王子とスーチャン

幕間劇(4) 『二人は幼馴染』


  配役
  姉:スーチャン
  弟:ルウ王子
  幼馴染:黒姫

 黒姫はスライム姉とルウを交互に見た。 スライム姉はその視線を受け止め、何事か頷く。

 「姉様、ルウ殿」

 黒姫は改まった声で呟いて身を起こすと、ルウの上から降りてベッドの端に移動し、足をそろえて横ずわりする。 そして

視線を二人から外した。

 「?」 黒姫の行動に困惑するルウ。 その背後で今度はスライム姉が身を起こし、ルウの肩に手を添え彼の上体を引き

起こした。

 「姉さん?」

 振り向いたルウを、スライム姉がそっと押し出すようにし、ようやくルウは二人の意図を察した。

 「……」

 斜めに視線を落とし、はにかむ黒姫。 半裸のルウは、細身の少女の裸身をじっと見て、ぽっと赤くなった。 今更ながら、

幼馴染の姿に恥ずかしくなったらしい。

 「これでも引っ込んでいるつもり?」

 姉の言葉にルウは意を決し、乱れた着衣を脱ぎ落した。 


 「……」

 黒姫はさっきまでの行動が嘘のように動かず、ただルウを待つ。

 「えーと……」

 ルウは裸になった後、もじもじしていたが、スライム姉に背中を押されそっと黒姫に寄り添い……背中に頬を摺り寄せる。

 「……」

 黒姫は、黙ったまま動かず、経験の無いルウは先に進む手順が判らない。 ため息をついたスライム姉は、再び形を崩して

二人の下に音もなく滑り込んだ。


 「ぁ……」

 ルウの手が、黒姫の太ももに運ばれ、そこを愛しげに撫でる。               (下でスライム姉がリードしている)

 チュッ 

 ルウが黒姫に身を寄せ、その耳にキスをした。                      (スライム姉がルウの尻を引っ張った)

 「ルウ殿……」

 半身を捩り、ルウを求める黒姫。 ルウは一度ひいてから、その唇を自分の唇で受け止める。 (ルウが身を引いた時、

スライム姉が反対方向に傾けた)

 「きやっ♪」「あっ……」

 二人は一度動きを止め、それからもつれ合ってベッドに倒れこむ。


 「来て……」

 黒姫の腕の中でルウは身を捩り、自分自身を黒姫の寝所に摺り寄せた。 そこは、しとどに濡れてルウを待っていた。

 「行くよ……」

 ルウは、自分のものを精一杯固くし、黒姫の思いに応える。

 「あっ」 

 黒姫の背が反り返り、寝所の扉が閉じようとした。 ルウ自身が、その圧力に負けて外にはじき出される。

 「えーと……えい」

 ルウは、黒姫に押し入ろうとするが、実力差がもろに出て再びはじき出される。

 「殿……あっ?」

 黒姫が、戸惑ったような声を上げた。 ルウの指が黒姫の寝所の入り口に吸い付き、巧みに愛撫を加えてきたのだ。 

(当然、スライム姉が手を貸している)

 「あっ……ああっ?」

 巧みな指使いに、寝所の入り口が次第に開いていく。 御簾が開くように、艶やかに光る肉襞が口を開け、寝所の奥をさ

らけ出す。

 「……よし、今度こそ……ひゃっ!?」

 もう一度突っ込んできたルウ自身は、女の本性をさらけ出し始めた黒姫の寝所に頭から飛び込んでしまった。 黒姫の

肉襞がルウに絡み付き、一気に奥に引きずり込む。 勢い余ったルウの先端が、黒姫の奥を叩いた。

 「ふわっ! わっ!」

 「ああっ!ああっ!」

 一気に本気になった黒姫に、ルウが翻弄される。 それでもルウは、精一杯男の役割を果たそうと、腰を動かして黒姫に

打ち付ける。 その二人の下で、スライム姉が巧みに体をうねらせてタイミングを調整する。

 『あっ……あっ……あー!』

 初めてとは思えないほど息の合った動きで二人は達し、それから崩れ落ちた。 静かな余韻の喘ぎが部屋を満たしている。

 「……」

 二人の初めてを見届けたスライム姉はベットから床に流れ落ち、二人に気取られぬように静かに部屋を出て行った。

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 ”姫! 殿下! お見事でした!”

 日の丸扇子を広げ、大いに喜ぶ家老カニレーザをはじめとするオオヤドカリの家来達。 そして、拍手をしているのはヤシガニ

・シークレットサービス達だ。


 「ふむ、喜び方に差があるのは種族の違い? それとも危機感の差かしら」

 エミは、ハウスの居間で喜んでいるヤドカリ、ヤシガニ達を見て呟いた。 

 「これでめでたし……あら?」

 ふと気が付くと、ミスティとスーチャンがいない。 ハウスの玄関に行ってみると、履物がない。 靴を履いて表に出ると、

見事な月明かりの下に二人の姿が見えた。 海岸に向かっているようだ。

 「?」

 
 夜の海を月が照らしも寄せては返す波が、自然のBGMを奏でている。 スーチャンとミスティは黙って海岸に座り、海を

見ていた。

 「よく頑張ったね。 お姉ちゃん♪」

 ’……’

 ミスティの声に、なぜかスーチャンは応えない。

 「今なら、聞いているのはミスティと月だけ。 言っちゃいなさい」

 ミスティの言葉に、スーチャンはすっくと立ち上がった。

 ’……バッカヤロー!! すーちゃんダッテナー……’

 あとは言葉にならず、スーチャンはミスティにしがみつく様にして、体を震わせていた。


 「……」

 エミは物音を立てないようにしてその場を離れる。

 「スーチャンも女の子、もともとの約束とは言え、肌を許した相手を他の女に渡すのはね…… にしてもあの悪魔っ子、

やっぱ侮れないわ」

 二人に対する評価を修正し、エミはハウスに戻った。


 ザワザワザワ……

 エミがその場を離れた後、草むらで何かが動く音がし、生臭い潮の残りが漂う。

 南の島の物語はまだ終わっていない。

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