第十五話 病

6.悪い『初めて』


 「ジャック……」

 スティッキーがジャックを見下ろす。 獲物を追いつめた獣の様な瞳にジャックが震えた。

 「行くよ」

 宣言すると、スティッキーが深々と腰を沈めた。

 「!」

 固くなったジャック自身が、一気にスティッキーの胎内に突き立てられた。 薄い少年の皮がはぎ取られ、

猛々しい男の牙がむき出しにされる。

 「くうっ!……あぁっ!」

 が、ジャックが『男』でいられたのは一瞬だった。 艶めかしいスティッキーの『女』は、巧妙にジャックの男に

纏わり突き、媚肉のダンスで彼を魅了した。

 ヌリュリ、ヌリュッ、ヌリュッ……

 滑る感触がジャック自身を滑り落ち、摩りあげる。 その度に得も言われぬ疼きが背筋を走り抜け、彼自身をより

固く、そしてじわじわと蕩かしていく。

 「す、スティッキ……」

 「ふふっ……どう?」

 「き、気持ちいい……よすぎ……」

 初めての感覚は、それを受け流すすべを知らない少年には酷なほど強烈で、彼自身弓の様に固く反り返り、

根元がキュウキュウと音を立てる。 最初の一往復で暴発しても不思議ではなかったろう……しかし。

 「うっく」

 「ふふっ……はははっ……」

 スティッキーは、月を見上げて笑う。 笑いながらジャックの上で激しく腰を振った。

 「どうだい。 気持ちいいだろう。 良すぎてどうしていいか判らないだろう?」

 「ああっ、あああっ」

 熱くとろけるような快感に、先端が溶けてなくなってしまった様だ。 そしてその恐ろしい快感は、下に下にと

広がってくる。

 「溶ける……溶けていくよう……ああっ……」

 「くふふ……そう……溶かしてあげる……もっと溶かしてあげるよ」

 ジュクン、ジュクン……

 スティッキーの中からあふれ出る熱い滴が、ジャックのモノを熱く濡らす。 そこに、スティッキーの肉襞が激しく

ぶつかり、すり寄り、悶え、たぎる様に熱い快感に二つの玉が擦れあって、快感の呻きを上げる。

 「ふにゅぁぁ……」

 「ふふ……ここがたまらないんだろう……ああ感じる……ジャックが僕の中で暴れて……あふぅ……素敵……

たまらない……」

 うっとりと呟くスティッキーの言葉は、ジャックの耳に優しく聞こえ。 一方で激しくジャックを責めたてるスティッキー

の肉体に、ジャックの体が快楽の悲鳴を上げる。

 「うぁっ……ううっ……」

 終わりの見えない快感が、ジャックを責めさいなむ。 あまりに激しいスティッキーの責めに、ジャック自身が

男としての終わり方を見うしなってしまったのだ。 狂ったように悶えるジャック自身を、スティッキーの少女自身が

堪能する。

 「ジャック……いいよ……君……ああ……もっとかき回して……」

 「す、スティッキー……ああっ……」

 ビクビクと震えるジャック自身が、スティッキーの中を抉り、かき回し、柔壁を刷り上げる。 散々暴れた挙句、

それはついに『絶頂』という逃げ道を探り当てた。

 「あ……」

 気の抜けたようなジャックの声と共に、熱い快感が彼の全身を支配した。

 「……」

 声すら出ない、全身の全ての熱が吹き上げる様な感覚と共に、ジャックはスティッキーの中に放っていた。 熱い

奔流が、スティッキーの少女を『女』に変える。

 「うっ……うふっ……きた……」

 静かに宣言したスティッキーは、幼い女体を桜色に染め、ジャックが遠慮のない『愛』を受け止める。

 「あはっ……熱い……いい……」

 囁きながら、快感に身を震わせるスティッキー。 その下腹がヒクヒクと蠢き、ジャック自身がドクドクと吐き出す

熱いモノを貪っているかの様だった。

 ふぅふぅふうっ……

 はあっはあっはあっ……

 二人はつがいの獣と化し、月明かりの下で互いを貪り続けた。


 く……ふっ

 トタと音を立て、ジャックの手が下草の上に投げ出される。 スティッキーの誘われるままに幼い獣と化し、彼女の

胎内に己の『愛』を何度も捧げた。 もう体を動かすのもおっくうだ。

 「ジャック?」

 スティッキーが彼を覗き込んだ。

 「スティッキー……ごめん……もぅ」

 あとは言葉にならない。 するとスティッキーがするりと彼から離れた。

 「ふふっ……頑張ったね……君」

 白い裸身が翻り、墓場の中で踊る。

 「君……よかったよ……とっても」

 声が遠ざかっていく、ジャックは重い体を起こし、声の先を見た。

 ……ははっ……また遊ぼう……また、悪いことしよう……

 白い影は踊りながら消えていった、闇の向こうに。


 ヒョウ……

 微かな風が氷のように冷たく感じられ、体がずっしりと重い。 ジャックは体を起こすと、夜露に濡れた冷たい衣服を

身にまとった。

 「く……」

 墓石を支えにし、鉛のように重い体を引きづるようにし、ジャックは墓場を後にした。

 白々とした月明かりに照らされた墓石が、彼を見送る。


 帰り着いたジャックは、神父の厳しい叱責を受けた後、高熱を出して寝込んでしまう。

 神父は、同じ教会に暮らす子供たちに、ジャックに近づかないよう告げた。

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