第二十六話 山の女

2.山姫との初めて


 (これが『山姫』かぁ!? しかし……でかいのぅ)

 六尺ある吾作より頭一つ大きい。 七尺はあるだろう。 白い着物に身を包んでいるが、かなり着崩れている。

 「えぇ……」

 この山里では『山姫』とは山に住む妖怪、あるいは神とされていた。 神と言っても『祟り神』で、妖怪よりは格上だが、その分被害も大きい。 吾作はそんな

ことを思い出し、手にしていた大のこぎりを地面に落とし、その場に平伏した。

 「ははー、許してくんろ。 『山姫』様がこの山においでになったとは露知らず」

 「急に態度が変わりおったの。 『山姫』と知って許しを請うか。 それとも油断させて、腰に下げた鉈で切りつけるつもりか」

 ギク

 吾作は背筋が寒くなるのを感じた。 がばと跳ね起き、慌てた様子で許しを請う。

 「い、いえこれは外すのを忘れておりまして」

 慌てて鉈をはずし、うっかり腰布の紐まで緩めてしまった。 すとんと腰布が落ち、褌一丁のみっともない格好になる。

 「なんじゃ、やる気十分ではないかぇ? ほほ、それちこう……ん?」

 吾作を見ていた『山姫』の眼がすっと細くなった。

 「これ木こり。 その布を取れ」

 「ご、ご勘弁を」

 褌を取れば、下は丸裸だ。 恥ずかしいと言うか、情けない格好になってしまう。 が、『山姫』は容赦する気はないようだ。 彼女が手で軽く仰ぐと、一陣の

風が吾作の腰の辺りをかすめ、褌の紐が切れた。

 パサリ

 褌が落ち、吾作のモノがだらんと下がった。

 「なんと……」

 『山姫』の眼が真ん丸に見開かれた。 垂れ下がった吾作のモノの先端は彼の膝のあたりのであり、太さは彼の手首辺りと変わらない。

 「ぬぬ……よもや、ぬしは狐か狸の類かぇ? 我をたばかろうと言うのであれば覚悟するが良いぞ」

 「ひぇぇ。 ち、違いますだ! わっしは正真正銘の人でございますだ!」

 妖怪に狸呼ばわりされ、弁解する羽目になるなど吾作は思いもよらなかった。

 「本当か? うむむ……これほどのモノは目にしたことがないが……よし、それが本『モノ』であると言うなら立たせてみよ」

 『山姫』の眼の色が変わっている。 息も荒くなり、今にもとびかかってきそうだ。 吾作は臆病ではなかったが、流石に妖怪相手に『立たせろ』と言われ

ても、早々立つものではない。

 「ご、ご勘弁を」

 「何? 立てられんと申すか、不埒者が! ではこれでどうじゃ」

 『山姫』は、着物の帯をするりと解いた。 着物が左右に割れ、白い女体が顔をのぞかせる。

 (おう……)

 着物の間から覗く『山姫』の肌は白くきめ細かく見えた。 女の匂いが吾作の鼻孔をくすぐる。

 ムクッ

 吾作は自分が高ぶるのを感じた。 足の間にぶら下がっていた『竿』が、ぐぐぐっと鎌首をもたげる。

 「ほう……立つでは……むむむ……」

 立ち上がった吾作のモノは、長さ一尺あまりの黒々としたこん棒のごとし。 吾作の裸を見た女がことごとく恐れをなして裸で逃げ出すのも頷けると言う

代物だった。 さすがの『山姫』も、少し引いているようだ。

 「なんともたいしたものよ……どれ」

 『山姫』がずんずんと近づいてきた。 吾作は意識せず一歩下がるが、『山姫』は構わず吾作の前に立ち、そのモノを手で握りしめた。 思ったより柔らかい

女の手の感触に、吾作がぶるっと震える。

 「その気になったか?」

 からかう様に言うと、『山姫』は着物の前を大きくはだけた。

 「!」

 目の前に『山姫』の裸身がさらされる。 およそ人とは思えぬ巨大な乳房、意外に細い腰、どっしりとした尻、そして黒々とした茂み……妖怪や神と呼ぶ

にはあまりに生々しい姿だった。

 ドン

 吾作のモノが跳ね、腹を打ち祭り太鼓のような音を立てた。

 「ふむ……よいようじゃな……そのモノに免じて、ぬしにまかせてやろう。 さぁ、我を喜ばせてみよ」

 ドスンと『山姫』が腰を下ろし、足を大きく開いた。 薄紅色のソコが目に飛び込んでくる。 意外なほどに可愛らしい。 しかし、じっと見ていると吸い込まれ

ていく様な妖しさがある。 吾作は知らぬ間に膝をつき、彼女の足に手をかけていた。

 「うぅ……」

 こみ上げてくる衝動を抑えることができない。 吾作は、大蛇のようなモノを『山姫』の秘所に宛がう。 ヌルリとした感触に、モノが大きく跳ねる。

 「ぬ? ぬし、慣れておらんな?」

 『山姫』が眉を寄せた。 吾作の反応で、彼が女を知らぬことを察したようだった。

 「そうですだよ。 これが入る女子などいませんで」

 『山姫』はさもありなんとばかりに頷き、吾作は顔を赤くした。 しかし初めてと言えど、吾作は女との交わりをどうすればいいか知らぬ訳ではなかった。

 (奥だな。 そこを突けば……)

 吾作は、グググッと腰を突きいれた。

 「ああっ……」

 吾作は『山姫』の中が固くしまっているだろうと漠然と考えていた。 実際には、暖かく柔らかい、滑る筒の様であった。 それが、吾作のモノが入って

来た途端、ヌメヌメと蠢き始めた。

 「くぅぅ」

 最初の一突きで果てなかったのは、女を知らないがゆえであった。 慣れぬ感触にモノが戸惑っているようだった。

 「こう、こう、こうですかぁ」

 ズン、ズン、ズン

 木を切るときのように腰を入れ、モノを槍のように突き入れる。 ヌルヌルした感触が、ザラッとした感触に代わり、先が柔らかいモノに突き当たる。

 「おう! 良いぞ! ちと、乱暴じゃが」

 『山姫』は、吾作に手足を絡めてぐいと抱きしめる。 吾作の頭が『山姫』の乳房の間にズッポリとはまり込んだ。

 (乱暴……いけねぇ、力任せじゃ駄目だ。 鋸を引く要領で……)

 吾作はの鋸引きの要領を思い出す。 切るのではなく、『引く』。 縦の力は鋸の重さに任せ、横に引く事に専念する。

 (こう、こう、こうだ)

 ズリ、ズリ、ズリ……

 吾作は、自分のモノを一枚刃の鋸に置き換え、前後の動きに徹する。

 (深く、深く、深く……)

 『山姫』の奥深くにモノを突き入れ、手前に引く、また奥に入れ、手前に引く。 慣れた動作の調子に合わせると、腰が膳に動いていく。

 「おお……良いぞ……ああ……こ、これは……」

 『山姫』の声が艶を帯び、吾作を抱く手足に力が入る。 柔らかい体に、吾作の固い体が沈み込むようだ。

 キユゥゥ

 (なんだべ)

 吾作の腰の辺りに痺れるよう感じが沸き起こってきた。 時折夢の中で感じる、あの感覚に似ていると気がついたとき、吾作のモノは快感に震え始めて

いた。

 「『山姫』様っ……」

 「……くる……くるぞ……ああっ」

 『山姫』が達した。 一瞬遅れて吾作も達する。

 ド、ドドーン!!

 「ああっ……」

 「うあっ……」

 吾作のモノは熱い精を、さながら種子島の如く勢いよく放った。 熱い精の直撃を受けた『山姫』は、絶頂のさらに上に押し上げられる。

 「いいっ……よいぞぉぉぉ……」

 「お、おらも……ああっ……」

 『山姫』の胎内はヌメヌメと蠢き、極上の獲物を離すまいとするかのように、震える吾作のモノを中へ中へと誘い込もうとする。

 その動きに、吾作のモノも絶頂のさらに高みへと引きずり込まれていく。

 『あああーっ……』

 『山姫』と吾作は、一つの生き物になったかのように固く抱き合い、長々と続く絶頂に酔いしれた。

 
 パタリ

 二人の体から力が抜け、死んだように横たわる。 文字通り精も根も尽き果てたようだった。

 「吾作とやら。 これほどのモノの持ち主には初めておうたぞ」

 「は、は……それは、有難うごぜえます」

 「うむ。 ぬしならば姉上を満足させることが出来るやもしれぬ」

 「……はい?」

 吾作が顔を上げると、『山姫』がこちらを見て、にいっと笑った。

 「ほれ、もうやってきた」

 吾作は気がついた。 木の枝が折れる音がだんだん近づいてくる。 ジワリと汗をかきながら、『山姫』の顔から視線を上にあげると……

 「おう、妹よ。 よき男を捕まえたらしいの」

 木々の間から現れたのは『山姫』よりさらに頭一つ大きい『山姫姉』だった。
   
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