第六話 童

3.救助


 「ま……」

 言葉が途切れる。 雪童の陰唇が股間を舐めた次の瞬間、体の自由が失われていた。

 チュル、チュル……

 次第に熱く粘ついていく雪童の感触が、恐怖と快楽の両方を連想させる。

 チュ……プリ……

 くっ……

 粘つく洞に、先端が呑み込まれ、滑る襞が亀頭のエラを爪弾き、熱い快感がイチモツを芯から熱くする。

 「熱いの……好きなの……」

 胸を舐めながら雪童がささやく、地獄の誘惑を。

 (ああああああ……)

 彼はあっさりと堕ちた。 雪童の望むままに腰が動き、幼い魔性の『女』にイチモツを深く沈める。

 ヒクヒクヒク…… 男根が滑る洞を前後する感触に、魂が歓喜の叫びを上げる。

 ビチャビチャ…… 雪童の『女』が愚かな獲物にむしゃぶりつく。

 (ひいっ……ひいっ……ひいいいいっ……)

 彼は、ドロリとした熱い物が吹き出る快感に、全身を慄かせた。 

 「あふ……熱いの……」 喘ぐ雪童。 そして……

 ジュップジュップジュップ…… 吸っている。 雪童の『女』が彼の熱いものを吸いだしている。

 ひぃ……ひぃ……ひぃぃぃぃぃ……

 止まらない。 吸われるごとにあふれ出す精、そして熱。 そして吸われるごとに感じる絶頂感。

 ひぃ……ひひひ……いひひひひ……

 止め処ない快感に、彼は狂ったように笑い続けた。


 ジュップ……

 どのくらいたったろうか、雪童が吸うのを止めた。 途端に彼の全身が震えだした。

 カチカチカチカチカチカチ……

 歯の根が合わない。 体の芯が冷え切って凍えそうだ。

 「さ、寒い……そ、そうだ」

 震えの止まらない手で、必死にポケットを探る。 そしてチョコレートバーを見つけた。

 彼は、どうにか包装を食い破り、中身を貪り食う。 そして次のチョコレートを……

 手持ちの非常食をあらかた食べつくした頃、ようやく震えが止まった。

 「た……助かった……」 


 「暖めて……」 三番目の雪童の声がし、彼は凍りついた。

 「こ、これ以上は……うっ」

 雪童の『女』が彼を捕まえ、声が出なくなる。

 「はぁ……はぁ……」

 幼く淫らな喘ぎ声がシュラフの中に満ち、粘る擦過音が大きくなる頃、彼は再び雪童の快楽の虜となる。

 (き……気持ちいい……)

 熱い精が泉の様に湧き出し、熱い快感と共に雪童に吸い出される。

 「熱いの……好き」

 満足げな雪童の喘ぎが耳朶を打つと、深い喜びが彼の心に沸き起こる。

 ジュプジュプジュプ……

 彼は次第に薄れてゆく意識のなかで、貪欲に魔性の快楽を貪り、代償に命を貪られ続ける……


 「おい……おい!!」

 聞きなれた声と、頬を張る痛みで彼は目を覚ました。

 目を開けると、山岳同好会の仲間達が彼を見下ろしている。

 「あれ?」

 「あれじゃねぇ!」

 「いつはぐれたんだ!」

 仲間達の話では、気がついたら彼がいなくなっていと言うのだ。

 「あれから丸一日たっているんだ」

 「一日……」

 彼はシュラフから這い出しながら、雪童の事を思い出した。

 「あれ、雪童は?」

 「は?」

 「いや……」 (あれは……夢だったのか)

 冷え切った体を仲間の差し出したホットミルクで暖めながら、彼は常識的な考えで自分を納得させる。

 「なんでもないです」

 そう言いながらポケットに手を入れた。

 ガサリ。 中は菓子の包装紙でいっぱいだった。

 「……」 顔色が変るのが自分で判った。

 「顔色が悪いぞ」

 「無理もないさ……ま、大事にならなくて良かった」

 「全くだ、歩けるか?」

 彼は無言で立ち上がった。 が、よろけて倒れた。

 「……」

 「かなり消耗しているな。 何か腹に入れて休め」

 数時間後、彼らは甍岳を後にした。

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