第十七話 わらし様

3.授福


 五兵衛はどこか知らない場所にいた。 真っ白い霧があたりに立ち込め、不思議な音が聞こえている。

 (ああ、ここはどこだぁ……)

 ”これ、目を覚ませ……”


 はっと目を開ける五兵衛。 すぐ前に『わらし』様が立っている。 どうやら失神していたらしい。

 ”目が覚めたか、福を授けてやるで、供物を捧げるべ”

 繰り返す『わらし』様に、五兵衛は戦慄した。 先ほど『供物』として精を抜かれたが、手足が動かぬほどに疲労困憊してしまった。 続けて精を抜かれたら、

息が止まりかねない。

 「はぁ、『わらし』様。 あら、福はいらねぇだ。 どうかお引き取りを」

 「申し訳ねぇ、謝りますから。 どうかお引き取りを」

 ”そうはいがねぇ、呼ばれたからには、福を授けんど帰られねぇ”

 「ですがぁ、これ以上『供物』を備えたら、おら、おっ死んでしまでだぁ。 福さぁ授けられても、なーんにもならねぇ」

 ”そげんなこと、おらの知ったことでねぇ。 供物も無しにおらを呼ぶほうが悪いだ”

 そう言って『わらし』様は、くるっとした黒い目で五兵衛を見つめる。 漆黒の瞳を見ていると、神々しさと共に、底知れぬ闇を覗き込んでいるようで背筋が

寒くなる。

 (なんとかせねば……そ、そうだぁ)

 「『わらし』様ぁ、授けてほしい福ががありますだ」

 ”申せ”

 「おら楽に暮らしてぇ、んでもっと天寿をまっとしうして、爺になって大往生してぇだ」

 ”……それが望みか”

 「んだ」(こ、これなら精をぬかれておっ死ぬこともあんねぇ)

 ”かなえてやるだ”

 そう言った『わらし』様は、再び着物の前を開いた。


 「ちょ、ちょっ、『供物』さ捧げたら、おらおっ死んで……」

 ”案ずることはねぇ”

 『わらし』様はそう言うと、膳に尻を乗せたままの五兵衛の前に膝まづいた。 そして、こともあろうに五兵衛の不埒なものを、穢れを知らぬ可愛らしい口で

舐め始めたのだ。

 「『わらし』様ぁ、なにするだよっ!」

 五兵衛は怠け者だが、ばちあたりのけだものと言うわけではない。 童女にしか見えぬ『わらし』様にそのようなことをされて、平気ではいられなかった。

 「や、やめるだ『わらし』様ぁ、ぁぁぁ……」

 慌てる五兵衛だったが、上目遣いに彼を見上げる『わらし』様の瞳を見ていると、口が回らなくなってきたのだ。

 ”まずは楽にしてやるだよ”

 クチュクチュ……

 『わらし』様は、飴細工のように五兵衛のモノを舐めていた。 小さな舌が猛々しいモノを隅々まで這いまわり、節くれだったそれがへそのあたりまで反り

返る。 しかし、恐ろしさと、恥ずかしさからか、五兵衛の肝っ玉は見事に縮こまっていた。

 ”初心だなぁ……”

 『わらし』様の小さな両手が、五兵衛の肝っ玉をぎゅっぎゅっと揉みしだいた。 柔らかな温もりが、何とも言えぬ心地よい。 それに反応したのか五兵衛の

肝っ玉がじわっーと伸びてきた。

 「ううう……」

 ”ほれ、楽になってきただ……”

 楽になるどころの騒ぎではない。 極楽にいるかのような心地よさだ。

 「ああ……いっ」

 陶然としていた五兵衛がぎょっとした。 『わらし』様が、膳に尻を乗せている五兵衛の、その太腿に跨ってきたのだ。

 「なっ……なんねぇ! それだけはぁっ!」

 五兵衛の叫びもむなしく、『わらし』様が彼の不埒なものを跨いだ。

 ”ほれ、楽にしてやっぞ……”

 そして、童女の花弁が五兵衛自身に触れる。

 「くかっ……かあっ?」

 柔らかい花弁が屹立したそれに触れた。 それだけで甘い疼きがモノを包み込み、蜜のような快感がそれを伝って肝っ玉へと流れ落ちていく。

 ”ほーれ、ほれ……”

 ズブリ……

 男を迎える準備ができているようには見えない、幼い秘裂に五兵衛のモノが沈んでいく。 背徳感に身震いすると同時に、雄としての抑えきれぬ興奮を

五兵衛は覚えた。

 「わ、『わらし』様ぁ……」

 ”楽になってきたかぁ?”

 童女姿の『わらし』様が、ゆっくりと腰を落として来る。 ヌメヌメとした感触は、この世のモノとは思えぬ感触で五兵衛のモノを迎え、容赦のない快楽へと

引きずり込んでいく。

 「た、たまんねぇ……」

 ”遠慮せずとも好い、たーんと楽になるがよいぞ……ほーれ”

 『わらし』様が、ゆっくりと腰をひねる。 その腹の中で、彼のモノは『わらし』様の羽衣にまとわりつかれ、極楽へと達しようとしていた。

 「ああ……ああ……」

 ”さぁ、供物をささげよ……”

 『わらし』様が言うのと、五兵衛が『供物』を捧げるのが同時だった。 体の中を満たしていた、暖かい快感の波が、生暖かい『供物』となって『わらし』様に

捧げられる。

 ド……クリ。ドクドクドク……

 「おぅ……おぅ……」

 ”おお、たいそう熱い『供物』をじゃ……よいぞ……よいぞ……”

 五兵衛の股の上で、『わらし』様の幼い女体がくねくねとよがる。 それは、恐ろしく罰当たりな光景であった……


 ”……よいぞ……よいぞ……”

 あれから、どのくらいたったのか、『わらし』様のは五兵衛の股の上でまだよがっている。 むっちりとした尻が五兵衛の太腿に重く、ふっくらとした胸がほほ

を心地よく滑る。

 「……うう?」 

 五兵衛はぼんやりと『わらし』様を見つめた。 長い黒髪の美しい乙女、年の頃なら花も恥じらう十七、八だろうか。 その黒く美しい瞳には、年のいった壮年

の男の顔が映っていた。

 「……ありゃ?」

 自分の手を見る、節くれだったの手には年の重みが感じられた。

 ”どうした?……”

 「いつから……?『わらし』様?」

 五兵衛のあいまいな問い、『わらし』様は美しい顔に、妖しさの混じる微笑みと、可憐な唇で応える。

 ”ふふ……ずっとじゃ……あれからずっと……”

 そう言った『わらし』様は、五兵衛の上で身をくねらせた。 たちまち、五兵衛はえも言われぬ快感の渦へと吸い込まれていく。

 「ああ……『わらし』様ぁ……」

 ”それそれ……もっと……楽にしてやるぞ……”

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