第十一話 シェア
4.彼は彼女に
『タカシ』は、そわそわと落ち着きなく身じろぎし、ベッドにあぐらをかいている『サツキ』の男性自身(もともと自分の)
に手を伸ばし、引っ込める。
「……ふーん」
『サツキ』は、しばらく『タカシ』の行動を観察していた。 しびれを切らしたのか、自分からにじり寄ってきた。
「あの……ちょっと待って」
逃げ腰になる『タカシ』の胸で、可愛らしい乳房が震える。
「大丈夫、 ボクに任せて」
『サツキ』は『タカシ』を宥めつつ、『タカシ』の太ももを手で押さえた。
「まず、ボクが口でしてみる。 後は成り行きに任せよう」
「えーと……」
『タカシ』がどう返答したものかと考えていると、その隙を狙いすまし『サツキ』が『タカシ』の女性自身に口づけた。
「!」
初めての感覚に、上体が仰け反る。
「うふ。 感じるところは判ってるんだ。 すぐ気持ちよくなれるよ」
……うん……
『タカシ』は、なぜか自分と『サツキ』の声を遠くに聴いていた。
『タカシ』の陰核を『サツキ』が咥え、吸いながら舌でなめる。
あ……あぁ……
何という快感。 触られているの陰核なのに、体の奥底に喜びが沸き起こる。
……ほら……体の奥底が熱くなってくるだろう?……
カクカクと首が動いた。 自分は頷いているらしい。
……奥が……熱くて……ううん……熱いの……
『タカシ』の口調が女の子言葉になっている。 もっとも、細い首から出てくるのはサツキの声だから、むしろ自然だった。
……我慢しなくていいんだよ……感じるままに……動いて……
……うん……
『タカシ』の腰が小刻みに震える。 震えながら、女の子の大事な所を『サツキ』に晒けだす。
……して欲しいんだ……
……して……お願い……もっと……あっ……
『サツキ』は『タカシ』肉襞の周りをはみながら、神秘の洞窟を少しずつ舐めていた。 泉の様に、熱いぬめりがこんこんと
湧きだし、『サツキ』を濡らしている。
……すごいよ『タカシ』……
……『サツキ』も……
夢心地で応える『タカシ』。 少女の肉体から沸き起こる快楽に、少年の魂が翻弄されている。 いわば『タカシ』の魂は、
タカシの肉体を持った『サツキ』と、サツキのの肉体の2つから愛されている様なものだった。
……『サツキ』……いい……
……ねぇ『タカシ』……ボクにもして……
薄目を開けると、仰向けになった『タカシ』に『サツキ』が体を重ねてきていた、逆体勢で。
……あ……ぼくんだ……
さっきまで『タカシ』のものだったソレが、逆さまになって彼の眼前に迫ってきていた。 そう思ったとたん、体の中に熱い
欲望が沸き起こる。
……欲しい……うそ……でも……
躊躇する『タカシ』を、『サツキ』が誘う。
……『タカシ』……して……
ズクン!
『サツキ』の声に誘われるように、女の欲望がサツキの体に沸き起こる。 熱い欲望に『タカシ』の魂があっさり屈服する。
……『サツキ』……好き……
『タカシ』は愛しげに『サツキ』を口に迎え入れた。
チュル、チュル、チュル
……あん『タカシ』……うまい……気持ちいい……
当然である。 いつも自分が『使っている道具』なのだ。 どこが感じるか、熱くなっていくにつれて、どう感じ方が変わって
いくか、よく知っている。
……ボクも……
『サツキ』が『タカシ』の女性自身を愛し始めた。 的確な愛撫で、神秘の門から女体の本尊に至る愛の参道を、丁寧に掃き
清めていくく。
……はぅっ!……
……こうされると、ボクの体はすごく気持ちよくなるだろう?……あっ……
『タカシ』も負けていない。 女の子の舌が蛇のように『サツキ』に絡み付き、『タカシ』の知っている知識を元に愛撫し、
『サツキ』を快楽に引きずり込んでいく。
……『サツキ』……
……『タカシ』……
若い二人は夢中になり、互いの体を使って……いや、互いの体に操られるように快楽の絶頂に駆け上がっていく。
……『サツキ』ぃ!……
……『タカシ』ぃ!……
熱い迸りが体を駆け巡り、次の瞬間、目くるめく快感に魂がつつまれた。
「あっ」「いくっ」
二人は、息を合わせて白い絶頂の山に駆け上がり、そして幸せな暗黒の余韻に落ちて行った。
数分して、二人は意識を取り戻した。 もそもそもと動いて、後始末をすませ、顔を見合わせる。
「戻ってない」
「うん」
しばらく黙りこむ。
「やっぱ、正式じゃないとダメかな」
「正式……」
ずざっと『タカシ』が後ずさった。
「それって………アレをアレするんだよね」
ちよっと怯えた顔の『タカシ』(顔はサツキだが)に、『サツキ』はにぃと笑ってみせる。
「大丈夫、やさしくするから。 ボクを信じて」
「うん」 心細げに『タカシ』は頷く。 「痛くしないでね」
プッ
『サツキ』が吹き出した。
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