第十五話 病

12.悪しき戯れ


 スティッキーの肌は微かに温かく。 じっとしていると、触れているかどうか、わからなくなる。

 「……」

 目の前の天使の存在を確かめたくなり、クロティルドは薄く目を開いた。

 ハラリ……

 クロティルドの視界の端で何かが動いた。 意識せずに動かした手がそれに触れ、それをつまむ。

 「あ」

 「何?」

 クロティルドは手にしたものをスティッキーに見せる。 それは赤い大きな羽毛だった。 スティッキーは

クロティルドからそれを受け取って眺める。

 「ボクの?」

 「大丈夫……なのですか? 抜けても」

 クロティルドの問いに、スティッキーは曖昧に笑って肩をすくめ、手にした羽をくるくると回し、それからにっこりと

笑った。

 「これで遊んであげる……キミと」

 クロティルドは小首をかしげた。


 あ……ああっ……

 切なげな少女の喘ぎが納屋に満ちる。 彼女は藁束に背を預け、一糸まとわぬ姿で足を投げ出していた。 

そしてスティッキーが、彼女に覆いかぶさるようにして肌を寄せている。

 サワサワサワ……

 スティッキーはクロティルドの体を軽く抑え、手に持った赤い羽根でクロティルドの胸の先、薄紅色の蕾を文字通り

のフェザータッチでくすぐっている。 

 ああっ……

 羽の先が蕾をはじくたびに、クロティルドの体には甘く痺れるような悦楽の波が広がり、彼女の喉から喘ぎ声を

あげさせる。

 「ふふっ」

 スティッキーは楽しげに笑うと、羽先で文字を描くようにしてクロティルドの胸をなぞった。

 かはっ……

 息を乱したクロティルドが、大きく口を開けて悶えた。 すかさずスティッキーが唇を奪うと、クロティルドは激しく

舌を絡めスティッキーを求めてきた。

 「んふっ」

 「ふぁうっ」

 つながった口の中で声を交わすと、スティッキーはクロティルドの上で身体を器用に半回転させた。

 「綺麗だよ……キミ」

 スティッキーは目の前のクロティルドの神秘に向けて呟いた。 そこは、固く閉じた蕾の様に見えた。

 ふっ……

 口の端だけで笑うと、スティッキーは手にした赤い羽根でスティッキーのへその下をすーっと撫でた。

 「あっ」

 クロティルドの体がビクンと跳ねる。 スティッキーは下の少女の体が跳ねるのを楽しむように、羽先を巧みに

動かしながら少女の神秘に近づけて行き、手前で方向を変えた。

 「はっ……はぁっ?」

 荒い息をしていたクロティルドは、いぶかしげな声を漏らした。

 「欲しい?」

 スティッキーが、クロティルドの神秘に向かって話しかけた。 クロティルドは返事をしようとして、スティッキーの

足の付け根を見ることになった。 そこには、彼女自身と同じ女の神秘が、テラテラと光を放って息づいている。 

それは神々しくさえあった。

 「ああ……」

 その輝きを見つめていると、魂が吸い込まれていく様な気がした。

 オイデ……

 誘われるままにクロティルドはスティッキーの神秘に口づけ、そこを舌で舐めあげる。

 「ひゃっぁ、大胆♪……ああん」

 スティッキーが喜びの声を上げ、腰を小さく振った。

 「じゃ、お礼」

 スティッキーは羽をすーっと動かして、クロティルドの神秘を端から丹念に撫でて行った。

 「あっ!?……ああっ……あああっ……」

 一本の太い筋の様だったクロティルドの神秘に変化が現れた。 筋の中から、薄紅色の肉の花びらがしずしずと

現れ、続いて花びらの間に赤く匂い立つ女の証が顔を見せる。

 「いっ……いーっ……」

 熱くトロリと甘い快感が、クロティルドの体に溢れかえった。 生まれて初めての女の快楽に、クロティルドは

少女から女へと変わっていく。

 「あはっ……ここは?」

 スティッキーは、花びらの中を渦を巻くように羽でなぞり、花の奥に羽を差し込んだ。

 「ひいっ!」

 毛羽先の一本一本が、目覚めたばかりの女の襞をつま弾くたび、クロティルドは歓喜の極みに押し上げられる。 

息ができないほどの喜びに、クロティルドの体は藁束の上でもんどりうつ。

 「うわ、激しいんだ……じゃそろそろ」

 スティッキーがずいっと羽を突き入れ、羽の先端がクロティルドの奥の奥に触れる。

 「!!……」

 脳天を突き抜けるような激しい快楽の波がクロティルドの体を走った。 クロティルドの体は弓なりに硬直し、

それから力を失って藁束の上に崩れ落ちた。

 ……

 静かになったクロティルドの上で、スティッキー静かに笑い。 力を失った少女を愛しげに撫でる。

 「良かっただろう……これでキミも……ねぇ……ボクの……」

 スティッキーの体は闇の中に溶けるように消えて行き、後には汗ばんだ体を晒して荒い息をする少女と、少年の

骸が残った。

 ホウ

 どこかでフクロウの鳴く声がした。

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