パイパイパー

2.女神の洗礼(12)


 「さぁ、ルウ」

 シャーリィはルウの手を引くと、パイパイパーの前に進み出る。 すると、パイパイパーの体を覆っていた白い霞が薄くなって

きた。 

 (……)

 ルウはあらためてパイパイパーを見上げた。 彼女は地面に座っているが、たわわに実る白い果実は人の背丈のはるか上で、

顔はその向こうにあった。

 (大きい……おっぱい)

 下からでは、両の乳房が邪魔をして彼女の顔が見えない。 じっと見ていると、乳房がプルンと震えた。 

 「?」

 ルウが首をひねっていると、パイパイパーの手が二人の前に下りてきた。 手の平を上にして、二人の前で止まる。 『乗れ』と

いうことらしい。 シャーリィが先になり、手のひらに乗る。 パイパイパーの手が持ち上がり、二人は乳房の上に持ち上げられた。


 「わぁ」

 乳房の上、谷間に出来た三角のくぼみには、白い湯気が立ち上る池があった。 そこは、タ・カークが女に変えられた乳の泉

だが、ルウはそんな事は知らない。

 「……」

 乳の泉には、一人の美しい女性が体を預けている。 目を軽く閉じ、薄い笑みを称えた口元は、彼女が法悦の境地にいる事を

示していた。

 「これは……誰?」

 「デニーよ、貴方と同い年の」 

 「デニー……男の子だよ、おとなしかったけど」  ルウはぼんやりとした口調で応じた。

 「あの『乳の泉』に身を浸していれば、女に変わってしまうのよ、男の子でも」

 ルウはそうなのかと考えた、今まで見てきた事を思い出した。

 「他の人みたいに……下僕になるんだ」 

 「いいえ、この泉で変わる人たちは役目が違うわ」

 「役目……」

 呟くルウの横でシャーリィは身をかがめ、デニーの手を掴んで立たせる。 白い乳を滴らせながら立ち上がったデニーは、均整の

取れた見事な女の体に代わっていた。

 「デニー……?」

 デニーはルウを見つめ、微笑んで見せたがどこかおかしい。 視線が微妙に合っていない。

 パイパイパ〜♪ (残念ですが、うまくいかなかったようです)

 「はい、パイパイパー様。 デニーナは何処へ?」

 パイパイパ〜♪ (若き下僕達と共に)

 「はい」

 ルウにはパイパイパーの声が理解できなかったが、デニーナがデニーの事で、彼、いや彼女の処遇を離していた事は見当が

ついた。 

 パイパイパ〜♪

 パイパイパーの手がデニーナをすくい上げ、地面に下ろす。 すると、下僕になったらしい少女が二人あらわれて、デニーナを

どこかに連れて行った。

 「デニー……」 

 デニーナを見送って呟くルウの傍らで、シャーリィがしゃがみ込み乳の泉を手のひらですくった。 そして、彼女はそれをルウの

肩からかけ流した。 突然、暖かい乳をかけられたルウは、驚いてシャーリィを振り返った。

 「貴方の番よ、ルウ」


 「ルウ……さぁ」

 シャーリィに押されるようにして、ルウは乳の泉に身を沈める。 生暖かい乳が、彼の素肌を抱きしめた様な気がした。

 「ふぁ……」

 優しく波打つ乳の愛撫は、懐かしい温もりの中に帰っていくかのようだ。 頭の中がぼーっとして、目は開いているのに眠って

いるような不思議な感じがする。

 (これに浸かっていると、女の人になっちゃう……)

 正気ならば、大慌てで飛び出して逃げ出すか、恐怖に駆られて泣き喚く所だろう。 だが、ルウの心は半ばパイパイパーの

ものになっており、それを怖いと感じる事はなかった。 

 キュゥ……

 あっ……

 股間のルウ自身が、絞られるように固くなる。 そして、じわーっと心地よく痺れてきた。 このまま女の子になるのだろうかと

考えていると、乳の泉が目の前でごぼごほと泡立ち出した。

 「?」

 じっと見つめていると、乳の泉から一人の少女がひょっこり顔を出した。 年はルウより下だろうか。 彼女は、上半身を泉の

上に出すと、ふんぞり返るように胸を張る。

 ブルン

 年と全然会わない大きな胸がルウの目の前で揺れる。

 「さぁ、私は誰?」


 ルウは彼女の顔をじっと見、次に胸をじーっと見て答えた。

 「パイパイパー様?」

 「正解! なぜ判ったの?」

 「胸の形が同じです」

 少女は恥じ入る様子もなく、ルウの顔を覗き込む。

 「ふっふっふっ……いいわよ、貴方。 貴方ならいけるかも」

 「何のことです?……」 ルウはいぶかしむ。

 「気にしないで、じゃあ始めましょうか」

 少女パイパイパーは胸をずいと突き出した。

 「私の胸を愛して、そしてわたしをいかせて」

 「はい、おおせのままに」

 ルウはパイパイパーの胸を舐めようとした。

 「待って、私がいくとね貴方は『神の乳』をタップリと浴びることになるわ」

 「はい……『神の乳』?」

 「そう、他の人たちで見てきたでしょう、気持ちよくなって、女になって、そして魔物になった人もいたのを」

 「はい、見ました。 それが?」

 「アレじゃダメなの、私が必要としているのは、私の代わりができる下僕なのよ」

 「は、はぁ」

 「シャーリィやタ・カーク辺りなら、リーダにはなれるけどね、まだ役不足だわ。 だから貴方!」

 少女パイパイパーはルウを指差した。

 「……僕にそれを?」

 「正解。 これから貴方が浴びる事になるのは、特別濃い『神の乳』。 凄いわよこれは。 浴びたが最後、とっても気持ち

よくなって……デニーなんて何もかも忘れちゃったし……まぁ、まだましな方ね。 最初に試したのは、人の心まで忘れて

『ウースィ女』になっちゃたし」 

 「そうなんですか……」

 「そう、だから頑張ってね♪」

 可愛らしく終わらせたが、彼女は相当酷い事を言っている。 ルウが『神の乳』に耐え切れなければ、記憶喪失の女になるか、

言葉すら話せない女魔物になるかもしれないのだから。 だが、ルウは彼女に逆らう事は出来ない。 いや、彼女に逆らうという

考えが浮かばないのだ。

 「はい、頑張ります」

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