第八話 変

5.縮められ


 ごほっ……

 夜鍋は、仲居の乳房を口から押し出した。 仲居の乳房は形を取り戻し、つややかに光ってふるふると震えている。 

 「では……おいでなさいませ」

 二人の仲居の片方が招くと、あの吸い寄せられるような感覚が夜鍋を包んだ。 しかし、女に誘われる事が不快なはずは無い。 

彼は臆すること無く、仲居を組み敷いた。

 ふわり……

 「おぅ……」

 仲居の体は、優しい弾力で夜鍋を受け止めた。 続いて、しなやかな手足が夜鍋の手足に絡みつき、夜鍋自身を仲居の−−

『ずぶり』の秘所に導いた。

 ヒチャ……ヒチャ……

 「ぬっ……」

 まるで口で咥えられたような感触。 そして、柔らかくぬるぬるした幕が、彼自身を包み込み、暖かく滑った所に引きずりんだ。

 「うっ……」

 それが『ずぶり』の胎内なのだろうか。 無数の襞が蠢き、彼自身を嬲り、貪ろうとしている。 その不思議な感触は、抗うことの出来ない

快感で彼を支配する。

 「おぉ……」

 感極まり硬直する夜鍋の耳に、『ずぶり』が囁く。

 「心地よいでしょう……ほら、体が蕩けそう……」

 『ずぶり』の艶やかな声は、耳に心地よい。 聞いていると心に染み込んでいくようだ。

 「とろけそう……とろけ……いく……あぁ」

 生ぬるい快感に浸っていた夜鍋は、自分が知らぬ間に『ずぶり』の中で果てていたのに気がついた。 いや、果てたと言うのは正しくないかも知れない。

 ヒクッ……ヒクッ……

 「いい……いい……」

 大事なものはジンジンと快感に震え、ゆっくり、少しずつ、粘っこいモノを吐き出している。  それが果てることなく続いている。 

 「蕩けて……いくぅ」

 『ずぶり』に抱かれ、至福の夢をさ迷う夜鍋。 その体は『ずぶり』の上で、ヒクリ、ヒクリと震えていた。


 ズルリ……トス。

 「ん……」

 夜鍋は、体が弾んだ様な気がして我に返った。 彼の下には『ずぶり』の腹があり、彼自身は『ずぶり』に咥えこまれたまま、しかし。

 「あれ? ……『ずぶり』さんが、ずいぶんでかくなったような?」

 そう、夜鍋の下の『ずぶり』は、先ほどまでの三倍ほどの大きさになっていた。

 「いえ、貴方様が小さくなられたのです」

 夜鍋は腹這いのまま『ずぶり』の声の方に視線をやる。 白いふくらみが視界を遮り、その向こうから声がしている。

 「あれが乳か……」

 『ずぶり』に魂を奪われたのか、もともとなのか、頭がうまく働かず驚きの感情もおこらない。 夜鍋はトロンとたしまらない表情で、女の腹に顔を埋め、その匂いと

温もりを楽しんだ。


 「さ、今度はこちらで……」

 『ずぶり』の声が、乳の向こうからした。 夜鍋は、考えることも無く手を乳に伸ばした。

 「お……おおっ…」

 『ずぶり』の乳は夜鍋の手が触れると、別の生き物の様に動き、その谷間に夜鍋の手を導いた。 続いて、その手を谷間に引きずり込んでいく、夜鍋の体ごと。

 ズッ……ズッ……

 夜鍋の体は『ずぶり』の腹の上を引きずられ、乳の谷間に咥えこまれた。

 「では、存分に……」

 『ずぶり』の声がすると、二つの乳房が緩やかに動き始めた。 タプタプと波打つようにうねり、間に挟まった夜鍋の体をくすぐる。

 ……

 波打つ乳房の谷間で、夜鍋は全身を揉み解される。 『ずぶり』の愛撫と温もりに、夜鍋の体もまた柔らかくなっていくかのようだ。

 「い……く……」

 ずぶりの温もりの中で、夜鍋はまどろみにも似た快楽に身をゆだねる。 

 タプン、タプン……

 揺れる乳房に包まれた夜鍋は、ありえない肉の交わり酔いしれた。


 「ぷは……露天風呂?」

 顔に外気が当たり、夜鍋は目を開ける。 一見すると露天風呂のような場所で、彼は乳白色の湯に浸っていた。

 『いかがです?』

 『ずぶり』の声が頭上より振ってきた。 そちらに目をやれば、なにやら大きなものが上から覗いている。 

 『随分かわいらしくなられましたこと……そこは、私の胸の谷間……』

 「……おお、そうか」

 そこは『ずぶり』の胸の谷間、そこに乳が湛えられ、夜鍋はそこに浸されていた。 もっとも、その『乳』は、香りこそ乳だが、手触りはドロリとした乳白色の暖かい

得体の知れない液体だった。

 『ではゆるりと……』

 乳房が揺れ動き、夜鍋の腰から下を咥え込む。 と同時に『乳』の水面が盛り上がり、彼の目の前に、彼と同じスケールの女が顔を出した。 女は、夜鍋に

抱きつき、唇を奪う。

 「ごふっ?……」

 女の体は、どうやら『乳』できているらしかった。 『ずぶり』より柔らかく、それでいて手ごたえもあり、夜鍋を捕らえて離さない。 

 フニ、フニ、フニ……

 夜鍋の下半身は、『ずぶり』の乳の谷間に咥えられ、顔は『乳』女のドロドロたした乳の谷間に捕らえられた。 その異様な交わりの中で、夜鍋の体は三度

蕩けていく。

 「あぁ……」

 夜鍋は、『乳』女に半ば体を埋めながら果てた。 ヒクヒクと快楽に震える体はさらに縮んでいく。 そして、次はこの『乳』女の胸で…… 彼は蕩かされ、奪われ

縮められ……それがどこまでも、続くのだろう……彼が望んだ通りに。


【<<】【>>】


【第八話 変:目次】

【小説の部屋:トップ】