第八話 変

4.一人目は


 「ノリがいいな、黒川」 一人慌てている黒川を、夜鍋がなだめる。 「妖しい妖怪に襲われる『イメクラ』…… うん『空気を読んで

恐れおののく』のが正解だな、お前みたいに」

 夜鍋は、にやけながら前に進み、女将の乳房を掴んだ。 

 「いやいや、とても人とは思えない見事な……」

 夜鍋は、言葉を途中で切り、目をむいた。 女将の白い乳房に指が沈み込んでいき、指の間から、白い粘土の様に乳房がはみ出し

てくる。

 「!」

 背後で見守る三人の前で、夜鍋の手は女将の乳房に『ずぶり』と沈み込んだ。

 「……」

 硬直した夜鍋は、意識せずに手を動かした。 女将の乳房の中でネットリした温かみが手に絡みつく。 そして……

 「ああ……そのように……」

 背筋がゾクゾクするような声で女将が喘ぎ、二つの乳房がビクり、ビクリと震える。 震えは次第に早くなり、そして。

 「あぁ」

 女将が極みの声をあげるのと同時に、薄紅色の乳首が粘っこい『乳』を、夜鍋に浴びせかけた。

 「うぁ……」

 よける間もなく、夜鍋は顔面から『乳』を浴びる。 『乳』は、生き物の様に夜鍋の全身に広がり、服ごと白く染め上げていく。

 あ……あ……


 「うわーっ!」

 黒川が叫んで走り出した、他の三人を置き去りにして。 墨屋、闇垂が慌ててそれに続く。 残されたのは、カーネルサンダースの様に白い

人形になった夜鍋のみ。

 「お客様、失礼致しました。 いきなりの事につい…… さぁ、この方を奥で歓待して差し上げなさい」

 女将は二人の仲居を呼ぶと、夜鍋を奥に運ばせた。


 「……?」

 意識を取り戻した夜鍋は、目の前が黒いので驚いた。 自分が見ているのが空であることに気がつき、上半身を起こす。 敷き布団が板の間に

延べてあるが壁が無い。 そこは、屋外に作られた舞台のような場所であった。

 「お目覚めでございますね。」

 声に振り向くと、白装束の仲居が正座で控えていた。

 「女将が不調法を詫びておりました」

 反対方向からの声にそちらを向く。 自分の足先の向こうに、同じように別の仲居が控えている。 夜鍋は、ようやく自分が裸にされていることに

気がついた。

 「……ひっ!」

 思い出した、この女達は怪物だ。 夜鍋は身を翻そうとしたが、布団の上で横に転がっただけだった。

 「お客様……私共を怖がっておいでですか?」

 「では……」

 二人の仲居が交互にしゃべりつつ、距離を詰めてきた、正座のままで。 両足に柔らかな重み。 そちらを見れば、着物の前をはだけた仲居が、彼の

足に圧し掛かり胸をふとももにのせている。

 「……」

 仲居は体を滑らせ、ひしゃげた乳房の裾で彼の男性自身の根元に触る。 そのままじわじわと進み、乳の谷間に精の袋を迎え入れ始めた。 夜鍋は

後ずさろうとし、背中から柔らかい物にぶつかった。

 「そう慌てずに……」

 もう一人が背後から彼を抱きとめていた。 背中に当たる生の乳の感触は、女将の胸の様に、柔らかく、暖かく、そして滑る物体が軟体動物の様に背中を

這いずっている。

 「おう……」

 心地よい感触に心奪われ動きが止まる。 その隙を狙うかのように、彼の男根は、足側の仲居の乳の谷間に呑み込まれつつあった。 乳房が滑るのか、汗か

何かなのか。 粘っこい柔らかさに、男根が強張っていく。

 「こりゃ。 すげぇ」

 「お気に召しましたか……良い心地でしょう」

 耳元で仲居が囁く。 耳たぶをはみ、下で耳の中を擽りながら、言葉を流し込んで来る。

 「あなた様の『恐れ』を取り除いて差し上げます」

 「あん?」

 とろんとした目つきで、夜鍋は背中側の仲居を見上げた。 言葉の意味を理解していないようだ。 仲居は言葉を選び、話しかける。

 「もうじき、×××が溶けちゃいそうに、気持ちよーくなりますよ。 そうしたら、私達が怖いという気持ちが、全部吸い出されて、とーっても楽しくなります」

 「……そ……そぅ」

 夜鍋は上の空で応えた。 仲居に言われるまでもなく、乳房の間に呑み込まれた男根は、柔らかな粘りの中で愛され、蕩けてしまいそうだ。 そして、その快感は

男根から腰に広がりつつあった。

 「気持ちいいぞぉ……あ」

 夜鍋は、体全体がほんわりと暖かく痺れていくのを感じた。 抑えようの無い快感に支配され、男根がヒクヒクと蠢く。 足側の仲居はその動きを察し、乳房の間

から亀頭を覗かせると、そこを口に収めた。

 「あ……」

 暖かい湿り気を感じた途端、男根が熱い粘りを放つのを感じる。 同時に、体の中から黒いしこりの様なものが消えていく。

 「いく、いくぞぉぉぉ! たまんねぇぇぇ!」

 盛大に喚きながら、夜鍋は放ち続けた。


 「こちらがよろしいですか?」

 「いい、いいぞ」

 『恐れ』を奪われた夜鍋は、心から二人の仲居のもてなしを楽しんでいた。 『ずぶり』である仲居達の白い裸身は蕩けるように柔らかく、力を入れれば中に潜り

込んでしまう。

 「ああ……」

 『ずぶり』は胎内で感じるのか、夜鍋が手やアレをもぐり込ませると、妖しい表情で悶えるのだ。 仲居は胸の間に夜鍋の顔を挟み、きつく抱きしめる。 顔が半ば

『ずぶり』にのめり込み、ヌメヌメした乳房で頬が嬲れる。

 ごぼっ……

 夜鍋は『顔』で果て、布団に身を倒す。 二人の仲居は夜鍋に寄り添い、柔らかく纏いついて胸や秘所に夜鍋にを誘う。 極楽だった。


 「んー」

 夜鍋は仲居の胸に顔を埋めつつ、微かな不満を感じた。 仲居がそれを読み取る。

 「何かご不満がおありですか?」

 仲居の言葉に、夜鍋には応えた。

 「んーと、パイズリがすげぇいいんだけど……顔とか、アレだけとかでぇ」

 クス……

 仲居が微笑み、彼の顔を乳に迎える。

 「ご希望があれば、かなえましょう」

 ムニムニと乳房が蠢き、彼の口を犯そうとする。 夜鍋の唇に仲居の乳首が触れると、奇妙な感情が沸き起こる。

 (吸いたい………)

 口が仲居の、いや『ずぶり』の乳房に吸い付いた。 『ずぶり』の乳房は形を変えながら、夜鍋の口を犯す。

 あ……

 『ずぶり』の乳房は、口の粘膜に吸い付き異様な快感を生み出し、夜鍋の体を支配する。 ドロリとした『ずぶり』の乳が夜鍋の口に注がれ、体にじわじわと染み

とおる。

 『わが乳の谷間を存分に味わいたいのですね』

 『うん』

 『では、願いなさい。 わが胸に収まるほどの大きさになりたいと、わが乳の谷間で存分に逝かされたいと』

 『おお……縮みたいぞ。 女の谷間に納まるほどに。 小さくなりたい……そして、全身を揉み揉みされたいぞ……と』

 夜鍋は、全身が変わっていくのを感じた。 染み込んだ『ずぶり』の乳が、彼を変えていくのを。

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