Part6:演習課題


 教授は二人の『天の使者』に向きなおり、居住まいを正した。

 「いまさらであるが、名乗らせてもらう。 私はランデルハウス・クラチウス教授。 マジステール大学にて教鞭をとっているものだ」

 ……キケーッ?

 「ふむ、これまでの流れからすると『クケェ』が肯定、『キケーッ』は否定らしいな。 すると判らんと言いたいのか」

 クケェ

 「うむ……では」

 ランデルハウス教授は、自分を指さし、「ランデルハウス・クラチウス教授」と発音した。 

 ……ケケケケ・クククク・キョー?

 「ランデルハウス・クラチウス教授」

 ……キキキキ・クァーッ・ジュー?

 「うーむ、人語は発音しづらいのか? これでは会話は難しいな……」

 キョージュッ?

 「おお、やればできるではないか」

 うむうむと頷いたランデル教授を見て、二人の『天の使者』は互いに顔を見合わせてうなずき合う。

 キョージュッ

 キョージュッ

 「それは役職名で……まぁいいか。 して、君らの名前は?」

 そう言って、教授は二人を指さした。 二人はもう一度顔を見合わせると、一人ずつ胸をそらして名乗った(と思われる)。

 ココッ

 クィーッ

 「『ココ』に『クィー』、それが君らの名だな。 それで……おいおい?」

 さらに会話を続けようとした教授に向かって、ココがばさっと翼を広げて見せた。

 キキッ……ココッ……クケェ!

 「?……ああさっきキキにした『講義』か」

 クケェ♪ ココ……コーギィ♪

 「うむ……仕方ないか?」

 教授としては、『講義』の前にいろいろと聞きたいことがあったのだが、ここは互いの親睦(?)を深める意味で、『講義』を行うのも手かもしれないと考えた。 

彼がそんなことを考えている間に、ココは枯れ草が敷き詰められた床に蹲まり、そろそろと足を開く。 人であれば繁みの或るべきところは羽毛で覆われ、

ちょっと変わったショーツを履いているように見えた。 そこを観察しながら、教授は思いを巡らす。

 (そう言えば、前に観察したときは怒っていたような? あれは恥らいだったのか? それとも私を交配相手と認めていないという意味だったのか? それ

とも……)

 キケーッ!

 焦れてきたのか、ココが鋭く鳴いた。 教授は観察を中断してココの前に座り込み、慎重な手つきで羽毛の繁みをかき分けた。

 キケッ!?

 「これこれ、触らないと何もできんだろう。 慎重に……」

 ランデル教授は、羽毛の下に隠されているはずのココの女性の神秘を、触診するように撫でてみた。

 ビクッ

 ココの体が震えた。 まだ成熟していないのか、羽毛の下には深い筋が走っているだけだった。

 「む……ひょっとして、成人していないのか?」

  教授は上目づかいにココの表情を確かめながら、ココの筋を指で何度もなぞった。 撫でているうちに、指先に滑りを感じ始めた。

 「ふむ……何やら罪深い行為の様な気がしてきたが……いいのかなぁ」

 クケ……ェ

 ココの顔を見上げると、相変わらずの鳥の目だが、トロンと幕がかかった様になっている。

 「とにかく、合意の上と言うことで……」

 教授は、妻や神、その他もろもろに心の中で詫びながら、ココの秘所へ少しずつ指を沈めていった。


 ク……ケ……

 ココの口から、喘ぎにも似た言葉が漏れ聞こえる。 最初はややためらいがちに開いていた足は、教授の愛撫が進むにつれて開かれていき、いまや

全開になっている。

 ク……ハ……

 ココのそこは、教授の指が深く入っていくにつれ、花が開くように女の形へと変わっていく。 体が鳥型から人型に変わる様に、女性の神秘も、蕾から花へ

と急速に形を変えるのかもしれなかった。 それはそれで、教授の興味をそそるのだが。

 (うーむ……いかんなぁ……こういうのは……)

 幼い女の子の割れ目だったものが、大人の女性の神秘へと変わっていく、それも自分の愛撫でだ。 学者としての好奇心もそそられるが、男としての

興奮もそれに勝るとも劣らないものがあった。

 ク……ウン……

 喘ぎながら、ココは時折腰を震わせている。 誘っているのだろうか。

 (いや、そうではあるまい)

 死者を清め、交尾の形をまねたこと。 キキが排卵寸前の卵を宿していた事から、教授は『天の使者』達は、交尾の習慣を忘れたか、種として交尾相手を

失ってしまっているのではないかと推測していた。

 ク……ウ……

 ココが呻き、もどかし気に体をゆする。

 (おっと)

 教授は、十分に濡れて開き切ったココの花弁にそっち口づけし、続いてモゴモゴと口の中で呟きながら、覗いたばかりの真珠をそっと咥える。

 クウッ……

 ココの体が一瞬硬直し、次に教授の呟きに合わせるように体を震わせる。

 (やはりな)

 キキもココも、交尾の真似事はできても、本当の交尾の経験はないのだろう。 真珠を少し愛撫されただけで、あれほど乱れるのがその証拠だ。

 (だとすると、あの卵は無精卵……いや、そうとは限らんかも?)

 キキの産んだ卵の事を考えながら、教授は唇の端で咥えたココの真珠に舌を這わせた。

 クッ、クククッ……クケッ! クケケケッ!!

 ココが翼の中ほどの手で教授の頭を掴み、両足で教授の胴をはさむ。 そして、教授の顔に自分の秘所を押し付けるようにする。

 ケッーッッッ!!

 一声啼いた後、ココはぐったりと横になった。

 「……ふぅ」

 教授は、横になったココの姿勢を正してやると、ずっとそばに控えていたクィーへと向きなおった。

 「またせたようだな。 さて、君はどうするかね?」

 ……クイッ?

 クィーが首を傾げ、翼の先で教授の腰のあたりを指し示した。 教授がそちらを見ると、まぁ当然の様にズボンの前が膨らんでいる。

 「……まぁ、生理現象と言うやつだよ。 ははっ」

 誤魔化した教授だが、クィーは教授の腰をじーっと見ている。

 「えーと……」

 冷や汗をかき後ずさる教授に、クィーは興味津々の様子でにじり寄って来た。

【<<】【>>】


【鳥:目次】

【小説の部屋:トップ】