ライム物語

第二話 土曜日に追いかけられて(4)


ヌ…ヌ… 

熱く猛ったモノの中に、冷たい糸の様な何かが入って来る感触。 痛くはないし、不快でもない。 

だからだろうか。 これから起こることに対する警戒が僅かにゆるみ、隙が生まれた。

その一瞬を狙ったように、細いゼリーの蛇が『男の魂』に絡みついた…ような気がした。

「わっ!?…」

大事なところに、何か粘っこいモノが染み込んで来るような感触。 

昔、始めてを夢の中で迎えたときのようなそれは…

ヌル…ヌルン…

「あ…あ…」ため息を漏らす金雄。

陰嚢が別の生き物の様に蠢き、膨れ、縮む。

中で粘っこいものが動いているような妙な感触は『アクエリア』なのか、そう感じているだけなのか。

「あぅ…」

わずかに冷たい粘り気が、やさしく中を転がしている感触が、重くけだるい快感である事に気がついた。

金雄の心から、アクエリアに対する恐怖心が少しずつ拭われていく。

「アクエリア…さん…なにを」

金雄の問いにアクエリアは答えず、代わりにゼリー状の下半身を金雄の顔に重ねてきた。

金雄の目の前で、女の形をしたゼリーがゆっくりと開いたり閉じたりする。

”さぁ…きて…” アクエリアの声が頭の中で響く。

アクエリアが何を求めているか一目瞭然だが、金雄は躊躇した。

彼女は『洗脳』するとか言っていた…そしてあの骨は…

金雄は頭を動かして、床に転がった『骨』を見た。「あれ?…模型?」

”何言ってるの…『骨』?…ああ、あれは体を支えるのと、襲われた時に見せて脅かす為に使っている人体模型よ”

「何だ、そうだったのか」ほっとする金雄。


ズロリ… 「うっく!?」

股間の中に再び粘る感触が纏いついた。 ゼリーの舌で、直に舐められたような妙な感触だ。

少し遅れて、ドロリとした快感で陰脳が満たされる。

「ふぁぁ…」思わず息を吐く。

すかさずアクエリアの秘所(?)が金雄の顔に擦り寄ってくる。

唇にねっとりとした感触。 自然に舌が伸び、透明な谷間をゆっくりとなぞる。

”ああ…” アクエリアの喜びの声が聞こえた…と思ったら金雄もなんだかうれしくなった。

「ああ…アクエリア…」 下からアクエリアの腰を抱く様にする金雄。

服の布地が邪魔で、アクエリアを感じきれない…と思ったら、アクエリアの体があちこち変形し、器用に服を脱がせていく。

はだけられた胸に、冷たいゼリーのお腹が密着し、乳首を弄り回す。

金雄のへそにアクエリアが満たされ、フルフルと震える。

イチモツをアクエリアがしっかりと包み込み、蠕動し、皺の一つ一つに潜り込んで優しく愛撫する。

その完璧な愛撫に金雄のイチモツは固くそそりたつ。 しかしアクエリアは、金雄のイチモツをゆっくりと冷やし、暴発させない。

「気持ち…いい」うっとりと呟く金雄。

”『客』を捕まえる時と違って手加減する必要は無いはね…いっそこのまま…”

アクエリアの呟きに、金雄の心のどこかで「しっかりしろ!俺!」と言う声がした。 

しかし、次のアクエリアの一舐めで、その声は「まぁ、これもいいんじゃないか」に変わった。

多数決から全員一致に変わった心の声のままに、金雄はアクエリアの与える快楽に身をゆだね、柔らかなアクエリアの体を愛撫する。

ザワリ…ザワリ…
床に横たわる金雄の上で、透明なナメクジのように蠢くアクエリア…

その手加減なしの攻めは、金雄の心にじわじわと染み込んで行く。

「ああ…アクエリア…様」金雄がそう言うと、アクエリアは満足そうに頷き、一際強く『金雄』を吸った。

ゾクリ…ゾクンゾクンゾクンゾクン…ゾクッ…

股間にたまっていた、ドロリとした何かが一滴残さずアクエリアに吸い取られた、たまらない快感と共に。

金雄はボーっとして余韻に浸る。 ひどく幸せな気分だ。


幸せそうな表情で動かなくなった金雄。 アクエリアはそこから離れると、床に転がる『骨』を取り込んで壁に寄りかかった。

「さて…起きなさい」アクエリアが命じた。

「はーい」トロンとした目つきで金雄が起き上がる。 

もともとしまらない顔だったが、もはや顔のどこを探しても『しまり』という言葉はみつからない。

もし彼に尻尾が会ったら、今頃はせっせと振っていることだろう。

(…ライムはこん奴ににたぶらかされたのね…なんて不憫な…)アクエリアがそっと目元を拭う仕草をした。

その時扉がノックされた。

ミュー…

「金雄、ライムちゃんはマニアックな奴よりもっと普通のがいいってさ…」十文字かドアを開け、アクエリアと目が合う。

ミッ!? ミミミミミッ!?(あっ!? アクエリアお姉さま!?)

十文字にはライムの言葉が判らないが、ライムにそっくり(?)なアクエリアがライムの関係者と察した。

「うう…うれしい!俺の超能力が役に立つ日々が来ようとは!」 感激のあまり十文字は涙を流した。

次の瞬間、十文字は身を翻したアクエリアに触れた。

「ひゃっ!?」 驚いて身を縮めるアクエリア

「…きたきたきた、きたぞっ!!」 マイクを取り出す十文字。

『彼女の名はアクエリア!水のような体から別名『水のアクエリア』。マダム・ブラックの三女にして最も計算能力が高く経理を担当している!』

「な、なによこの人?」あっけに取られるアクエリア。しかし十文字は止まらない。

『その体は流動性に富む為、骨組みを使っても立って歩けず車椅子を使っている。体の色は基本時に透明で屈折率を変えられる。但し、

屈折率を0にはできないので見えなくなる事はできない』

「…」

『その『洗脳』力は強力で、男一人ぐらいなら3〜4日はいいなりにできるし、同時に多人数を『洗脳』できる。その場合、有効期間が短く

なる…ぜいぜい』

そこまで言って咳き込む十文字。 どうも彼の力は肺活量に左右されるようである。


ミッミッミッ?(金雄?) ライムが金雄の顔を覗き込む。 しかし金雄はライムを見ようとしない。

「アクエリア様…」ぼーっと呟く金雄。

ミギッ!?(お姉ちゃん!?)

あっけに取られていたアクエリアはライムの呼びかけに我に返り、ライムの方を向いた。

「ライム、あなたをたぶらかした男は私がたぶらかし返したわ」厳かに言うアクエリア「さぁ、帰りましょう。その男はお母様におしおきをして

もらいましょう」

ミギギギッッ!(お姉ちゃん〜!)

人型のライムがこぶしを握り締めてフルフルと震える。 怒っているようだ。

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