第十八話 おんねん

5.ま


 「鍋敷家五台目、鍋敷何処之守!一番槍!!」

 殿様、意味不明の口上を述べ、『槍』をば化け猫娘えと突き入れます。

 ずぶぅぅぅぅぅぅ……

 「うにゃぁぁぁぁぁぁぁ♪」

 一戦交えて緊張が解けたのか、化け猫娘のソコは、やや緩んでおりました。 これがまた、絶妙のゆるみ具合でして。 殿様の槍にしっとりと纏いつきます。

 「う、ぉぉぉぉぉぉおおおおお」

 槍に纏わりついた化け猫娘の襞々が、引いていく殿様の槍へと名残惜し気に、またいい具合に粘りついきます。 

 「ぬぬ、ここで果てては男の恥!」

 こみ上げてくるものこらえつつ、殿様、再び化け猫娘の中へと槍をつきこみます。

 「ふにぃぃ」

 奥を突き上げられ、たまらず化け猫娘背を反らし、しなやかな足を殿様の胴にからめると、ぐいと殿様を引き込みます。

 「うぬぅ」

 前後の動きを封じられた殿様、ぐいぐいと腰をよじって、化け猫娘の中を小刻みにかき回しました。 これには化け猫娘もたまりません。

 「ふにっ!ふにっ!ふにぃぃぃぃ」

 びくびくびくっと身体を痙攣させ、殿様へがっしと抱きつきます。 一方の殿様の槍、化け猫娘の中でぐいぐいぐいっと締め上げられ、ブルブルっと震える襞に

取り囲まれました。

 「ひえっ!? ひっ、ひぃぃぃぃぃ!?」

 これが魔性の力と申すのでありましょうか、ビリビリビリっ気持ちいいのが槍の穂先から根本へ向かって走り抜けました。 と思ったら、大事なところから熱い

猛りがが迸ってまいります。

 「あぁぁぁぁぁぁ」

 がくがくと震えつつ、熱い猛りを化け猫娘に迸らせる殿様。 今度はその猛りを受けた化け猫娘の番でございます。

 「ふにぃぃぃぃぃぃ」

 奥の奥に熱いものをどっぷりと受けまして、喜びの声をあげてよがっております。 

 「ふぃぃぃ」

 「にぃぃぃぃ」

 そのまま固まってしまった二人、力尽きたようにばったりと倒れ伏してしまいました。


 「うなー……」少しして、化け猫娘が唸りはじめ、もそもそと動き始めました。 殿様の胸に甘えるように頬ずりし、殿様の『槍』に手を伸ばします。

 「ぬなっ!?」

 うとうとしていた殿様、ぎょっとして顔を上げます。 と、爛々と目を光らせた化け猫娘と視線が合いました。

 「お、おいこれ」

 「ぬーなー♪」

 上気した顔で、ゴロゴロゴロゴロとのどを鳴らす化け猫娘。 どうみても、もう一戦交えたがっている様子。

 「か、勘弁してくれぇ」

 情けない声を上げた殿様を、化け猫娘きっと睨みつけまして。

 「ふーっ!!」

 毛を逆立てて殿様を威嚇します。 そしてくるりと対を入れ替、牝の欲望を現してたらーりたらとよだれの様に滴を流すモノをこれでもかと見せつけます。

 「ま、またこれを……おわっ!?」

 またも濃密な女の香りが、殿様の顔へと吹き付けられます。 が、今度はちと様子が違いました。

 「うう? ううううううう!!」

 牝猫の香りを吸い込んだ殿様、どどーんとばかりに頭に血が上り、続いてしおしおと力を失っていた『槍』めがぐいぐいぐいっと屹立しました。

 「にゃはぁー♪」

 これを目にした化け猫娘、舌なめずりをして『槍』を咥えると、ザラリとした舌でもって研ぎにかかりました。

 「くひっ、くひっ?くひぃぃぃぃぃ」

 痛みにも似た恐ろしい化け猫娘の舌技に、殿様口から泡を吹いてよがります。 人の言葉なぞどこかにやって、獣のごとく唸るだけ。

 「きひぃぃぃ」

 一声唸ると、化け猫娘の秘所に顔をつっこみ、でたらめに舐めて中を舐りあげます。

 「ふにぃぃぃぃ♪」  

 化け猫娘、甘い声を上げるとくるりと身をひるがえし、殿様の槍をばずぶりと胎内に収めました。

 「うぁ、うあっうあちっうあっ!」

 北の海にはオットセイとか言う海獣がいるそうですが、殿様そのオットセイの様に喘ぎ、化け猫娘の胸に顔をうずめ、乳首をきゅぅっと吸い上げました。

 「にぃっ!」

 化け猫娘、思わぬ反撃に身をよじり、お返しとばかりに腰を弾ませ、白い尻が殿様の太腿の上でぽんぽんと軽やかに跳ねまわります。

 「うおっうおっ、うおおおっ」

 経験に勝る殿様も、化け猫娘の若さには勝てなかったようで、たちまちのうちに熱いモノがせり上がり。

 「ぐぉぉぉぉ」

 「ふにぃぃぃぃ」

 キュー……バタン……


 そして……

 「さぁ、続きをするにゃ」

 「か、勘弁してくれ。これ以上やったら死んでしまう」

 「では恨みを晴らして……おお、そうだにゃ」

 「ゆ、許してくれるか!?」

 「いや、このまま続けて殿様がおっ死ねば、わたいも気持ちいいし、恨みも晴れるニャ」

 「おいっ! それでいいのか!?」

 「ではもう一戦……」


 まぁ、なんといいますか……さて、恨みを残して死んだお女中の方ですが、こちらは三途の川を渡り、閻魔様の前に引き出されておりました。 これは必ずし

もお女中が悪事を働いたからという訳ではなく、閻魔様のお裁きによっては、そのまま極楽へ行くこともあるそうで、ですから仮亡者という訳ですな。 しかし、

なんだか閻魔様が苦い顔をしているようですが。

 「……ですから、私だけが裁かれるのは不平等というもので。 私を袖にした主様をここに引き出し、その罪を明らかにしてからでなければ、私は納得しない

ものでして……」

 閻魔様、延々と続くお女中の申し立てをやっとのことで遮ると、お女中を説得します。

 「主の言い分にも一理あるがのう。 主の主人がここに参るのはいつになるかわかるまい。 それまで裁きを止めておくわけにはいかぬぞ」

 「いいえいいえ、わたくしが可愛がっていた猫めが、きっと恨みを晴らしてくれているはずで、それをお待ちいただきください。 そもそも、閻魔様は万難に

公平であるべきで、私のみに裁きを下すなど、身分による不当な扱い、男女差別、言語道断、盲亀の浮木、うどんげの花……」

 こんな調子で丸二日にわたってお女中の申し立てと言うか、苦情を聞かされております閻魔様こそ、いいつらの皮で…… と、脇に控えていた牛頭が閻魔

様に近寄り、なにやら囁きます。

 「なに?……とにかく追っ払いましょう? しかし裁きを受けさせずには……え? それはまずいのではないか? 中国で前例があると……ふむふむ」

 閻魔様居住まいを正して、お女中に申し渡します。

 「お主の申し立てはよくわかった。 しかし、それほど言うのであれば猫などに任せず、自分で恨む相手をここに呼び出すのが筋であろうぞ」

 「は?」

 「仮赦免を与える。 そのご主人とやらの前に化けてでて、罪を認めさせるがよかろう。 我らはここよりその様子を見ておるぞ」

 なおもぐだぐたと文句を言うお女中を、牛頭、馬頭がひったて、奪衣婆の処へ連れていきます。 ここでお女中の着物を探したのですが、なにせ有史以来の

着物が集まっているうえに、返すことなど考えていないので整理もされていません。 やむなく手近のぽろっちい白無垢を渡しましたら、今度は女一人で侍

だらけの屋敷に行けるかと駄々をこねます。 仕方なく、亡者の持ち物にあった鉈を一振り、お女中に渡しました。

 それから牛頭、馬頭はお女中を地獄の端の方に連れてきました。 そこには上からつーっと縄が何本も下がっております。

 「なんですか、これは」

 「この先は現世につながっておる。 その釣瓶に乗るがよい」

 お女中、首をかしげながら綱の先に結ばれた釣瓶に乗ります。 それを見た牛頭が、別の縄を勢いよく引くと、上の方でつながっておりますのでしょうな、

お女中の乗った釣瓶が勢いよく上の方に引き上げられました。

 「あれぇぇぇぇぇぇ」

 お女中、金切り声をあげなながら地獄の天井めがけてまっしぐら。 

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