第十一話 シェア

2.彼女と彼


 ユニットバスから、サツキがシャワーを浴びている音がしている。 さっきまではタカシが使っていた。

 「……」

 タカシは下着姿でサツキのベッドに座っていた。 落ち着きなく辺りを見回し、サツキの下着を見つけ慌てて天井に

視線をそらした。 

 「……」

 カタカタカタカタ……

 物音が聞こえてきたのでそちらを見る。 ベッドの端に掛けられたタカシのズボンの金具が震え、ベッドに当たっている。

 震えの正体を探すと、自分の膝が震えていた。

 「えーと」

 照れ隠しに、近くにあったファッション雑誌を広げる。 スマートな顔立ちのモデルと、化粧品の広告が目に入り、なんとなく

それを読む。

 「マジステール化粧品……」

 カチャリ。 ドアの金具が鳴る音に、タカシの心臓が飛び上がる。 首だけを回して背後を見る。

 「どしたの?」

 タカシはベッドの上で硬直していた。 シャワーを浴びて上気した体を、バスタオル一枚で隠しただけの少女が目の前にいる。

およそ現実とは思えない。 かろうじて言葉を絞り出す

 「……あ、あの」

 サツキはじっとタカシを見つめ、一言。

 「可愛い♪」

 真っ赤になったタカシを、サツキはベッドに押し倒し、猫の様に体を摺り寄せる。 サツキの体温が、シャツの布地越しに

感じられた。


 (わぁー……)

 サツキはタカシの耳を唇の端で咥え、形をなぞる様に動かし、耳の中に舌を入れる。 体をくねらせるようにして、タカシの

体に自分の胸や腰を押し付けてくる。

 (ど、どうしよう……)

 目の前にサツキの耳が見え、体には女の子の温もりが伝わり、鼻孔には女の子の匂いが溢れている。 なのに、タカシは

何もできずにいた。

 「んー」

 サツキが体を起こした。

 「こういうの、嫌?」

 タカシはブンブンと首を横に振る。

 「大好き?」

 今度は首を縦に振りる。

 「うふ♪……H」

 タカシは真っ赤になった。

 「……そうね、ボクがタカシを気持ちよくするから、タカシはボクに……して」

 最後の所で、サツキはちょっと顔を赤くし、それを見たタカシは心臓の鼓動が跳ね上がった。


 タカシの下着を、サツキが脱がせ、サツキのバスタオルをタカシが脱がせた。 女の子の匂いが一層強くなる。

 「タカシが下ね」

 タカシは、今度は自分から横になり、サツキを待つ。 

 「!?」

 キスからと思っていたら、サツキはタカシの顔を跨ぐようにして体を重ねてきた。 顔を上げようとして、サツキの……

『女の子』の部分と鉢合わせする。

 「!」

 また硬直するタカシ。 その隙に、サツキはもう一つのタカシを咥え、そっちのタカシも硬直させる。

 ん…… んー んー

 「ふにゃぁ」

 咥えられたまま喋られ、微妙な振動がなんとも心地よい。 動きをとめてしまったタカシの目の前で、サツキの

『女の子』が抗議するように左右に揺れる。

 「あ……うん」

 つい、そこに返事をしてから、タカシは意を決し、サツキの『女の子』にキスをした。 細い腰が電気に打たれたように

震える。

 「ご、ごめん」

 サツキに謝ると、返事の代わりにタカシの『男の子』が吸い上げられ、舌が亀頭を丁寧に舐めはじめた。 背筋が

ゾクゾクして腰が抜けそうなほど気色がよい。

 「うぁ……そ、そうか言葉じゃなくて……」

 タカシは、もう一度『女の子』にキスすると、神秘の門にオズオズと舌を差し入れ、ゆっくりと縦になぞる。 ヒクヒクと

サツキが震え、お返しとばかりにタカシのものをしゃぶる。

 ジュルン……

 口を開いてサツキに吸い付き、強弱をつけて吸う。 サツキの様子を伺いながら、丁寧に舌を使ってサツキの感じる

ところを探っていく。

 ビクン! ビクビクッ!

 サツキの腰が震え、お尻が彼の顔の上で弾んで、サツキが喜んでいるのが判る。 お返しとばかりに、サツキの舌が

タカシの男性自身を隅々まで這い周り、タカシの感じるところを探してくれる。

 (そこっ!……あっ!……いいっ!)

 声を押し殺し、タカシとサツキは愛し合う。 二人の動きは次第に調子があっていき、一つの生き物の様な動きになって

いった。

 ツーン……

 大事なところに熱い圧力を感じる。 あの瞬間が近い。

 (いけない……どうしよう)

 タカシの迷いが知多の動きに出た。 すかさずサツキの舌が動いて、男の魂を抉る様に舐め吸う。

 (いいよ……このまま)

 それでもタカシは迷ったが、彼の体は迷わなかった。

 キューン…… ヒクッ……ヒクヒクヒクヒクヒク……

 芋虫の様に、男性自身がサツキの口の中でのたうったのが判った。 サツキは臆する様子もなく、タカシの男性自身を

強く吸っていた。 彼の精は、全部自分のだといわんばかりの勢いで。 そしてお返しの様に、彼女から『女の子の滴』が

あふれ出し、タカシの顔を濡らした。 タカシは半ば反射的に、それを口で受け止めた。

 (あっ……)

 くらくらするような酩酊感があり、からだがふんわりとした温かみに包まれる。 ごく自然に、タカシの舌はサツキのそれを

舐め取っていく。

 (あぅーん……)

 サツキのそれが、からだに染みていくかのよう。 甘い、甘ーい感覚が、彼を虜にする。

 (サツキぃ)

 (タカシぃ)

 初めてとは思えないほど、ピタリと息の合った絶頂。

 甘い蜜のような幸福感、二人の意識はそこにゆっくりと沈んでいった。

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