第六話 童

2.目覚め


 ブオッ……

 風が鳴き、凍える白い闇が彼らを包んだ。

 「わわっ!」

 叫んだ口に粉雪が飛び込む。

 「お、お前らが吹雪を呼んだのか!?」

 「知らなーい」 「ねー」 「ねぇ」

 渦巻く吹雪の中で、『雪童』の声ははっきり聞こえた。 無邪気な声がかえって不気味だが、それより吹雪を避けなければならない。

 「とにかく、どこかに避難しないと……でもここじゃペグ(テントのくい)も打てない。 どこかに風除けになりそうなものを探さないと……」

 彼は『雪童』に背を向け、数歩進む。

 バフッ 

 「わっ!? 吹き溜まりか……よし、雪洞(せつどう)を作ろう」

 彼は小型のスコップを取り出し、大急ぎで雪を掘り出した。


 ぜーぜー……

 彼は、雪洞作り競争があれば日本記録間違いなしの勢いで、雪を堀って横穴を作り、中に潜り込む。

 「ここで吹雪が止むのを待つしかない……」

 シュラフ(寝袋)の中に入って一息いれ、ようやく『雪童』の事を思い出した。

 「あの子達はどこに……」 呟いた途端。

 「じゃまするね」 「おじゃま」 「じゃまじゃま」

 当の『雪童』が雪洞に入ってきた。

 「わっ!どこからわいたっ……こら何をする!」

 「寒い」「さむい」「サムイ」

 口々に寒い寒いといいながら、裸の幼女達がシュラフのチャックを開け、中に潜り込んで来た。 そして中からチャックを閉める。

 (どうなってるんだ!?)

 シュラフは普通大人が一人入ればいっぱいのはずだ。 ところが、子供とはいえ『雪童』が三人も中に潜り込んで来た。 いや、それどころか……

 「寒い」「さむい」「サムイ」

 ごそごそと、アノラックの中に、いやそのさらに内側にまで潜り込んでくるではないか。

 「おい!?」

 彼から見える範囲では、シュラフに四人も入っているようには見えない。 しかし、彼は素肌に幼女の柔らかい体がしがみ付いて来るのを感じた。

 「こ、こいつら……」

 遠慮のない『雪童』の態度がしゃくにさわるが、裸の幼子を吹雪の中に追い出すのも気が引ける。

 (しかし、もっと肌が冷たいかと思ったんだけど、意外に暖かいな)

 素肌に纏いつく人肌の温もりは心地よい。

 彼は、なんだか子犬か子猫にじゃれ付かれているようだな、と思った。


 さわっ 

 「わっ!こらっ!」

 『雪童』の手が大事なところを撫で、思わず叱り付けた。 しかし、『雪童』は気にしない。 いや……

 「……ここが、熱い」 「あつい?」 「アツイ?」

 「こ、こら」 彼は、怪しげな気配に動揺し、『雪童』達を止めようとする。 しかし、『雪童』達は彼の息子に興味を持ったようで、小さな手で摩り始めた。

 「熱い」 「あつい」 「アツイ」

 呟きながら、彼の男根を盛んに刺激する。

 「や……やめ……よ……よせ」

 真っ赤になって、シュラフの中を覗き込む。 『雪童』と目があった。

 (ひっ!)

 シュラフの中で、『雪童』の目が光っていた。 同時に体が凍りついたように動かなくなる。

 (こ、こいつらは……人じゃない!!)

 彼は今更のことを思った。


 「んー……こう?」

 彼の腹にしがみ付いている『雪童』が、腰をすりつける。

 (ちょ!ヤバイ、やばいよ)

 固くなったイチモツを咥え、細い溝が前後にすべる。

 奇妙に艶かしいその動きと、背徳の興奮がイチモツを固く熱くさせる。

 「あ……熱い……」

 ほうっと悩ましげな息を吐く『雪童』。 イチモツの熱を味わうかのように、ゆっくりと腰を擦り付ける。

 (だ、だめ……あっ!)

 亀頭の先端に、溝がつっかえた。 と、そこがじわじわと開いていく。

 「あ……熱いのが……こうするの……」 

 はぁはぁ喘ぎながら、女の匂いを漂わせ始めた『雪童』。

 異常なシュチエーションに、イチモツが固くしこり、ジーンと心地よく痺れていく。

 (だめ、やめろ!やめろ!)

 彼は、一生懸命心の上のほうで唱える。 もっとも、責任逃れに唱えているだけかもしれないが。


 チュプッ……

 亀頭の先端が、ついに『雪童』に呑み込まれた。 固くきつい肉が、ぎりぎりと締め上げてくる。

 (とても入らない……いっ!?……いっ!?)

 ジュッ……ジュジュッ

 動いている。 『雪童』が腰を前後に動かして、彼のイチモツを出し入れしている。

 「熱い……熱いの……」

 文字通り、熱に浮かされたような喘ぎ。 その幼い喘ぎが耳朶をくすぐと、体がかっと熱くなるようだ。

 (うわ……うわわ!……あっ……ああっ……ああああああっ……)

 温くキツイ『雪童』の中。 そこでイチモツが翻弄される。

 股間からこみ上げたものが、狭い洞窟で押し返され、ねっとりした快感の波になって縮んだ袋の内側で荒れ狂う。

 「いい……凄く気持ちいい……」

 呪縛がとけたのか、声が漏れ、『雪童』が応じる。

 「欲しいの……熱いのを頂戴……」

 その声に、彼はあっさりと外道に落ち、熱くたぎる精を、力の限り放つ。

 ドン! ドン! ドドドン!  塊となった精が、『雪童』の奥を激しく叩く。

 「あふぅぅぅぅぅ……」    熱い精を受け止め、幼い声で甘い鳴き声を上げる『雪童』。

 「う……うぅぅぅぅぅぅぅぅ」 ついぞ感じたことの無い快感に頭の中が空っぽになっていく彼。

 ひくひくとシュラフを震わせ、二人は背徳の快楽に酔いしれた。


 ……チュゥッ!

 ドクッ…… ひっ!?

 不意にイチモツが強く吸われ、快感と共に熱い精が吸い出された。

 「まだ出るのか……我ながらここまで……ひっ!」

 チュウチュウチュウ……

 ドクドクドク……

 吸っている。 『雪童』の目覚めたばかりの女が、彼のイチモツを舐り、激しく吸っている。 そして、吸われるごとに彼のイチモツは精を放っているのだ。

 「ああ……気持ちいい……体の芯が痺れて……気持ちよく……?」

 彼は違和感を感じた。 快感には違いないのだが……何か違う。

 「……あ!」

 冷えていく、体の芯が冷たくなっていく。

 「熱いの欲しい……熱いの欲しい……」

 『雪童』が求めているのは、彼女の『女』の部分が吸っているのは彼の熱か、精か、それとも命か。

 「や、やめて……」

 吸われる毎に、体が冷えていく。 気持ちよく冷たくなっていく。

 「だ、駄目……し、死んじゃう」

 かろうじて拒絶できたのは、奇跡に等しかった。 すると、『雪童』は吸うのを止めた。

 「た……助かっ……!」

 アノラックの下で、幼い体がごそごそ動いている。 そして、二人目が彼のイチモツに自分の腰を擦り付け始めた。

 「た、助け……」

 シュラフの中の二番目の『雪童』と目があった。 彼女は無邪気に笑っていた。

 「熱いの……頂戴……」

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