第十九話 ランプのせい
2.挨拶
”では……”
ランプの精=赤い女は、男に向かって一歩踏み出す。 思わず後ずさる男。 その腿がベッドの端に当たり、バランスを崩してベッドに座ってしまう。
”クス……”
上から目線でかすかに笑った女は、彼の前に膝まづき、ズボンに手を伸ばしてきた。
「こ、こら、ちょっと待て! お前はランプの精なのかよ? 聞いた話だと、こうモクモクとだな煙が出て……」
”フフッ。 私がその様な頼りないモノに見えましょうか?”
ジーニーは言葉遣いこそ丁寧だが、その口調や態度には、男を馬鹿にしているような感じがあった。 男は、彼女を制止しようとして手首を掴む。
バチャリ
「えええっ?」
”何をなさりたいのですか? ご主人様……フフフフッ”
ジーニーの手首をつかんだつもりだったが、彼の指はほとんど抵抗もなくその手首へ潜り込んでしまった。 あっけにとられているうちに、彼女の手が彼の
ズボンにのジッパーに到達した。
”ご主人様。 まずはジーニーにお任せを……クククッ……”
「……」
ジーニーは、流れるような動きで赤い半透明の手でズボンのジッパーを引き下げ、ズボンとパンツを引き下ろした。
”あらあら……可愛らしいこと……”
恐れと不信に縮こまった男自身を見て、ジーニーが含み笑いをした。 さすがに男はむっとしてジーニーをねめつける。
”では、ご挨拶から……”
ジーニーは、赤い掌で男のモノを下から持ち上げるように包み込んだ。 と、男が微かに身を引いた。
”まぁ……怖いのですか?”
「いや……随分と冷たい手だな……」
男が呟いた通り、ジーニーの手は氷のように冷たく、男のナニは身を守る様に固く縮こまってしまった。 ジーニーは口元に冷たい笑みを浮かべたまま、
その赤い手で男のモノを揉むように動かしている。
「……ん?」
違和感を覚えて男は首をかしげた。 確かに彼女の手は冷たく、一度はモノが縮みあがっていた。 それが鎌首をもたげ、ヒクヒクと蠢きながら膨らみ始め
ている。 そして『冷感』がジンジンとした刺激に取って代わろうとしている。
「冷たいんじゃない?……なんだこれは……?」
”お判りになりませんか?……ではこれで……”
グニャリ……
ジーニーの手の中で、男のモノがゆがんだ。 その途端、はじける様にイチモツが膨らみんだ。 さらに少し遅れて
ズクンッ!!
「うわっ!?」
強い刺激が背筋を駆け上がり、男は思わずのけ反った。
「な、なんだ……これは」
”いかがですか?……ほら”
ジーニーが手を動かすと、半透明の指で包まれた男のイチモツが、クラゲに捕まった魚の様にビクビクと悶える。 そして、それが悶えるたびに、ハンマー
で殴られたような強い刺激が背筋を駆け上がってくるのだ。
「うぁ、うぁ?うぁっ!?」
”あらあら、ご不快でしたか?……ご主人様”
「な、なにを」
ジーニーに言われた、男はようやく自分の感じているものが、強烈な快感であることに気が付いた。 あまりに強い快感に、頭が付いてこないらしいのだ。
”では、もう少しソフトに……ウフフフフ……”
彼女の指の動きが緩やかになり、赤い手に包まれた激しくのたうつていた彼自身は、くねくねと身もだえするような動きに変わる。 そして……
ゾクゾクゾクゾク……
「う……おぅ……」
突き上げてくる衝撃の様な快感は、甘くドロリとした連続的な快楽の波へと変わった。 先ほどの息が止まりそうな感覚から解放され、体の緊張が緩む。
”フフ……このぐらいからがよろしいですか?……”
「お……おぅ……ぅ……」
胸を張ってジーニーに応えて見せたものの、彼女の手の愛撫は異様なぐらいに気持ちよかった。 ネットリとした快感が、ベッタリと彼自身を包み込んで
逃がさず、股間の宝玉はさっきまでとは違う理由でぎゅうぎゅうに縮こまってしまっている。
「う、うまいな……ぅ……ぁ……」
赤いゼリーの中で、自分のモノがグネグネと揉み解されているのが見え、それを見ているとイキそうになってしまう。 視線をそらし、股間に力を入れて耐え
ようとしたが、ジーニーの愛撫は巧みに彼を絶頂へと導き、ついに堪えきれなくなった。
「い……く……」
”どうぞ……”
ジーニーの手の中で、自分自身が快楽の証を放つのが見えた。 赤いゼリーに包まれて、自分のモノがヒクヒクとのたうち、それをあやす様にジニーの
指が蠢く。
「……」
出したばかりの敏感なところを、ジーニーは的確に慰める。 ゆるゆると続く心地よい感覚に、男は酔いしれた。
”いかがでしたか? ご主人様”
「お、おう。 まぁまぁだぞ」
男はややつっけんどな返事をした。 本音を言えば『いままで感じたことがない様な快感』だったのだが、いきなり現れた妖怪とも妖精ともつかぬものに、
手だけでいいようにされたのが癪にさわっていた。
「いまさらだが、おまえは何なんだ? ランプの精か?」
”わたしはジーニー。 それ以上でも、それ以下でもありません” 謎の笑みを浮かべたまま、ジーニーは答える。
「俺がお前のご主人様なんだよな」
”はい、ご主人様”
「お前は俺に、何をしてくれるんだ?」
”ご主人様に満足していただくことが、ジーニーの仕事です”
ジーニーはそう言うと、男のズボンに手を伸ばしてきた。
「まてまてまて! そっちはもう満足したぞ?」
”いえ、ご主人様はまだ満足していません。 先ほどのはジーニーのご挨拶です”
決めつけるように言ったジーニーは、出しっぱなしだった男のモノに触れようとする。
「ちょっと待て。 お前の考えではそうかもしれないが、俺の方はすぐには無理だ!」
”ご心配なく。 すぐに準備できます”
ジーニーはそう言いながら、男のモノを手で包み込んだ。 すぐに、あの『冷感』が男のモノを襲う。
「つ、冷たい……えっ?」
ジーニーの手の中で、男のモノがムクムクと膨れて上がってくる。
「む、無理やりだなぁ……おっ?」
股間から、生暖かい波の様なものがせり上がってい来る。 それが男の欲望と気が付いたころには、彼の体は完全に戦闘態勢が整っていた。
「な、なんで?」
”さぁ、ご主人様……ジーニーといたしましょう……フフッ……フフフフフッ”
ジーニーの瞳が、緑色に妖しく光った。
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