沼の娘

11:パブロ


「うーん」小島でのびていたパブロが目を覚ます…
「ば、馬鹿野郎!…何をのんきに…」 ペドロが罵る声がする。
「どうしたってんだい…」 パブロは辺りを見回し、状況を把握して絶句する…

小島の周りを、娘や幼『カンツェーラ』が取り巻いている。 まだ水の中にいるが、じき上がって来るだろう。
「サ、サンチョは…あぁ!…」 パブロは自分が気絶した理由を思い出した。「く、喰われて顔だけが残ったんだった…」 
「いや、あれでまだ生きてた…」 ペドロが訂正する。
「え…」 
「サンチョは言葉を話していた…このままだと俺達も…」 身震いするペドロ。
「そんな…何か…何か逃げる方法は…」 焦るパブロ。
「一つある…あばよ…」 
「え?…うわっ!」 ドン! トットットッバシャバシャ…
ペドロがパブロの背中を思いっきり突き飛ばした、弾みでパブロは前に押し出され、沼に踏み込んでしまった。
「何を…うわぁ!…」 ドッポーン! パブロは足を滑らせ、沼の中でひっくり返った。 娘『カンツェーラ』達が集まって行く。

パブロに注意が集まり、『カンツェーラ』達の囲みが切れる。 その隙に、ペドロは囲みの切れた所から、泳いで逃げた。 その後を、何人かの『カンツェーラ』が追う…

バッシャ、バッシャ…パブロは溺れていた…
「た、助けて…お、泳げ…」「浅イゾ…」呆れて『カンツェーラ』の一匹が言う。
「がぼがぼ…ヘ?…」 気が付けば踝までぐらいしかないところでうつ伏せになってもがいていた…

パブロは水の中にがっくり座り込む…「畜生…何をやってもいい事なし…やけで入ったゲリラでも下っ端扱い…挙句に化け物女に喰われて一巻の終わりか…」
『カンツェーラ』達はそんなパブロを珍しそうに見ている。
「何、コノ男?…」「変ナノ…」「ア、アレ?…」

パブロはいきなり服を脱ぎだした…そして、沼の中に大の字になる…「さあ、殺せ!好きにしろ!」 やけくそになっている。
今度は『カンツェーラ』達が困惑している。 「ドウスル…」「ウーン…」

そのとき、大『カンツェーラ』の一匹が大きな手を伸ばし、パブロをすくい上げた。 
「ウフフ…イイ度胸ネ…」
「へっどうとでも…いっ…ほ、本当に…く、喰う気かぁぁぁ…」
大『カンツェーラ』は大きく口を開けて、長い舌を伸ばし…パブロを舐めあげる…
ベロ…ヌルゥゥゥゥゥ…「ひぇぇぇぇ…」 ベロリ…ヌラァァァァァァ…「うはぁぁぁぁぁ…」 ペロ…チロチロチロチロチロ…「ひゃあ…そ、そこは…」 
思わぬ攻撃に慌てるパブロ。

大『カンツェーラ』は、しばらくパブロを舐めて『味見』をしていた。 やがて、一つ頷き、周りの娘『カンツェーラ』達に目配せする…
娘『カンツェーラ』達も頷き返す。 パブロはそれに気がつかなかった。

大『カンツェーラ』は腹を上にして下半身を投げ出し、白い腹の上にパブロを横たえる…パブロの体は動けるが、周りは大小の『カンツェーラ』だらけ…とても逃げられそうに無い…
パブロは『カンツェーラ』の腹の上で身を起こす…感触はヌルヌルのフニャフニャ、生けるウォーターベッドというところか…つい、寝心地を確かめたくなるほどクッションが効いている。
(どうしようってんだ?…ありゃ?…)
両脇から、人間大の娘『カンツェーラ』が上ってくる…パブロは思わず身を引こうとする…しかし、スルスルッと寄って来た『カンツェーラ』に腕を捕まえられる。
「アラ…怖気ヅイタノ?…フフ…」
「こ、怖くなんかねぇ…(畜生…見栄はるんじゃなかった…)」
「大丈夫…痛クシナイカラ…」娘『カンツェーラ』が笑う…

娘『カンツェーラ』がパブロを押し倒す…生きたベッドがパブロを受け止め、弾み、脈打つ…
二人の『カンツェーラ』はパブロに寄り添い…優しく、ゆっくりパブロの胸や腹、性器を撫でまわす…
ヌルリ、ヌルリ、ヌルリ、ヌルリ…ゆっくりしたリズムで丁寧に撫でられる…心地よい、パブロは徐々に落ち着いていく…

(何か…想像してたのと違うな?…) とまどうパブロ。 視線は空を見上げている…怖くて『カンツェーラ』と目をあわせられないのだ…
パク…「ひっ…」 耳を咥えられた、ペロペロと両側から耳を舐められる…くすぐったい…耳の中にヌチャヌチャと粘る音が反響する…他は聞こえない…
(料理の下ごしらえをされてるようだ…ははは…)
チリ…チリ…チリ…じっと愛撫に耐えていると、会陰の辺りが疼く…陰嚢が伸びたり縮んだり…一物が少しずつ鎌首をもたげる…
胸を手で…ヌラリ…ヌラリ…「ん…」
陰嚢を包み込み…ヌチャリ…モミモミ…「は…ふ…」
一物を軽く握られ…ピチャ…ヌルヌル…「ほぅ…」
「おい…やるなら、さっさと…」
「コウイウノハ、イヤ?…」
「いや…気持ちいいけど…」 妙に和んでいる。

ピチャ…ピチャ…幼『カンツェーラ』達も上がってきた。 パブロに寄り添い、何匹かパブロによじ登る。
「うん?…」
パブロは、手が柔らかな物に触れるのを感じた。 幼『カンツェーラ』達が、指を舐めたり、手に頬擦りしたりしている…
(かわいい…)そう思う…
「遊ンデ…」「遊ンデ…」 小さな声でねだってくる。 甘えているようだ。
パブロはそっと幼『カンツェーラ』たちを撫でたり、くすぐったりする…幼『カンツェーラ』達もパブロのあちこちを舐めたり、体を擦り付けてくる…
「アハ…」「ウフ…」スリスリ…パブロの腕や胸に体を摺り寄せる者もいる…
(なつかれたな…)ぼんやりそんな事を考えた…

パブロは次第に不思議な感覚に囚われていく…意識はハッキリしている…なのに頭の回転が止まっていく…起きているのに眠っているような…
(な…ん…だ…)
「気分ハ?…」 娘『カンツェーラ』が尋ねる…
「悪くないけど…何か…変な…」 パブロは素直に答える…心地よさに浸ってぼーっとしている…心が体と切り離されていくような…宙に浮いているような気分だ…
「ソレデイイ…ソレデ…」 パブロには、『カンツェーラ』が微笑んだように見えた。

ヌル…ヌル…ピチャ…ピチャ…ペチャ…ペチャ…(魔物と戯れ…もう地獄に落ちたのかもな…)
パブロは目を閉じた…覚悟を決めて、体と心を『カンツェーラ』に委ねる。 とても安らかな表情でまどろみはじめた。

大『カンツェーラ』が首をめぐらす。 まだ二人の人間が逃げ回っている…
腹をゆっくりうねらせる…パブロや娘達をあやすように…

パブロは柔らかなものが覆い被さってくるのを感じ、目を開けた…
娘『カンツェーラ』が、パブロに覆い被さっている…胸と腹が密着し、性器がパブロ自身を呑み込む…
(柔らかい…ヌルヌル…あ…)
パブロの上で、『カンツェーラ』が蠢く…パブロの目は『カンツェーラ』の目を見る…(綺麗だ…)
「うぅぅぅ…あぁぁぁぁ…」 パブロの体が快感で硬直していく…
「気持チイイカ?…」 「あぁ…あぁ…」パブロが頷く…
ヌチャ…ヌチャ…淫靡な音が響く…
パブロの心に異変が生じる…心が柔らかくなり…溶けていく…何かが心の中から奪われていく…
「あぁ…何か…変だ…溶ける…心が…溶ける…」
「イイノヨ…全テ、出シテシマイナサイ…」
「あぁ…あぁ…あぁぁぁぁ!」パブロが達した…ドクッドクッドクッ…
パブロの体が弛緩する…充実した快感…でも、射精と同時に何かを無くした…そんな気がした…

大『カンツェーラ』が呟き、女陰を開く…「オイデ…沼ニ…暖カイ沼ニ…トテモ心地ヨイ沼ノ奥底ニ…」
身動きをしなくなったパブロが、娘『カンツェーラ』達によって、大『カンツェーラ』の女陰に運ばれる。
そして、女陰の中にパブロが収められる…ムニムニと女陰がパブロを、子宮の奥底に呑みこんでいく…

子宮の奥は、暗く暖かく滑っていた。 女陰が開いている為か、息はできる。
(終わる…じきに…あ…)
パブロの腹に何かが触る…滑るヘビのようなそれが、腹を滑り…へそに潜り込んだ…
(おお?…これでおれを溶かす?…あれ…眠い…)
パブロの中に何かが入ってくる…暖かく心地よい…深く…深く眠っていく…

大『カンツェーラ』がそっとお腹を撫でる…「オヤスミ…ソシテ忘レナサイ…何モカモ…」

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