第二十五話 ART
7.目覚める女
「ミヤビ……」
ノブオは両手をついてミヤビから距離を取り、レイに懇願する。
「わかった、もうわかったからやめてくれ! ミヤビを元に戻してくれ!」
レイは目を丸くした。
「戻すも何も、その娘自身が貴方を望んでいるのよ。 私は、それを表に出す『勇気』を上げただけ」
「こんなものがミヤビだななんて、そんなはずはない!」
ノブオの叫びに、ミヤビが悲しそうな顔になった。
「どうして? どうしてそんなことを言うの?」
ノブオは言葉を詰まらせる。 レイがノブオをとがめる様に言う。
「貴方は、彼女、いえ女に幻想を持ちすぎじゃないの?」
「幻想だって?」
「貴方自身はどうなの? 人前では体裁を取り繕っていても、一人になればいろいろ淫らな遊びにふけるとかしないの」
「ちょ、ちよっと……そんな露骨な……」
ノブオの顔が赤くなった。
「人前でそんな事を聞かないでくださいよ」
「ほら、心当たりがあるのでしょう? 異性を求めるのは自然な事。 それを恥ずかしがって否定するのは、社会のモラルを教え込まれたせいよ。 大体、
あなたたちだって、その結果として生まれてきたんじゃないの」
「そ、それはそうですけど……」
「そうなんですよね……」
ノブオが赤くなって恥ずかしがっているのに、ミヤビの方が平然としている。 これが『勇気』をもらったという事なのだろうかとノブオは考えた。
「それとも『責任』を感じてブルーが入っているのかしら?」
「『責任』ですか?」
ミヤビが首を傾けた。 『責任』の意味するところが判らないようだ。
「そ、それは……いえ、男として『責任』は取って、あ、いえ……」
「どうにもにもじれったい彼氏ね?」
「そんなことはありません。 ノブオさんは優しい方です」
きっぱりとノロケるミヤビに、ノブオの嬉しくなって顔が緩んだ。
「やっぱり相思相愛じゃないの。 私のおまじないは、貴方たちに望みもしないことを吹き込んでいる訳じゃないわ。 ただ枷をはずしてあげているだけよ」
「枷……ですか……」
ノブオは首をかしげた。 ミヤビを望まない訳ではないが、これで良いのかという思いが消えない。
「そうよ……もう一度やってあげれば良く判るわ」
「え?」
「はい」
ノブオは当惑し、ミヤビは弾んだ声で答えた。 ノブオが躊躇っているうちに、レイは二人の人形に顔を近づけ、息を吐きかけた。。
あ……
う……
二人の体を甘く暖かいものが包み、性欲のボルテージが上がっていく。
……さぁ……欲するままに……
のろりとミヤビを見るノブオ。 熱っぽい視線でノブオを見返すミヤビ。 二人の距離が縮まり、一つになる。
ああっ……
ううっ……
すでに濡れていたミヤビの秘所は、熱い抱擁でノブオを捕まえる。
来て……
囁きに従い、ノブオが腰を突き入れる。
ああん……
熱い陰唇の奥には、淫らに開いたミヤビの女が待ち受けている。 すべての枷を外されたミヤビの奥が、ノブオを咥えこみその情熱をせがむ。
蕩けそうだ……
感じて……もっと……頂戴……熱いモノを……
淫らな囁きがノブオの耳朶から脳に染み込んでくる。 彼のモノはミヤビを犯していたが、ミヤビの囁きはノブオの魂を犯していく。 大胆なミヤビの囁きに
抗えず、ノブオは求められるままにミヤビの奥をかき回し、奥底を叩く。
頂戴……熱いモノを……
うん……
ひときわ大きく突き込む、同時に熱いものがせり上がって来て、ミヤビの奥へと流れ込んていく。
あ……ああぁん……
ミヤビが悦楽の喘ぎをあげ、ノブオを抱きしめた。 柔らかいミヤビの体にノブオが埋まり、激しい絶頂の歓びが伝わってくる。
ミヤビ……
ミヤビの歓ぶさまに、ノブオは彼女抱き返して深々とモノを突き入れ、そのままの姿勢を保つ。
ドクンドクンドクン……
脈打つ快感に酔う二人は、ベッドの上で一つになりそのまま固まった様に動きを止めた。
「さっきより今度の方が情熱的かしら? 『情熱の後……』うーん」
レイが二人の姿につける題を考えていると、ノブオが体を起こし、ミヤビの顔に手で触れた。
「ミヤビ……」
「ノブオ……」
ミヤビはノブオの手を取って、ペロッと舐めた。 レイを置き去りにして、二人の世界に入っている。
「『お熱いお二人』、よっ、にくいね!」
妙な茶々を入れるレイに、ようやく二人が顔を向けた。
「どうも……お世話に……いえ……」
「あ……あの……えーと……」
レイに礼を言いたいらしいが、適当な言葉が浮かばないようだ。 レイは気にするなというように、パタパタと手を振る。
「それで、ミヤビちゃんは満足したかな?」
真っ赤になるミヤビの脇で、ノブオは照れくさそうに頭をかく。
「……ええ……でも……」
「?」
「……もう一度」
「え?」
ノブオは、ミヤビを見た。 恥ずかしそうに下を向いていたミヤビがゆっくりと顔を上げる。
「!?」
ミヤビの眼が熱っぽく濡れ、ほのかに開いた唇を赤い舌がゆっくりと舐めている。
「あらー、こりゃ目覚めちゃったかな」
「レイさん!?」
ノブオがレイをみた。 彼女は面白そうに二人を見ている。
「聞いたことある? 男の欲望は有限、だけど女の欲望は無限だって」
「知りませんよ、そんなこと!」
ノブオの言葉を聞いていないのか、レイは机に向き直り、二人の人形に手を伸ばす。
「や、やめてください!」
……心のままに……
う……
ノブオは口を開いたまま固まった。 こみ上げてくる何かで、腰が突っ張る。
ねえ……
ミヤビに呼ばれ、ノブオはそちらを見た。
!!
ミヤビの秘所。 さっき男を知ったばかりのソコが、真っ赤な薔薇のように大きく口を開いていた。 陰唇がビラビラと蠢き、ノブオを誘っている。
……求めるままに……心のままに……変わるがいい……
ビチャ……
ミヤビの秘所から、涎のように愛液が滴る。 こみ上げてくる性欲と、得体のしれない恐怖にノブオが凍り付いた。
……もう……
ミヤビがノブオの手を取り、自分の秘所へと導く。
……ああん……
秘所が食虫花のようにノブオの手を咥えた。 熱い秘所の感触にノブオの手がひとりでに蠢き、その真珠を弄る。
ビチャ……
熱い愛液がノブオの手を濡らした瞬間、男の欲望が彼を支配した。 人形のような動きで、ノブオはミヤビの秘所に自分のモノを宛がった。
「『そして獲物は自ら顎へ……』」
レイが呟いた。
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