明日の朝には戻っているわよ。 心配しなくてもいいわ”

 ”心配は……してないけど”

 ”また来ればいいわ……女になりに”

 ”してくれる?”

 タカシはアマリアの胸に顔を埋めながら聞いた。

 ”もちろんよ……なりたいでしょう?”

 ”ええ………”

 アマリアは微笑み、タカシを抱いた。

 ”一度味わえば、女を忘れられなくなるんだから……”
   
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