第十八話 おんねん
3.たたりて
「あ〜れぇ〜」
殿様に帯を引かれた化け猫娘、コマの様にくるくるくるりと回り、寝床の上にばったりと倒れました。
乱れた着物の裾から、それはもうなまめかしい白い
足が覗き、殿様思わず生唾を飲み込みます。
「おおぅ、これはよい」
自分の帯をもどかしげに緩め、夜着をはだけながら化け猫娘に襲い掛かります。
「あれ、そんな、ご無体だニャ」
「これ、何を言うか。 わしお手がつくなど、名誉なことであるぞよ」
勝手な理屈を並べ立て、殿様化け猫娘の胸元へと顔を埋めます。 生白い肌から立ち上る、馥郁たる女の匂いを嗅ぎ当て、夢中で乳をば舐りあげます。
「たまらぬ、たまらぬぞぉぉ」
「あれ、あれ、あれぇぇぇ」
バタバタと足を動かす化け猫娘。 当人は抵抗しているつもりですが、殿様から見ると悶えている様にしか見えませぬ。
「おお、そそがたまらぬか。 気の早い娘よのう。 まっておれ、わが伝家の宝刀の切れ味、その身に知らせおこうぞ」
芝居気たっぷりにのたまうた殿様、おのが宝刀を鞘ば知らせ、その大刀を……にはちと足りず、その小刀をば化け猫娘の秘所へと突き入れます。
「きゃ……ニャウーン」
殿様の小刀で奥をば突かれた化け猫娘、不意を食らって思わず喘いでしまいます。 殿様、さすがに数をこなしているだけあって、女人のヨガリ声は聞き
間違えませぬ。
「おお、よい声で鳴きよるは。 あ、それ!」
「ニャハッ♪」
「それ!!」
「ニャハッハッ♪」
「それえ!!! くうっ!!」
「ニャハッハッハッ♪……え?」
なんと殿様、三付きで達してしまいました。 化け猫娘を抱え込んだまま、己が熱き情熱を娘の中へと迸らせた殿様、しばしそのままの姿勢で余韻を味わっ
ておりましたが、すぐにばたりと化け猫娘の上へと崩れ落ちました。 化け猫娘、何が何だかわからず、呆然としております。
「むむ、やはり若い娘は良いのう。 堪能したぞ」
「殿様?」
「主はいい体をしておるのう。 うむうむ」
「あの?殿様……」
「決めた! 明日も余の相手をせよ。 褒美はたんと取らすぞ」
「殿様ぁ……明日……ですとニャ」
突如として化け猫娘の様子が変わりました。 がばと立ち上がると、はだけた着物の間から、片乳がのぞくのもかまわず、らんらんと光る眼差しで殿様を
にらみつけました。 今度は殿様の方が仰天し、思わず後ずさります。
「おのれ憎しやこの男(おのこ)。 己が果てればよしてして、女を顧みぬそのあらまし。 ええい、どうしてくれようニャ」
見えを切った化け猫娘。
チョーン
合いの手に拍子木なんぞが入ります。 泡を食った殿様がさらに逃げようとするのに飛びつき、今度は化け猫娘が殿様を布団の上に押し倒します。
「うぬぅ。 ええいはなさんか。 この無礼者めぇぇぇ」
「いいえ離さん、離しませぬニャ」
化け猫、一戦交えたばかりの殿様の宝刀をば露わにし、ギラリと光るまなこでそれを見つめて舌なめずりします。 化け猫の本性が現れ、牙がのぞく口が
己がものに迫ってくる様子に、さすがの殿様も、その宝刀も縮み上がります。
「逃がしはせぬ、逃がしはしませんぞぇぇぇぇぇ」
化け猫娘の口から、長ぁい舌がぞろりとのぞきまして、それが殿様の宝刀をベロリと一舐め致します。
「きへぇ!?」
猫の舌というやつは、肉を骨からこそげ取るためにヤスリの様になっているとか、それで宝刀を舐められたからたまりません。 鞘に収まり駆けた宝刀が
鞘ばしり、化け猫娘の眼の前に抜き身の刀身をさらします。
「ほうれほれ、逃がしはしませんと申したニャ」
ベロベロと刀身を舐めしゃぶるからたまりません、殿様気持ちいいのを通り越して、宝刀が削られるが如き痛みにのたうちます。
「きぇぇぇ、やめてくれぇぇぇ、きぇぇ……」
さて殿様の様なご身分の方には、常にお付きの者が警護しているのが常でして。 その夜も、控えの間に警護の侍が二人、殿様の伽の様子を伺っており
ました。
「む。今夜は殿、ずいぶん張り切っておられるようだのう」
「ちと、激しすぎぬか? それに殿の悲鳴が聞こえてくるような……」
「なに、戯れであろうよ。 寸鉄すら帯びぬ娘一人、殿に害を成すことなどできようはずもない」
「きぇぇぇ……」
「ええい、やかましいニャ」
化け猫娘、何を思ったか体をくるりと回し、お殿様の顔の前に己の秘所をさらけ出しました。 昨今の言い回しでは、六十九とか言うそうですな。 この暴挙に
殿様大いに驚きました。 殿様が娘を責める時に秘所を嬲ったり、自分の求めで秘所をさらけ出させるのならともかく、娘が自分から殿様の顔を跨ぐわけです
から、これはもうお手打ちになっても不思議でないぐらいの無礼な行為ですな。
「お、おのれ小娘! わしを誰だと……おおぅ?」
殿様の眼前のに晒された秘所は、部屋を照らす行燈の明かりでもわかる程に濡れておりました。 そこから、濃密な女の香りが泉のごとく湧き出して参ります
甘酸っぱいその香りを吸い込んだ殿様、ふつふつと男の欲望がたぎってくるのを感じました。
「こ、これは……ううっ、うううっ!?」
最初ちょろちょろなかぱっぱっ、ではございませんが、ちろちろと燃えはじめた欲望の炎、突然猛り狂い抑えきれなくなります。 伝家の宝刀なんてもう、小刀
が本物の大刀なみに猛り狂いはじめました。
「ニヤッハッ♪」
それを見た化け猫娘、喜々として宝刀をしゃぶりあげます。 ガチガチに猛り狂った宝刀を舐めあげられた殿様、今度は痛むどころか、燃え上がるが如き
激しい喜びで宝刀がふるえ、宝玉がたぎり狂うのを感じました。
「むぁぁ、きひぃぃぃぃ」
殿様、がばとはねおきると、獣のごとき声を上げて化け猫娘に挑みかかり、猛り狂った宝刀をずぶとばかりに突き入れます。
「キャヒーーーン!!」
今度こそ、奥の奥を突き上げられ、化け猫娘が歓喜の叫びをあげました。
「きひっ、きひっ、きひひひひぃぃぃぃ!!」
化け猫娘の妖気に充てられたのか、殿様、獣と化して化け猫娘を突きまくります。 そして化け猫娘を突くたびに、恐ろしいほどの熱い喜びが体を駆け巡り、
それが殿様に獣のごとき喘ぎを上げさせるのでした。
「きひひひひぃぃぃぃ!!」
「むむこれはまた……」
「ずいぶんとお励みの様子……」
気の毒なのは、警護の侍たちばかりなり、でございます。
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