Part18:実習(4)寝屋の睦言


 ココと教授は連れだって彼女の住まいに入った。

 「では早速」

 言うなりココは教授を押し倒そうとする。 教授は慌ててココを押しとどめる。

 「まてまて、慌ててはいかん」

 「何故です? 『愛情』を教えてくださるのではないのですか?」

 「もちろんだ」

 胸をはって答えた教授だったが、キキに肉体的な『愛情』を教えた直後で、実のところ少々ばて気味だった。

 (少し間を置かないと身が持たんな、これは。)

 「『愛情』の表現にはいろいろあるのだよ」

 「はい、先ほど教授はキキを舐めたり、触ったりしていました」

 「うむ……それが自然に行われることが肝要なのだ」

 「はぁ」

 ココが首を傾げたがそれも道理だろう。 『愛情』や『感情』を言葉で説明されても、頭で理解できるわけがない。

 (色を言葉で説明するようなものだからな……)

 そう思いながら、教授は少し黙ってココの顔の辺りをじーっと見つめた。

 「キキともそうやって見つめ合っていましたね」 冷静な口調でココが言った。

 「うむ……しかし、改めてみるとココは可愛らしいな」 大真面目に教授は言った。

 「可愛らしい?」

 突然の言葉にココが面食らう。

 「うむ。 体は大人なのだが、顔には少し幼さを感じる。 そこがとても愛らしい」

 教授は、歯が浮くようなセリフを大真面目に言ってのけた。 キョトンとして聞いていたココだったが、急に顔を赤らめた。

 「教授……」

 「ん?」

 「か、顔だけですか…… 愛らしいと言うのは……」

 「いや、顔だけではないぞ。 こうスラリと伸びていながら、優しさを感じさせる体。 サラサラと風になびく髪。 日の光にきらめく羽毛。 うむ、誰がみても

愛らしく、美しさに息を呑むだろう」

 「……」

 陳腐な誉め言葉だったが、ココは真っ赤になってしまった。 教授はココの顔を見ながら続ける。

 「自信を持ってよい、君た……いや君は美しい」

 教授の言葉を聞いていたココが体を震わせ始め、教授は首をかしげた。

 「どうしたね? どこか具合でも……」

 問いかけた教授に、ココが体をぶつけてきた。 一瞬驚いた教授だったが、ココの目に涙がたまっているのを見て、そっと抱きしめた。

 「教授……」

 何か言いたげなココを教授は黙って抱きしめ、髪を撫でる。 そうしてココが落ち着くのを教授は待った。

 「す、すみません」

 少しして、落ち着いて来たらしいココが教授に謝る。

 「何も謝ることはない。 何か言いたいことがあるなら話しなさい」

 そう言って、教授はココのなみだを拭った。

 「はい……私は……私たちはずっと、自分たちが醜いと……嫌われていると思っていました」

 「……」

 「私たちがこの世に生まれ、何も知らずにさまよっていた時、人間……人はみな私たちを見て、恐怖の表情を浮かべ、逃げ出したり、石を投げたり……」

 「そうか……」

 「……それでも何故か……自分たちにも判らなかったのですが……人間に引かれるものがあって……」

 「うんうん……」

 時々しゃくり上げるココを抱きしめ、教授は彼女の話を聞いてやった。

 「そんなことがあったのか……寂しかったろう……」

 「はい……キキとクイーッは一緒にいてくれたけど……なにかが足りない様な思いがあって、それが何か……」

 教授は、そっとココにキスをした。 ココは一瞬目を丸くし、それから目を閉じて教授のキスを受け入れた。

 
 教授はココの唇をなぞる様して、軽く瞼にキスをする。 続いて、指で頤を持ち上げて白い喉に舌を這わせる。

 「あぁ……」

 ココが教授に体を預け、力を抜く。 教授は彼女を軽く抱き、そっと寝床に横たえた。

 「少し、互いを感じよう」

 教授はそう言ってココに覆いかぶさり、胸が密着するようにして体を重ねた。

 トク、トク、トク……

 トトトト……

 互いの鼓動が二人の間でぶつかり、リズムを刻む。 体の中の音に耳を澄ませ、互いを確かめる二人。

 「ココ。 触れるよ」

 教授はそう言って、ココの下腹に手を置いた。 ビクリと震えるココ。 鼓動が速くなったのが判る。

 「……不思議です。 初めてではないのに……」

 「『初めて』にもいろいろあるのだよ……いろいろな……」

 あいまいに言うと、教授は慎重な手つきでココの下腹を優しく触わる。 そうして少しずつ、下の方へと手を伸ばし。ついに秘所へとたどり着いた。

 フッ!

 ココの口から呼気が漏れ、教授はココの表情を確かめる。 ココは軽く目を閉じ、顔を赤らめて何かを待っているように見えた。

 「ココ……」

 彼女の名前を呼び、それから自分のモノへと手を伸ばした。 なんとか元気を取り戻している。

 「うむ」

 教授は、自分のモノでココの秘所をなぞった。 熱く濡れたココが、自分のモノに粘りつくような感じがした。

 「ココ……よいかね?」

 ココが微かに頷くのを確認し、教授はそっとココの中へと入った。

 ズブリ……

 っ!

 うっ!

 熱い入り口は一瞬のためらいを見せた後、教授をしっかりと抱きとめた。 熱い肉の抱擁が教授自身を締め上げる。

 「くぅ……」

 力負けしそうになりながらも、教授は下腹に力を入れてココの中へ自分自身を突き入れる。

 ウウッ!

 ヌルリとした熱い肉の洞窟が、教授自身をヌルヌルと愛してくる。 熱いココの気持ちに、教授自身が応え、高まっていくのが判る。

 「くうっ……くくっ……」

 暴発しない様に、力を入れつつ気を反らすという離れ業を駆使しつつ、教授はココの中への挿抜を繰り返す。 そしてようやく、ココの奥へに教授自身が

届いた。

 ハアッ!

 ココが目を見開き、教授をぎゅっと抱きしめた。

 「ココ……いくよ……」

 ココを抱きしめたまま、腰の動きでココの奥を自分自身で突き上げる。 女性の神秘の扉を叩く教授の『愛情』に、ココの体に歓喜の波がうねる。

 キ、キョウジュッ!! ハアッ!!

 熱い息を吐きながら、ココが教授を求め、教授の体がそれに応える。 もう言葉はいらない。 互いの肉体で『愛情』を交わし合う二人。 そして、ついに

その時が来る。

 ハアアアッ!!

 ううううっ!

 ドクリ……ドクッ、ドクッ、ドクッ……

 歓喜の絶頂に二人が硬直し、やや遅れて教授自身が熱いモノをココの奥深くに吐き出した。 熱い男の精に、ココの体が女の歓びを上げる。

 ハアッ、ハアッハアッ……

 クウッ……くうっ……くうっ……

 二人は重なり合ったまま熱い息を吐き、余韻に浸った。

 
 はっ、はっ、はっ……

 ふうっ、ふうっふうっ……

 しばらくして、二人は科の向こうから荒い息が聞こえて来るのに気が付いた。 

 ……

 「聞いていたのか……」

 クイーッとキキ、いや他の娘もいるようだ。 やれやれと言う感じで教授は身を起こす。

 「教授……」

 ココが教授の手を握ってきた。 そのまま離そうとしない。

 「……ココ」

 教授は困った様に頭をかいた。 そこにクイーッが入ってくる。

 「私にも『愛情』を教えていただけますか?」

 「うむ……」

 教授はココとクイーッを見比べる。 三人の視線が交差し、ココがしぶしぶと言った感じで手を放した。

 「では」

 クイーッが教授の手を引っ張って立たせた。

 「おねがいします」

 クイーッに引きずられるようにして、教授はクイーッに連れていかれた。

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