王子とスーチャン

幕間劇(5) 『魔女の恐怖』


 スーチャン、黒姫が目指す海底の魔城、もとい近海の元観光施設、オニヒトデの魔女はそこにいた。 元の海底展望室の

中央に陣取り、辺りを睥睨している。(ヒトデの目は足の先にあるらしい)

 ”ふふふ……ふふふふふ……あーはっはっはっはっ、ゲホゲホッ”

 ’主様! 如何されました?’

 オニヒトデの手下、クモヒトデ忍者衆が応じた。

 ”案ずるな、むせただけじゃ”

 もしエミがこの場にいたら『ヒトデは水管呼吸だから、『むせる』というのは変ね』と突っ込んだであろう。

 ”ふっふっふっ、可愛いのぅ。 そしてうまそうじゃ”

 オニヒトデの魔女が見つめる先には、おびえるヤドカリのルウ王子がいる。 殻を奪われ、脱皮したてのルウ王子には身を守る

術はない。

 ”これ、ヤシガニ共が使っていた『ドージンシ』とか言う人間どもの魔法書を持て”

 ’ははっ! ここに’

 クモヒトデが、うやうやしく『同人誌』を差し出す。

 ’『モンムス大全 第四十二巻 魔女、熟女……ってそれ娘じゃないやねん編』……でございます’

 ”モンムスとは何じゃ”

 ’ははっ’ クモヒトデは平伏した(もともと這いつくばっているが)。 ’よくは知りませんが、主様の様な美しいお方を指すと思わ

れます’

 ”ほう、ではこれを読めば、この可愛いヤドカリは身も心も、わらわの物となるのじゃな”

 ’御意’

 オニヒトデの魔女は、触手で器用に同人誌を広げると、その中身を朗読し始めた。

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幕間劇(5) 魔女の恐怖

「クククク、坊や。 どうしたの?」

 ルウはフルフルと首を横に振った。 全裸の少年の目の前には、黒ずくめの妖艶な夫人、魔女が居た。 彼女は豪奢な寝台に

座り、彼を誘っているのだ、寝台に。

 「いや……」

 姉が持っていた古い本、それに書かれていた不思議な模様を鏡に映した途端……彼は、ここに来ていた。 帰る術は……判ら

ない。

 「愛い奴よ、フフフフ」

 するりと魔女は服の前をはだける。

 「!」

 魔女の肌は病的なほどに白く、その体は見事に均整が取れていた、女体の神秘を除いて。

 「あぁぁ」

 「どうした? 怖いのか、これが」

 彼女の女体の神秘は、足の付け根にあるそれは、下半身の半ばを過ぎてへそのあるべき所まで、いや胸の谷間にまで及んで

いる。

 「ふっふっふっ」

 魔女は楽しげに笑うと、ゆっくりと体をうねらせた。 すると、彼女の神秘が脈打ちながら開き始めた。 赤く染まった奥を見せ

付け、熱い蜜を沸き立たせる泉を見せ付けるかのように。

 「い、いや」

 ルウはいざって後ろに下がろうとする。 が、恐怖の為か体が動かない。

 「さぁ……来るがよい」

 魔女が大きく体をうねらせた、すると開いた神秘の奥から、甘酸っぱい匂いのする白い霧が漂い出し、ルウの方に流れてくる。

 「いや、来ないで」

 ルウは足を振って霧を振り払おうとした。 ところが霧は生き物のように足に絡みつき、そのまま足を伝ってルウを包み込んでいく。

 「ひぃ……」

 不気味な霧はネットリトと生暖かかった。 足を振って剥がそうとするが、霧は離れる気配がない。

 「おいで……こっちにおいで」

 魔女が言うと、霧は魔女の胎内に戻っていく、ルウの足を包んだまま。

 「きゃー!」

 女の子の様に悲鳴を上げるルウ。 が、無常にも彼の体は、じりじりと魔女に引き寄せられていく、涎のように透明な雫を滴らせて

いる魔女の秘所に。

 「あー、あー、いゃぁ」

 悲鳴をあげるルウの足が、ついに魔女の陰唇に触れた。 ヌルヌルした不気味な感触に、ルウの全身に悪寒が走る。 

 「ふっふっふっ……ほーら捕まえた」

 魔女が妖しく笑うと、彼女の陰唇がざわめく様にふるえ、ルウの足に巻きついた。 そしてヌルヌルした蜜でルウを包みながら、

ルウをじわじわと胎内に引きずり込んでいく。

 「やー、やめてぇ」

 悲鳴をあげるルウは、魔女の秘所にずぶりと足首からす吸い込まれた。 ビクビクと陰唇が震えているのは、喜んでいるの

だろうか。

 「ああ、若い子の足はいい……もっと、もっと暴れるが良いぞ」

 ルウは足を抜こうと、秘所の中で、足でけったり、足を捻ったりしている。 が、それが魔女を喜ばせる事になった。 ヒクヒク

震えていた秘所の中央から、透明な液がトロトロとあふれ、ルウの足を伝って流れていく。

 「いやー、ダメー!」

 ルウが暴れるほど、魔女は興奮してくる。 そして、滑る液体が少年自身を包み込む。

 「うっ……いや……だめ」

 ヌラヌラとした温もりに包まれ、少年自身がむっくりと立ち上がり、固くなって行く。 そして、その芯がきゅうっと縮んでいくような

妙な感覚に襲われる。

 「おうおう、幼く見えても男の子よのう。 女の蜜に興奮しておる。 直に気持ち良くなってくるぞ」

 「やだよう、気色悪いよう」

 べそをかくルウを、興奮した魔女の秘所がヌルリ、ヌルリと引きずり込む。 その陰唇は、くるぶし、もも、そして少年自身へと

迫っていく。

 「や……ダメ」

 足を呑み込まれたルウは、腰を捻って抵抗するが、抗うだけ無駄だった。 ヌルリとした肉の襞が少年に巻きつくと、ヌメヌメした

生暖かい官能の波が、彼の背筋を駆け上った。

 「ひぐっ!」

 頭の中をヌルヌルしたものが這い回っている。 おぞましいような、それでいて身を任せたくなるような、異様な感覚だ。

 「あ……あぁ」

 「ふふ、それそれ、精を放つが良い。 たまらなく気持ちよいぞ」

 「気持ちいい……?」

 ルウは意識が朦朧としてきた、彼自身を捕まえているヌルヌルに、体がなじんできたような気がする。 そのまま身を任せて

しまいたいような、そんな気がしてきた。

 「さぁ、気をやるが良い。 そして姉も、幼馴染も、全部忘れるが良いぞ」

 「幼馴染……黒姫……いや……いやー!」

 ルウが叫び、猛然と抵抗を再開した。

 「な、なんじゃと、快楽の虜になるはずかこれは一体……むむ、それほどに強い想いなのか……

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 オニヒトデの魔女は、触手で別の触手をポリポリかきながら言った。

 ”随分、くさいシナリオじゃのう。 体が痒くなってきたぞ”

 ’御意’

 ’やー、黒姫ー!’

 ”うーむ、しかし現実もこれか……幼馴染の仲を裂くのは、さすがに罪悪感が……”

 ’許して黒姫ー! 浮気なんかしてないから、ちょん切るのはやめてー!!’

 ”……”

 ’……’

 ”……ほんとうに仲が良いのか? ヤドカリとヤシガニは”

 ’さぁ?’

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