第二十三話 うばがみ

4.お供物


 起き上がろうと男はもがくが、『乳母神』の乳の力で体に力が入らない。

 「ほうれ坊や、起きるが良いぞ」

 『乳母神』がそう言うと、男性自身がぴょこんと起き上がった。

 「おや、お前が『坊』かえ?」

 「ち、違い……ひぇ!?」

 『乳母神』が男の足の方に膝と手をつき、屹立した男自身を覗き込む。 必然的に、『乳母神』の巨大な乳房が男の足にのそかかる。

 ムニュゥ……

 巨大なモチのようなモノが、足先から太腿の上で形を崩し、しっとりとした感触で包み込んできた。

 ビクリ……ペチ……

 (げ!)

 男性自身が大きく震え、おそれおおくも『乳母神』様の顔をはたいたのだ。 冷や汗をかきつつ、男は『乳母神』の様子を伺う。

 「ああ、なんと元気のよい『坊』よ」

 『乳母神』は慈愛に満ちた、それでいてどこか狂った笑みを浮かべ、さらに身を乗りだす。

 ズルルル……

 『乳母神』の乳房が太腿の上を滑り、男の『坊』にのしかかった。 固く反り返ったそれが、神々しい乳の谷間に滑り込む。

 「ひぇ!?」

 薄く滑る『乳母神』の谷間が、優しく男の『坊』を包み込んだ。 先ほど男の半身全てを呑み込んだ場所が、今度は男の『坊』のみを呑み込みんで、責め

始める。

 「ひ……ふゃぁぁぁ……」

 「ほほ、『坊』や……心地よいかえ?」

 心地よいどころの騒ぎではない。 しっとりと纏いつく肌に撫でられ、『坊』が芯から蕩けていく。 それでなのにいつもの高ぶりが感じられない。

 「と、蕩けそうです……」

 「そうであろう……」

 『乳母神』頷きながら、男の『坊』を包んだ乳房を揺り動かし、両手で圧力を加える。 甘くしっとりとした愛撫に『坊』がわななき、トロトロに蕩けてなくなっ

てしまいそうだ。

 「あ……あぁ……」

 「ほほ……ようなったか? 案ずることなく、気をやるがいい……」

 いつ達したのか、いや乳に包まれたときに、すでに達していたのかもしれない。 『坊』がひくひくとわななき、粘っこいものをもらしている。 そう、放つの

ではなく漏らしていた。

 「『乳母神』様ぁ……」

 「ほれ……ほれ……」

 柔らかな乳房が根元までをずっぼりと包んで、男の『坊』をあやす様に愛撫する。 まどろむような快楽の中で、男の『坊』はただ蠢き続けた。

 
 「は……くはっ……」

 男は息を吐いた。 手足が鉛のように重く、頭の芯もずっしりと重い。

 「う、『乳母神』様?」

 何とか体を起こし、『乳母神』を探した。 かの神は着物を整えなおし、男の足の方に座って微笑んでいる。

 「落ち着いたかや?」

 『乳母神』の問に答えかけ、男は自分の体に違和感を覚えた。

 「な、なんで……なんだよ、これ?」

 手足が短く、声が高い。 さっきまで自分は立派な大人だったはずだ。 それが子供、いや十七、八ぐらいの少年になっていた。

 「ほほ、『巻き戻し』てしんぜようというたではないかえ?」

 「ええーっ!?」

 そう、『乳母神』は彼を育ちなおさせるために『巻き戻す』と言っていた。 信じなかったわけではなかったが、本当に『巻き戻し』されるてもると、別の驚きが

あった。

 「さて、性根がようなったかの?」

 『乳母神』が呟いたが、驚愕の極みに会った男の耳には届いていなかった。

 「はー……こりゃすげえや。 おりゃガキに戻ってもさほど嬉しくねぇが……金持ちの爺だったら大喜び、いや、目の色変えて飛び付いて来るぞ! うん、

霊験あらたか、いや、こうか確実の『乳母神』様の若返りのありがたいお乳! これで大儲けが……」

 「おやおや、ぬしはその年でもうそんなに悪しき性根であったか」

 呆れたような『乳母神』の声に、男ははっと顔を上げた。

 「い、いえ! 俺はただ、『乳母神』の凄い力があれば、大勢が幸せに……」

 「もそっと、戻さねばならぬな……さ、きやれ」

 『乳母神』は、胸元に手かけて胸をはだけた。 神々しい乳房が零れ落ち、ムクムクと膨れ上がる。

 「い、いえ……あ……」

 拒絶しようとしたが、『乳母神』の乳房が目に入ると言葉が出なくなった。 吸い寄せられる様に『乳母神』の乳房に唇を寄せてしまう。

 「たんとおあがり」

 赤い乳首が口に入ると、薄甘い乳が体に広がっていく。

 「あ……」

 幸福感に頭がぼーっとなり、男、いや少年はうっとりと『乳母神』の乳を吸う。

 「今度は、もっと体を戻さねばならんな……となると体全てを……それには……ふむ」

 何やら『乳母神』呟く言葉も、少年の右の耳から左の耳に抜けていく。 ただひたすらに、少年は『乳母神』の乳を吸い続けた。

 「そろそろよかろうて……どうじゃ?」

 『乳母神』に聞かれ、少年は頭を振った。 否定の意ではなく、意識がはっきりしなかったためだ。

 「よいようじゃの……では……」

 『乳母神』は、一度少年を離すと、しゅるしゅると帯を解き、着物を脱ぎ落とす。

 「『乳母神』様、何を?」

 少年が目で『乳母神』の意を尋ねると、彼の神は微笑んで応えた。

 「これから、わが乳でそなたの体を包み、愛してしんぜよう……」

 そう言った『乳母神』の乳が大きく膨らみ始めた。 これまでも膨らんできた神の乳、しかし今度は人背丈の半分ほどにまで膨れ上がっていく。 その

異様な光景に、少年は恐怖を覚えた。

 「ひ……」

 後ずさろうとするが、足が動かない。 むしろ、乳の谷間に吸い込まれていく様な錯覚すらある。

 「さあ、そこに座るがよいぞ」

 『乳母神』の言葉に逆らえない。 少年は、足を投げ出す様にしてその場に座った。 その格好で『乳母神』を見上げると、膨れ上がった乳で上半身が隠れ、

全く見えない。

 「おう、男になったばかりの様よのう」

 言われて気が付いた。 男の『坊』は剥けたばかりのように真っ赤っかで、恥ずかし気に上を向いている。

 「『乳母神』様ぁ! 何を!?」

 少年が怯えた声で問いを発した。 しかし『乳母神』は答えることなく、少年の足の上に大きな尻を乗せてきた。

 「あひゃぁ!?」

 痛みにもにた刺激が『坊』に走った。 恐れ多くも『乳母神』の神秘に、『坊』が入ってしまったらしい。

 「ほほ……『坊』や、初めてを神にささげることが出来るとは、この上ない幸運であるぞ」

 「な、なんで……」

 「ほほ……今度の巻き戻しでは、体が気持ちようなって蕩けてしまう分が多いでな、もったいないから妾がもらってしんぜよう」

 「は!?」

 (そ、そんなもったいないが……うわぁぁ)

 少年の頭の上から『乳母神』の乳房が降ってきた。 柔らかな乳房は、中身がないかのように形を変えて少年を頭から呑み込み、かた、腹へと降り、腰の

あたりでようやく止まった。

 「あ……あぁ……」

 『坊』、下半身を包み込んできた『乳母神』の乳房、それが今度は頭と上半身を包み込んでいる。 視界を塞がれた少年に、『乳母神』が声をかける。

 「どうじゃ? 今度は……」

 「いい……気持ちいい……」

 震える声で少年は答えた。 あの蕩けるような、いや蕩ける快感が頭から上半身を包み、じわじわと中へ沁み通ってくる。 そして、屹立した『坊』は……

 「あ……ぬしの『坊』が……妾を……」

 ビクン!

 少年の腰が跳ねた。 彼の意思ではない。 体に加えられる刺激に勝手に反応したのだ。

 「ああ……奥に……うふぅ……」

 感極まった『乳母神』が体をゆする。 タプンと音を立て、ありえない大きさの乳房が波打ち、中の少年の体を揉み解す。

 「ひぃ……」

 しっとりと滑る乳房の感触は、体中を舐めまわされているようだ。 たまらず体を動かすと、その動きでまた乳房が揺れて彼の体を舐めまわす。

 ビクン! ビクン!

 「はぁ……ああ……」

 少年だけでなく『乳母神』の喘ぎを漏らしている。 がくがくと動く少年の腰が、『乳母神』の奥を突き上げているのだ。

 「罪ほろぼしのつもりかえ? ほんに、可愛いのう……」

 『乳母神』の乳房が震え、中の少年を揉み解し、纏いつき、愛撫する。 

 「蕩ける……」

 『乳母神』の乳が沁みとおった少年の体は、快感の中でじわじわと若返って縮んでいく。 そして、余った部分は蕩けて、下半身へと集中していった。

 「い……ぐ……」

 「はぁ……きやれ……受け止めてしんぜ……ああ……」

 『乳母神』の許しをまたず、少年は蕩けた体を捧げ始めていた。

 ドクドクドク……

 果てしなく続く快楽の極み、その陶酔感が少年の意識を白く染め上げる。
 
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