パイパイパー

1.巡視達の災難(3)


 「巨人女!? そんな恐ろしいものが……どんな魔物なのですかそれは!?」

 「巨人女と言っても、今回は正体が何かはまだ判っていないのですが」

 ティ書記官は村長にどう説明したものかと頭をひねる。

 「正確には『巨人』と言う魔物はいません。 人型の魔物で、背丈が人の5倍を超えるものを『巨人』と呼んで

いるのです」

 「背丈で区別している?」

 「ええ。 例えば北の果てに住む雪と氷の精霊の長は、身の丈が人の10倍もあり『凍れるヒュレーネ』と呼ばれて

いるそうです」

 「人の10倍!!」

 「ですが彼女は『雪と氷の精霊』であって、『巨人』という魔物ではありません。 南にいけば、今度は『炎の巨人』が

います。 ですから、身の丈だけでは対処の方法が判らないのです」

 「ふむ?……するとこの地面の穴では、背丈の大きな人型の魔物がいるというというだけで、どのような魔物か

判らないと」

 「そういう事です」

 「ウースィ女のでっけぇ奴じゃねえのか? あっちのちっこい跡が娘か妹でさ」

 ドドットが粘土の崖の人型を指した。 もっとも『ちっこい』と言っても彼らの背丈より大きいが。

 「さて、それは何とも」

 「しかし……」 村長が首をひねった。 「そんなに大きければ、森の木々より背が高いことになりますが」

 「?」

 「つまり森の中に居たとしても、頭は森の上に突き出て、よく見えるでしょう。 当然、村の者が目撃していると思う

のですが」

 「……そうですね、一人でも見たら大騒ぎになりそうですね」

 「うーむ」

 しばらく相談した書記官と村長は、ひとまず村に戻って今後の行動を検討することにした。


 同じころ、森の奥では一つの惨劇が起ころうとしていた。

 「こん畜生!」

 樵のパイクが手にした鋸を振り回した。 その鋸をかいくぐり、白い影が彼に迫る。

 クフッ……

 パイクに肉薄した白い影から、生暖かい白い霧が吹き出し辺りを包む。

 「この……この……」

 パイクの動きが緩慢になり、手にした鋸が地面に落ちた。 体が粘土に包まれたかのように重い。 立っていることが

出来ない。

 「くの……」

 尻餅をつくパイクの前に白い影が立ちはだかる。 白く逞しい体、豊かな胸、くびれた腰、そしてまがった角。

 「ウ、ウースィ女」

 ウースィ女はパイクの胸ぐらをつかみ、高々と差し上げて衣服を引き裂いた。

 「ひぇぇ……」

 程よく肉のついた体を見て、ウースィ女が舌なめずりをした。 そして、豊かな胸の谷間にその体を迎え入れた。


 パイクを襲った『白い霧』はウースィ女の乳だった。 乳で白くぬれたパイクの体が、巨体な肉の果実の間で責めら

れる。

 ヌチ、ヌチ、ヌチ……

 「ああぁぁぁ……」

 筋肉質の体を挟み込んだ乳房は、パイクの全身を舐めまわすように自在に形を変える。 体格の良いパイクだが、

ウースィ女は彼より二回り以上大きく、子供と大人ほどの差があった。

 「よせぇ……」
 ウースィ女は、立ったまま子供をあやす様にパイクを愛撫していた。 パイクの抵抗が弱まったとみると彼を地面に

下し、屹立した彼自身に跨ってきた。

 「……」

 ウースィ女の尻がパイクを抑え込み、彼自身を熱い蜜壺に誘い込む。 そして、震える彼自身にウネウネと蠢く熱い

肉襞が襲い掛かった。

 「あ、熱い」

 ……どうだい、あたしの胎内は……

 野太い声でウースィ女がしゃべった。

 「あ、ぁぁぁ」

 ……お前の精気をあたしに頂戴……

 「!?」

 ウースィ女が乳房を強引に左右に引いた。 パイクの眼前で、白い谷間が口を開ける。 次の瞬間、彼の体は白い

谷間の中にあった。

 「ふぐぉ、ふが……」

 ……ほーら、たっぷりと可愛がってあげる……

 パイクの体は、再びウースィ女の『乳の抱擁』で責めらる。 そして白い闇の中、甘ったるい温もりが彼に迫ってくる。

 ……たっぷりおあがり。 そして、一杯精気をおだし……

 「ふな、ふなっ、ふななななっ……」

 全身が男根になってしまったかのような、甘く激しい愛撫。 体を包み込む快感に逃げばはなく、快感に体が溶けて

いくような気がする。

 ……うふふ、蕩けておしまい。 身も心も蕩けて、白い精気になってあたしの胎内においで……

 「!? いぃぃ」

 ウースィ女の誘惑が、絶頂の引き金になった。 トロリと溶けるような、奇妙な絶頂感で満たされていく。 そして

 ……おいで……

 ヒクッ……ヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒクヒク……

 「ひっ、いい……あぁ〜あぁ〜」

 ついにパイクは放ってしまった。 濃い、とても濃い快楽の証が、ゆるゆるとウースィ女に捧げられていく。

 ……ああーん。 熱い、熱いのぉぉ……

 熱い迸りを胎内の奥深くに受け、ウースィ女もまた快楽に酔いしれる。 パイクを乳ごと抱きしめている両腕に力が入る。

 「あっあっ、ばっばっ……ボァッボアッ……」

 乳房に包まれたパイクの体は見えないが、端から見ていれば乳房の間の隙間が減っていくのが判った。

 「ボッ……」

 やがてウースィ女は立ち上がり、胸の間から枯れ木のようなものを取リだし、無造作に捨てる。 それは、変わり

果てたパイクの亡骸だった。

 ……よかったかい? さて坊や、覗き見は良くないねェ……

 ウースィ女は、背後を振り返り、茂みに手を入れると、一人の子供を掴みあげ、動物の子供の様にぶら下げた。

 「……」

 口もきけないほどおびえる子供に、ウースィ女は壮絶な笑みを見せた。

【<<】【>>】


【パイパイパー:目次】

【小説の部屋:トップ】