第十話 酔っ払い

6.さしつ、さされつ


 「よ、よせぇ」

 力なく呻く男。 体の力が入らず、だらしなく床に伸びている。 白衣の『赤ワイン』女は、その顔を覗き込み妖しく

微笑む。

 ドッキン……

 まじかに見える赤い顔に、動機が跳ね上がった。 女の体から香る甘い香りが、鼻腔を艶やかにくすぐる。

 「ふふっ……」

 彼女は男の反応を確かめたのか含み笑いをし、ぐったりした体を抱え上げてそばの寝椅子に横たえる。 そして、

男の服をはだけると、白衣に包まれた赤い女体を重ねてきた。 糊のきいた白衣が、裸の胸を引っかく。

 (……)

 赤い女の顔が視界にせり上がり、肌が触れ合わん程の距離で止まった。

 フフッ……

 思わず目をつぶった。 それと同時に、柔らかな唇が彼を襲う……


 滑り込んできた舌が、彼の舌に絡み、粘る。 口の中の敏感な部分を、舌先が探り当て、己がものにしていく。

 (くおっ……こいつっ……)

 抗おうにも、力が入らない。 何より口の中を這い回る『赤ワイン』の舌は、極上の酒を味わっているかの如く、

彼を酔わせていく。

 (うっ……)

 次第に意識が酩酊しいく。 耐え切れずに目をあけると、赤く潤んだ瞳が彼を見つめていた。

 (……)

 酔いのせいか、何かの術か、意識が瞳の色の赤に染まっていくような気がした。 知らず知らずのうちに、男の舌が

赤い舌と絡み合う。

 ンフッ……

 鼻にかかった喘ぎをもらした『赤ワイン』女は、男の上でズルリと動いた。 白衣が体を擦った、と思ったら顔を白い布が

顔を覆う。

 (……?)

 なんだろうとぼんやり思っていると、彼自身が滑った何かに包まれ、ジワリと暖かまってきた。

 「どうだ、私の胸は?」

 白い白衣からこぼれた赤い乳房、その谷間に彼自身が挟み込まれ、愛撫されているのだ。

 (あっ?……あぁ……)

 『赤ワイン女』から、アルコールが染み込んで来るのか、それとも『赤ワイン』女自身が染み込んで来るのか。 彼自身を

包む暖かな感覚が、じわりじわりと染み込んで、其れを心地よさで固くしていく。

 「はぁ……」 

 つい、快感の喘ぎをもらしてしまう。 すると、幕が上がるように顔を覆っていた白い布がずれ、赤い秘所が眼前に現れた。

 (ああ、さっきの布はスカートか。 じゃあ下着を履かない趣味なんだな)

 妙な事を考える男。 さらに酔いが回ってきたようだ。

 ”キテ……”

 赤い秘所が、陰唇が、彼を誘う。 彼は、陶然とした心地で、赤い秘所に口付けし、其れを啜る。


 ト……ロー……リ……

 生暖かく、甘い香りの粘液が、彼の口に流れ込んで来る。 舌にそれが絡みつくと、生暖かい痺れが舌に染み込んでくる。

 (ふぉぁ)

 頭の中が溶けていくような快感と『酔い』。 理性が消えて、目の前の快楽が全てになっていく。

 ズチュ…… チュバ…… チュバ……

 あはっ……もっと……もっと……

 『赤ワイン』女は、腰をうねらせてよがり、その虜になった男は、彼女の秘所を愛する、深く、深く……

 かはっ……

 『赤ワイン』女は、大きな快楽のうめきをもらして背をそらした。 次いで、白衣の前をはだけて赤い乳房をむき出しにすると、

男自身を再び胸の間に収めた。

 ジュッ…… うぁ…… あぁぁぁ……

 二つの赤い魔球の間で、彼自身がこね回され、滑るものの中で溺れされた。 目撃するものが居れば、赤い半透明の乳を

透かして、よがり狂う男自身を見ることが出来たろう。

 さぁ……もっと……もっとするの……

 激しく責める『赤ワイン』女に命じられるまま、彼は『赤ワイン』女の秘所激しく愛撫する。 二人は一つの生き物になったかの

ように、激しく相手を求め、快楽に酔いしれた。


 あぁぁぁぁぁぁ……

 ひっ……ひぃ……

 唐突に終わりが来た。 二人は互い自身を咥えたまま体を硬直させ、しばし後に力なく突っ伏す。 

 「くふっ……これって楽しいわぁ……あはっ……」

 『赤ワイン』女が耳元で囁き、男の体を抱えあげるて表に放り出する。

 「畜生……ヒック」

 痛みで正気を取り戻した男に、服一式が投げつけられた。

 「あと一回チャンスをあげる。 せいぜい頑張ってね」

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