第二十一話 骨喰の宿

22.格安の宿 その伍


 水飴お姉さんは少年の両肩に手をおき、身をかがめて少年の顔を覗き込んだ。

 「じゃあ、服を脱がせてあげる」

 「ふ、服を?」

 真っ赤になった少年の耳に、水飴お姉さんが囁く。

 「いっぱい、触わられたくない?」

 「……」

 少年がこくんと頷くと、水飴お姉さんは彼の上着をまくり上げ、ズボンを下ろした。 ピョコンという感じで『棒』が顔を出す。

 「またまたご対面ね、君とは」

 からかうように言い、赤い手で少年の『棒』を包むように握る。

 「わっ」

 敏感なところに触られて驚いたのか、少年はよろけて水飴お姉さんに倒れ掛かり、お腹の辺りに抱き着いてしまった。

 ニチャリ……

 胸……のすぐ下の処に頭が突っ込み、赤い半透明の肌に顔が埋まる。

 「わっぷ……あれ?」

 顔一面にヌルンとした冷たい感触があった。 ゼリーのようにめり込むかと思ったが、表面は弾力があり、ヌルヌルのビニールみたいな感じだ。

 「なに?」

 頭の上からお姉さんの声がする。

 「う、ううん……」

 お腹に抱き着いたまま、どういていいか判らない様子の少年に、お姉さん微笑みかけた。

 「そのまま……舐めて」

 「舐めるの?」

 「ええ」

 さっきはもっと大胆なところを舐めたのだから、お腹を舐めろと言われてもどうという事はない……はずなのだが、少し気後れする。 少年はいったん

深呼吸し、舌を出してお姉さんのお腹を舐めた。

 「やっぱり甘いや……」

 「あん♪ もっと舐めて……」

 少年はお姉さんのお腹に抱き着いたまま、ペロペロとお姉さんのお腹を舐めた。

 「あん♪ あは……」

 お姉さんはくすぐったそうに腰をゆすり、少年の背中を撫でている。

 「……あれ?……お姉さんが柔らかくなってきたみたい……」

 少年は、お姉さんに抱きついている手をそっと握ってみた。 さっきまでビニールの様だった肌に、指が少し沈む感じがする。

 「そうよ……君がうまいから、お姉さんも気持ちよくなって……柔らかくなってきちゃったの……」

 そう言うと、水飴お姉さんは少年の背中に回した手に、少し力を入れた。 今度は、少年の顔がお姉さんの腹に少し沈む。

 「わっ……あれ? 息ができる……」

 「それはそうよ。 息が詰まらない様にしてるんだから」

 お姉さんとそんな会話している間に、少年の頭は耳の辺りまで、ずっぼりとお姉さんのお腹にめり込んでいた。

 「どう、お姉さんの中は?」

 「どうって……なんか……」

 ヌルヌルヌメヌメとした感触が顔にへばり付いて離れない。 腕や、胸の辺りもお姉さんの肌に吸い付けられているようだ。

 「ヌルヌルして変な感じ……」

 変な感じと口にしたが、嫌な感じではなかった。 戸惑う少年に再びお姉さんが微笑みかける。

 「さっき、君がされたみたいな感じ?」

 「う、うん……あ」

 少年は思い出した。 今顔や胸で感じているのが、さっき彼が『棒』で感じたのと同じような感覚であることに。

 「ほら……これでどう?」

 水飴お姉さんは、少年の背中を撫でる手に力を込めた。 少年の背中が、赤いヌルヌルに染まっていく。

 「うん、そう……それ……あ……」

 さっきは『棒』が変な感じになり、固くなって、思い通りにならなくなった。 今度は……

 「か、体が……固くなっていくよ……」

 「『棒』にしてあげるっていいったでしょ……ふふ……」

 水飴お姉さんは、少年の体に自分の体をこすりつけた。 柔らかくなったお姉さんのお腹に、足にが、少年の体がズブズブと潜り込んて行く。

 「ひにゃぁ……」

 少年の肌に赤いヌルヌルが纏いつき。 もやもやした変な感じは、甘酸っぱい快感になって少年の体を包もうとしている。

 「あ、甘い……お姉さんの中……甘くて……気持ちいいよ……」

 「うれしいわ……ああ……あたしも……もっと……巻き取って……かき回して……」

 お姉さんに誘われるまま、少年は腕を彼女のお腹に潜り込ませ、円を描いてかき回す。 ネットリと腕に巻きつく感触が、甘い快感に変わり少年を夢心地

にさせる。

 「すごい……凄いよお姉さん……」

 「きて……あたしの中に……」

 お姉さんは、力を込めて少年を抱きしめた。 ズブリと音を立て、少年の半身が水飴お姉さんの体に沈み込んだ。

 「ふにゃぁ」

 胸からお腹が快感で包まれ。少年の意識が真っ白になる。

 「ああ…ぁぁぁ」

 頭の中が空っぽになり、少年は体が求めるままに水飴お姉さんの中でよがった。 腕を振り、足をけり、目の前の粘体を舐める。 すべての動作が快楽と

なり、少年を溺れさせる。

 「あん……いい……素敵……」

 そして水飴お姉さんも、体の中に取り込んだ少年の動きに酔いしれる。 不規則に蠢く赤いオブジェと化した水飴お姉さんは、ただただ立ち尽くすのみ

だった。
 
 
 エミたち4人は、息を呑んで二人の様子を伺っている。

 「の、呑み込まれちゃった」

 「ホーットイテ、イイノ?」

 「いえ……けっこう喜んでるみたい、どっちも」

 「ふーん……ね、奥のモクモクしてるのなーに?」

 「あれは綿菓子……で、あっちもか?」


 時間は少しさかのぼる。

 麦わら帽子の少年は、わたあめの機械から噴き出してくる『わたあめお姉さん』を巻き取ろうと必死になっていた。

 「ほらほら、しっかり巻かないと……お姉さんに巻かれちゃうよ♪」

 お姉さんは、わたあめ機から上半身をせり出した格好で、その胸から綿菓子の糸が吹き出していた。 その糸を少年がからめとろうとしているのだが……

量が多くて割りばしでは巻き取り切れず、少年は腕で糸を巻き取っていた。

 「ほらほら……油断してると」

 「ええっ?……わぁ!」

 巻き取り切れなかった糸が足に絡みつき、少年はひっくり返ってしまった。

 「あらあら……しょうがないわねぇ……」

 わたあめお姉さんは、重さを感じさせない動きでふわりと飛び上がり、転倒した少年に覆いかぶさる様に着地する。

 「けがはない?」

 「だ、大丈夫です……あの……量多すぎじゃないですか?」

 「君が初めてのお客さんなんで、大サービスよ」

 「そ、そうなんですか」

 少年はわたあめお姉さんの下から抜け出そうした。 するとお姉さんが彼の首に手を回し、顔を近づける。

 「ね……このまま私を味わってみない?」

 「え……」

 少年は目を見開いて硬直した。
   
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