ライム物語

第二話 土曜日に追いかけられて(5)


ミーッ!ミミミミミッ!

「え?倒れていたところを助けてもらった?…」アクエリアは床にのびた金雄に視線をやり、諭すように話す。

「ライム…貴方は『洗脳』と『読心』の力がほとんどないから判らないのよ。男なんてスケベ以外考えないんだから。

きっと貴方を…ああっ!恐ろしくてこれ以上口にできない!」

ミギュー

… 納得できない様子のライム。


その時、息を整えていた十文字が立ち直り、マイクを手にして解説に入る。

『マダムブラックの娘達は、強弱の差こそあれ、誰かと体を重ねることによって相手の知識や特性をコピーし、一時的に

支配することができる。また、心を読む事も可能なのだが…そこに落とし穴があった!』

「落とし穴?」 ミミッ? きょとんとするアクエリアとライム。

『スケベの最中にSEX以外の事を考える男はいなぁーい!よってSEX読心術が使えても、感じられるのは相手の

スケベ心のみとなるのだぁぁぁ…ぜぃぜぃ』

「むぅ…」 今度はアクエリアがむっとする。 十文字の『解説』は正しいかもしれない。 しかし、それを認めることは自分の

自分達の能力の一つが役立たずと認めることになる。

「好きに言ってくれて…大体なんなの、貴方は?」

ミギッ、ミミミギッ…

「え?超能力者!?」驚くアクエリア、胸を張る十文字。

ミギギッ、ミギッ…

「でもたいして役に立たない…なーんだ」 自分の力を否定してくれたお返しとばかりに、軽蔑のまなざしを十文字に

送るアクエリア。

今度は十文字がむくれる。


「うっ…ううっ…」その時金雄が声を上げた。「ア…ライム…アクエリア様…ライム?」

「おい金雄!?」十文字が金雄を呼ぶ。 彼の視線はアクエリアとライムを行ったり来たりしている。 あまりまともな

状態とは言えない。

ミミッ! (金雄!)

呼ばれた金雄がライムを見る。 やっぱり目がうつろだ。

「ライム、この男と情を交わしていたのね」アクエリアが哀れむような視線を投げかける。「あきらめなさい、私のほうが

強いわ…金雄」

すうっとアクエリアを見る金雄。

「貴方がライムをどうするつもりだったのか。お母様に判断してもらうわ」アクエリアが声の調子を下げる「お仕置きするか、

お礼をするかはお母様に決めてもらいましょう…ライム、帰りましょう」

ミギッ! ライムが抗議するがアクエリアは聞く耳を持たない。 金雄がのろのろと立ち上がりパンツをはき始めた。


「うーむ…」十文字は唸る。 このままでは、金雄とライムが拉致されてしまう。(アクエリア…さんを追い出すか?それ

とも金雄を正気に戻すか?どうやって?)

助けを呼ぶ事も考えたが、ライム達を皆の目にさらすのは良くないような気がする。 さりとて暴力も好ましくない。

「よし…ライムちゃん」

ミッ?

「君は金雄と…したのか?」

ミッ…ミミミミミミミミミミッ!!

「よく判らんが…もう一度すれば、金雄はアクエリアさんの支配から抜けるのでは?」

ミグッ!?…ミッミッ…ミミミミミッ…

ライムが形を崩し、ぐねぐねと動いている。 どうも恥じらっているらしい。

その間に、金雄は身支度を整えてしまった。 ぼーっとした目のままライムをそっと抱え上げる。

ミミッ…

「ライム…」 ぽそっと呟く金雄。

ミーッ…ミッ! ライムは一声叫ぶと金雄の胸元に飛び込んだ。

一瞬間が空き、金雄がぱたりと仰向けに倒れた。 彼のズボンの股間がふにふにと動いている。

ピチッ、チチチチチ… ファスナーがひとりでに開くと、アクエリアにたっぷりと精を吸い取られぐったりとした『金雄』自身に

人型に戻ったライムがすがり付いていた。

ミュゥゥゥ… ミィィィィ… 悲しげな声をあげ、『金雄』に頬ずりをし、裏筋を小さな舌でペロペロと舐めるライム。

ピクッ… 『金雄』は時折小さく脈打つものの、ぐったりしたままで『立つ』気配が無い。

しかし、ライムはあきらめない。 両足を陰脳に絡めて、太ももでこすり上げる。 『金雄』に力いっぱい縋り付いて、

つつましい膨らみでカリを丹念にこする。

そして鈴口を丹念に吸いながら、両手で亀頭を丁寧に拭っている。 あたかもアクエリアの匂いを拭い取ろうかという

ように。

ピクッ…ピクッ…ビクッ…ビクッ…

ミッ…! ライムの愛撫に応えるかのように、次第に『金雄』が硬くなり、その動きに力強さが戻って来た。 そして…

グッ… 『金雄』がついに(亀)頭を持ち上げた。

ミッ!(立って!) ライムの愛撫が激しくなる。 裏筋を舐めながら、激しく鈴口を掻き撫で、全身で『金雄』を愛撫する。

グッ…グッ…ググッ…グンッ! ついに『金雄』がそそり立った。

ミーッ!(やった!立った!) 

「そ、そんな…吸い尽くしてあげたはずなのに…」 唖然とするアクエリア。


恥ずかしげもなくそそり立つ『金雄』にきゅっと抱きつくライム。 そのまま鈴口から下にかけてに頬ずりをする。

厚ぼったい男の下の唇を、両手でしばらく撫でていたと思うと…片手を突っ込む。

「ふんげっ」金雄本体の口から、蛙がつぶれたような声が漏れた。 が、ライムは構わず『金雄』の尿道の中を手を細く

伸ばして探っている。

十文字はあまりの光景に声も出ない。

「ほげっ…ぼっぼっほげっ…」 妙な声を出す金雄と対照的に、赤銅色に輝く『金雄』は激しく脈打ちながら、膨れ上がる。

ミッミッミッ…ミミッ! ライムは一つ頷くと、人型を崩して『金雄』を包み込み、そのままゆっくりと蠕動し始めた。

ズヌ、ズヌ、ズヌ… 不気味に蠢く半透明の緑の塊の中で、『金雄』が身をくねらせ、もだえる様がありありと見え

金雄は短い呼吸を繰り返す。

ヒクッ… ヒクヒクヒクヒクヒクヒクッ 『金雄』が、突然は短く激しく脈打った…と思ったらぐったりと倒れた。 

どうやらいった…というよりいかされたようだ。

フミュゥゥゥゥ… 息を吐きながら人型に戻るライム。 抱きしめていた『金雄』に軽く口付けをして立ち上がる。


「ラ…ライム…」 搾り出すような声にライムが振り返る。 金雄の目に光が戻っている。

ミミッ…ミミミミミミッ?(金雄…どうだった?)

「て…天国…」

金雄の応えに満面の笑みを浮かべるライム。 そしてアクエリアに向き直る。

ミッ!ミミミミミッ!(お姉ちゃん!金雄は取り返したわ!)

「…」信じられないという様子で押し黙るアクエリア。

ミミッ!ミミミミミッ!(ライムは帰らない!必ず独り立ちしてみせる!) そういって胸を逸らす。

「…今日はおとなしく帰るわ…」ようやく呟いたアクエリア。「でも次は必ず連れて帰るわ」

そう言うと、アクエリアは床をずるずると這って窓から出て行った。


「おい…金雄」十文字が息も絶え絶えな金雄の様子を伺う。「大丈夫か?」

「て…天国…の門が見える」ほけーっと呟く金雄「ああ、死んだばあちゃんが手招きしている…」

「わー!しっかりしろ」顔の辺りを仰いでいる。「『日曜日は天国へ』じゃ洒落にならんぞ!!」

こうして、ライムと金雄の騒がしかった土曜日が終わった。

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