ガールズ イン ア ボトル

Part8:対話とSM


 「いいかねサティ、体を……おほん。 その、重ねることはだな、地球では大変重い意味があるのだよ」

 「……この星ではそうなのですか?」

 「うむ」 教授は深く頷く。

 もし教授が嘘をつけば、彼の心とダイレクトにリンクしたサティは、それをなんなく見破ったであろう。

 しかし教授は、サティに述べた事が世間一般の常識であると信じて疑っていなかった。

 「サティ、私は君が嫌いだと言っているのではない。 君達の『情報交換』手段は大変素晴らしいものだと思う。 しかし、まずは地球式に『会話』で情報交換をしよう」

 サティはややがっかりしたような表情をみせた。

 「すでに君は、私と不自由なく会話できる。 君は地球の男性と婚姻する為に来たというが、なぜそんな事になったのか、事情を話してくれまいか」

 「事情……」 サティは頭をたれ、手で顔を覆った。

 ランデルハウス教授は慌ててポケットを探り、しわだらけのハンカチーフを取り出してサティに差し出す。

 「すまん、何か悲しませるようなことを聞いたようだね。 今は話さなくとも良い。 君がその気になった時に聞かせてくれないか」

 「優しいのですね、貴方は」 サティが顔を上げた。 黒い瞳が潤んでいる。

 「私達がこの星に来るに至った経緯は、クー・レイシアの方が詳しく知っています」

 「私達?クー・レイシア? 君の同族が他にいるのか!?」 ランデルハウス教授が興奮気味に尋ねた。

 「はい。 私が洞窟で目覚めた時、クー・レイシアも目覚めた気配がありました。 私同様、彼女も水が必要です」

 「洞窟? おおそうだった」 教授はぽんと手を打った。 「私は洞窟に閉じ込められて……はて、いつの間に外に出たのだろう?」

 「すみません」 サティが謝った。 「私が貴方に水を探させたからのようです。 はっきりとは覚えていないのですが……」

 「君が?……ふむ、してみると、君と私が出会ったY字路。 あのもう一つの先が外に通じていたのか…… と、それどころではない! 君の仲間に水を届けねば!」

 「協力して頂けますか?」

 サティの問いに教授は大きく頷き、水の容器を探し始めた。

 「感謝いたします、異星の方……」

 そういった彼女の表情が、わずかに曇った。


 「う……」

 コットンは呻いた。 体がずきずきと痛む。

 「教授?どこです……」

 混乱する記憶の糸を手繰り寄せながら、手をついて体を起こそうとした。

 ニュルリ……

 その時、彼のズボンのすそから蛇のようなものが潜り込んできた。

 「うわぁ!」 一気に目が覚めた。 足をバタバタさせて、『蛇のようなもの』を振り払おうとする。 しかし一瞬速く、『蛇のようなもの』が彼の股間に触れた。

 ズックン 「!」

 一瞬でモノが絶頂に達し、体が動かなくなった。

 熱い快感が股間を支配し、己のイチモツがビクビクと脈打ちながら熱いモノを吐き出している。

 (なんてこった……) 情けない思いで、彼は自分のズボンを点検する。

 「……?」 

 予想した粘り気が感じられない。 いや、彼のモノき激しくいき続けている。 しかし、精が放たれていない。

 「くっくくくく……何をしている……」

 女の声に、コットンははっとしてそちらを見た。

 「ば、バケモノ!?」

 気を失う直前に見た女の魔物、頭からのたうつ触手を生やしたそれがすぐそばに立っている。

 そして褐色の触手の一本が、コットンのズボンの裾から入り込んでいた。

 「バケモノ……か」 女は寂しげに呟いた。 「その通りだな」


 ヌリュュュュ……

 滑る触手がコットンのモノに巻きつき、器用に締め上げてきた。

 「ぐうっ!?」

 異様な快感が股間を包み込み、背筋を走りぬける。

 呼吸が止まり、快楽は一瞬でひれに倍する苦痛に変わる。

 「ぐはっ!?」 コットンが叫ぶと、再び苦痛が快楽に変わる。

 コットンは耐え切れぬ刺激にのたうった。

 「あのまま夢に浸っていればよかったものを……」 女が呟く。

 「夢から覚めたお前を落とすには、もう心を壊すしかない」

 「なんだ……と! うぁぁぁぁぁぁ!!」

  女の魔物の触手が、コットンを包み込み、穴と言う穴を狙い、潜り込んでくる。

 異様な快感が沸き起こり、地獄の快楽がコットンの心を蝕んでいく。

 「お前が一番若い……その肉体に、わが創造主の心を宿らせるに相応しい」

 「な、なんだと……ひぃぃぃぃぃぃぃ」

 熱くなった触手が、ねっとりとした感触で、全身の性感帯を的確に責めてくる。

 今度は、妖しい快感が彼を犯す。 触手が彼の体に限界を超えた快楽をすり込んでいる。

 「た、たすけて……」

 「くくくく……気持ちよかろう。 直に何もかも忘れる。 そうなったところで創造主の記憶をお前に上書きしてあげる」

 「記憶の上書きだと!?」

 「そうだ、お前は我が創造主の魂の苗床となるのだ」

 「そんなことが……できるものかぁ!……うぁぁぁぁ」


 その頃、ランデルハウス教授は……ようやく洞窟の出口に到着した。

 「おお、ここから我々は出てきたのか……よし急ごう」

 天秤棒を肩に担ぎ、水を詰めたポリタンクをその前後に下げたランデルハウス教授は、恐れる様子もなく中に歩を進め、その後にサティが続く。

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