パイパイパー

1.巡視達の災難(4)


「ひっ!」

 ウースィ女の白い歯を見た少年は思い切り身を捩り、そのはずみでウースィ女は少年を取りおとす。 草の上に

尻餅をついた少年はばね仕掛けの様に飛び上がり、踵をかえすと脱兎のごとく駆け出した。

 ……おや坊や、どこ行くの……

 ウースィ女の声を背中に感じつつ、少年は立木の向こうに走り込んで……木の根につまづいた。

 「あ痛っ……」

 足を抑えつつ、木の向こう側に身を隠す。 痛みをこらえて息を殺し、木の向こう側に居るはずのウースィ女の様子を

うかがう。 

 「……?」

 追ってくる気配がない。 そーっと木の陰から向こうを伺う少年。 その目の前を霞のようなものが流れていった。


 「ア……ハゥ……」

 ウースィ女は奇妙な事をしていた。 地面に座り込み、膝を立てている。 そして自分の乳房を持ち上げる様にして、乳首を

咥えている。

 (お腹が空いたのかな)

 彼は、女の人が赤ん坊に乳をあげることを知っていた。 だから、ウースィ女が自分で自分の乳を飲んでいるのかと思っ

たのだ。

 シューッ……

 ウースィ女が口を離すと、乳首から白い霧が吹き出した。 それが風に乗って彼の方に流れて来る。

 (ああ……これは乳なんだ)

 謎が一つ解け、なんだかうれしくなる。 すると今度は、ウースィ女が何をしているのか気になってきた。

 「ハ……ハゥ……」

 ウースィ女は巨大な乳房をゆっくり揉み上げて、唇から舌を出して乳首を舐めている。 乳首がピクッピクッと震えていき

一際大きく震えて霧を吐き出す。

 「ハァー……」

 乳房から霧を吐き出した直後、ウースィ女はため息を漏らし、なんだか不思議な表情になる。 

 (変なの……)

 少年は、ウースィ女の行動が気になってたまらなかった。 さっきまで恐ろしさで震えていたが、こうして見ていると、

恐ろしさが薄れていくようだ。

 (んー……)

 少年は木の陰から身を乗り出すようにし、ウースィ女をじっくりと眺めだした。


 「ウー……フゥー……」

 ウースィ女は肩で息をしていたが、今度は足を大きく開いた。 人ならば毛が密生しているのだが、魔物のそこには毛が

生えておらず、白く細い溝が縦に走っているだけだった。

 (何の溝だろう……)

 ウースィ女は、逞しい腕を伸ばして溝に手をやり、下から上にすーっと撫でる。

 「ウーッ……」

 ウースィ女は唸り声をあげながら、『溝』を何度も撫でる。 すると、『溝』がテラテラと光ながら左右に広がりだした。

 (わーっ……)

 溝の間からきれいな薄桃色の幕が見えた。 光って見えるのは濡れているせいなのだろう。 ウースィ女はその幕を撫で

たり、抑えたりしている。

 「ウー……オ、オー……オーオオゥ……」

 ウースィ女の声が高く響く。 それは紛れもない喜びの声だった。

 (喜んでいる……)

 少年はじっとウースィ女の声に耳を傾けていた、音楽でも聴いているかのように。

 
 ふっと声が途切れ、森に静寂が戻った。 ウースィ女は動きを止め、少年も同じ姿勢のまま様子をうかがっている。 

と、ウースィ女が顔を上げ少年を見た。 上気した顔で、目が濡れている。

 ……こっちにおいで……

 やさしい声が耳に届く、少年は木の陰から出ると、ウースィ女に歩み寄っていく。

 (うわー……大きい)

 大人のパイクより二回りも大きいウースィ女、座っていても少年の3倍大きさがあった。 彼の目の前で、さっきまで彼女が

弄っていた谷間が熱気を放っている。 

 (すごい……)

 テラテラ光る幕が、ゆっくりとうねっている。 知らず知らずのうちに手がでて、その幕に触れてしまう。

 (熱い……)

 熱気を孕んだ幕は見た目通りにヌルヌルし、彼の手の下でヒクヒクと蠢いている。 その主であるウースィ女は、なぜか

じっと座ったまま彼にしたいようにさせていた。

 ……服を脱いで……身を任せて御覧……

 また囁き声が聞こえる。 疑問も持たず、少年は服を脱ぐと、その幕に抱きつくようにした。

 「オ……」

 「あ……」

 幕が反応した。 奥へ向かって開いていくように溝が深くなり、少年の上半身を咥え込む。 そしてゆったりと波打ち、少年の

上半身をヌメヌメとくすぐり始めた。

 (……)

 じっと佇む少年の肉体を、ウースィ女の秘所は慈しむように愛撫する。 愛の泉から湧き出す熱い滑りで、彼の体を包み

込み優しく舐めまわす。

 「ふぁ……」

 少年は、体の隅々まで洗われるような不思議な感覚に身を任せる。 頭の中から余計なものが消え、ただ愛撫の感覚

だけに満たされていく。

 (……)


 どのくらい時が流れたのだろうか。 ウースィ女の秘所が動きを止め、囁き声が聞こえてきた。

 ……今度はあなたの番……

 目の前で、キラキラ光る薄桃色の肉の玉が震えている。 ウースィ女の愛の極みだが、彼がそれを知る由もなかった。

 ……さぁ、愛してあげて……

 少年は、促されるままにそれに口づけをする。

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