沼の娘

7:洞窟


「さて、どうしたものか…」教授は思案し始めた。
「おい、仕切るな」ボスが文句をつける。
「わかっておる。 リーダーはあんたじゃ。 参考意見を言うだけじゃよ」
教授に軽くいなされ、ボスはしぶしぶ引き下がる。

教授は考える。 進むべきか、戻るべきか。 
(奥に進むか、沼に戻って別の方向に行くか…んー、しかし…)
教授は、一行をちらりと見る。 皆ひどく怯えている。
(コットン君はともかく、他の連中は沼に戻ろうと言ったらわしを殺しかねんじゃろうな…となるとここに留まるか、奥に行くかじゃな…)
教授は、3つの選択肢を告げた…当然、沼に戻る事は賛成なし、留まる事については二人が賛成、残りの者は奥に行く事を支持した。
「奥に何があるか判らないんだぞ、危険じゃないのか」「ここにずっといてもどうにもならんだろうが!」
「別行動というのは…」「駄目じゃ、これ以上人数を分けてもメリットはない」

意外にボスが何も言わない…結局、多数決になった。
しばらく休んだ後、一行は出発する。

洞窟は湿度が高く、暑い。 何人か上着を脱いでいる。 教授は危ないと指摘するが聞こうとしない。

奥に進んでみると、丁度、人一人が立って歩けるほどの大きさがあり、床は砂が積もっている。 僅かに上りになっているようだ。
少し進むと道が2つに分かれている。 風は右から来ている。 迷わず右に行く一行。

最後尾の山賊が少し遅れて続こうとしたとき…ポタッ…首筋に冷たい物が落ちる…
何気なく手で擦る…ヌルッ…
はっとして上を見た…が遅かった、天井に張り付いていた幼い『カンツェーラ』が落ちてきて、背中に貼りついた。
「ひっ…た…モガガ…」
『カンツェーラ』は、背中から冷たく小さな手を伸ばし、男の口を塞ぐ…
そして男のうなじりに愛しげに頬擦りしながら、可愛い声で囁く…
「ネェ…遊ソンデ…遊ボ…遊ボ…」
「モガガ(は、離れ…やめ…)」 男は幼『カンツェーラ』振りほどこうと暴れるが、背中にピッタリと貼りつき離れない…
(くそう…そうだ…壁に…うぁ?…) ビチャ…ビチャ…足にも濡れた手の感触がする…

左の洞窟から、数匹の幼『カンツェーラ』達が這いずってきて、男の足にすがり付いた。
冷たく、柔らかい体の感触が両足に絡みつく…信じられないぐらい心地よい…思わず抵抗をやめ、感触に酔う…。
その隙に、幼『カンツェーラ』達は、ズボンや下着を切り裂き、引き剥がしながら、立ち尽くす男の体を上っていく…
「ネェ…遊ボ…」ピチャ…ピチャ…
「ネェ…遊ボ…」ペチャ…ペチャ…
『カンツェーラ』の声が、粘る皮膚の感触が…体に、頭に…響く…染み込む…
ヌラヌラした柔らかい体が、男を愛撫し…小さな手が、男を裸にしていく…濡れた皮膚が擦れ合う気色よさが広がっていく…

(ああ…ヌルヌルだ…な…袋で遊ぶな…うぅ!…)
足を上ってきた『カンツェーラ』の一匹が、スボンを剥がし、トランクスを取り去った…ブラブラ揺れる陰嚢を見つけて、無邪気にはしゃぐ「キャハ…見ツケタ…」
小さな滑る手と細長い舌で、陰嚢を弄ぶ…縮み上がり、蠢く精の袋…男の魂が悶えているかのようだ…
(や…やめて…)ヌラリ、ヌラリ… (だ…だめ…)モミ、モミ… (もっと…もっと…)ヌチャリ、ヌチャリ…
男の表情が、恐怖、驚愕、放心、恍惚と変わっていく…幼『カンツェーラ』達の愛撫の虜となった男の体から、抗いが消えた…背中の幼『カンツェーラ』が、男の口から手を離す…
「ネェ…遊ボ…」 「ああ…ああ…」陶然とした表情で頷く男…

男の一物が、ビクンビクン痙攣し始めた、快感に喘ぐように、亀頭が右に左に激しく振れる…
腰の辺りに貼りついた『カンツェーラ』が、クスクス笑い、一物に舌を伸ばしてクルクル巻きつけ摩擦し…陰嚢を滑る小さな手でグニュグニュ揉みしだく…
「はぁ…はぁ…」男が切なそうに悶え、一物は固く、固く張り詰める…
『カンツェーラ』の愛撫で生み出され、男を支配している欲望が、陰嚢の『カンツェーラ』の手の感触を求め、袋をパンパンに膨れ上がらせていく…
ビクッ…ビクッ…と男は立ったまま痙攣し始めた。
ビククッと大きく震え、ドクドクドクドクン…ピンクの液体でない…普通の精液を激しく射精をする…
「はぁ…よかった…」 たまった欲望を全て吐き出してしまった事で、男は『カンツェーラ』の支配から解き放たれた。

だが、幼『カンツェーラ』達はそれを許さない。
「マダ駄目ダヨ、モット…遊ボ…遊ボ…」ヌルリ、グチュリ…「うぅ?…あぁ…」 
一匹の『カンツェーラ』が陰嚢を咥え、小さな口の中で柔らかくこねる…中身を吐き出した陰嚢の中に、新たな欲望の液体が蓄えられていく…
「遊ボ…遊ボ…」ペチャペチャ…「あぁぁ」…
全身に絡みつく、滑る魔物の幼子達…その執拗な愛撫と妖しい声が、男の魂を再び淫らな欲望の沼に引きずり込む…
ヌチャリ、ヌチャリ、幼『カンツェーラ』達の粘り気は、頭の中に染み込んでくる…もはや思考力すら奪われ男は立ち尽くし、『カンツェーラ』の愛撫に酔いしれる…

幼『カンツェーラ』達がひそひそ話す。
「体ハ溶カサナイノ?…」「此処カラダト運ブノ大変…」「自分デ歩イテモラオ…」 相談がまとまる。
「ネェ行コウ…ミンナガ…まま達ガ待ッテル…」背中の『カンツェーラ』が男の耳を、クチュクチュ甘噛みしながら、優しく命じる…
「ああ…ああ…」男はフラフラと左手の洞窟に進む…その全身に、幼『カンツェーラ』を纏わせたまま…
「歩ケ…歩ケ…」 「行コウ…行コウ…」
一歩、また一歩と…出気の悪いゴム人形のようにギクシャクと男は歩きつづける…

「おい、ペドロ…ペドロ!」
仲間がいない事に気づいて戻ってきた一行は、濡れた布の破片をしか見つけられなかった…
濡れた布は点々と左の洞窟に続いている。 それに、栗の花の匂い…何があったのか明らかであった。

「……」「追ってきたのか…」
何人かがガタガタ震え出し、耐え切れなくって半狂乱となる。
「もう嫌だ!」二人が、走って逃げ出す。 右の洞窟の奥に向う。
「待つんじゃ!バラバラになっては…行ってしまった」教授が無念そうに言う。
「教授…」コットンは、これ以上無いぐらい不安そうだ。
「どのみち、そっちに行くしかないんだろう…」ボスが吐き出すように言う…さすがに強がりも出ない。
山賊はボスと部下二人…一人はあの青年だ…を残すのみ。

残った5人が200mほど進むと前方に光が見えた。 太陽の光だ。
「出口だ!」一行は喜び、小走りで進む。
すぐに洞窟の出口に出た。だがそこは…

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