ヌル

第四章 プロフェッサー(9)


 プロフェッサーに伸し掛かられた男は、仰向けの姿勢のまま肘で這いずって逃げようとした。 しかし、立って歩けぬほど滑る床だ、肘はただ床を引っ掻く

のみだった。

 ズルリ……

 プロフェッサーの口から舌が伸びた。 それは蛇のようにくねりながら、男の下着に潜り込んだ。

 ゾロリ、ゾロリ……

 棒の形に膨らんだ白い下着、それに蛇が忍び寄り、ぐると巻き付く……そんな筋書きが見て取れた。

 「うぐうっ……」

 男の口から喘ぎが漏れ、その動きが止まった。 代わりに、下着の下の蛇の動きが活発になっていた。

 「ひ……」

 クッ……ククククク……

 舌を出したままプロフェッサーが器用に笑う。

 「さぁ、坊や……言ってごらん? どうなっているか……」

 「うぁぁ……」

 男は半分白目をむきかけ、声を絞り出す。

 「な……ナメクジみたいな……蛇みたいなものが……ま、巻き付いて……」

 「フフッ……どこに?」

 「オレの……先に……ひゃひぃ」

 「あら……ここがいいのね?」

 プロフェッサーの舌先が、かのモノの先端にへばりつき、ゆっくりと前後する。 滑る感触がじわじわと快感に変わり、亀頭を侵食していく。

 「た……駄目ぇ……」

 「まるで女の子、情けないわね……フフッ」

 プロフェッサーの舌先が鈴口を中心にして、粘液で螺旋を描いていく。 その粘液の効果なのか、彼は先端からじんわりと溶けていく様な快感に襲われて

いた。

 「た、助けて……」

 「まぁ、気持ちよくないの?」

 「き……気持ちいい……な……うぁ」

 それは、かって彼が味わったことのない快感だった。 しかし、先端から伝わってくる感触には、自分が侵されていく様な言い知れぬ不気味さがあった。

 「ううっ……ひ……」

 「ほらほら……大事なところがいいって言ってるわよ……」

 恐怖に縮こまっていた男の証は、さっきから別の意味でしこり、蠢いている。 彼女の言う通り、そこに生暖かい圧力がたまりつつあった。

 「こ……こんなの……よくねぇぞ!」

 「強がっても無駄よ……ほかの彼氏に言ったでしょう? この粘液は、あなたと私を繋いでいると……」

 「な、何ぃ?」

 「言わば、貴方と私は一つになろうとしている……ほら」

 そう言いながら、プロフェッサーは自分の手で、自身の股間を探った。 途端に、男の体に粘っこい異様な感覚が伝わってくる。

 「ぐっ!?……」

 股間の辺りに粘っこいものが這いまわる感覚があった。 彼自身の根元、そこから何かが入り込んでくるような感触だ。

 「き……ぎぼぢ悪っ……」

 「慣れてないからね……でも大丈夫……ああっ」

 プロフェッサーの手がいっそう深く潜り込み、背筋がヒクヒクと快感に震えた。 そして、男の体もヒクヒクと震え出した。

 「なんだぁ……中が……ああ」

 白目をむいた男の口から、喘ぎともうめきとも取れる声が漏れ、その体から力が抜けていく。

 「いいわぁ……私も……中が」

 「ああ……いい……」

 流し込まれる異質の肉体の快感に、男の体が支配されていく。 抵抗が失われた為か、下着を破る勢いで押し下げて、男の一物が跳ねあがった。

 「まぁ……」

 プロフェッサーが目を輝かせた。


 「フフ……さぁ……入れてあげる……」

 粘液まみれにされた男に、プロフェッサーの肢体が絡みつき、固くしこった一物を淫らに濡れぽそった花弁が包み込んでいく。

 「あ……」

 「ううう……」

 ヌメヌメと蠢く肉のベールをかき分け、男のモノがプロフェッサーの奥底へと突き進む。 濡れた襞の一枚一枚が亀頭にへばり付き、滑る快感をたっぷりと

塗りつけては離れていくのが判る。

 「ああ……」

 「きて……奥まで……」

 プロフェッサーに求められるまま、男は腰を動かした。 柔らかいプロフェッサーの体は柔らかく男を受け入れ、腰を引けば名残惜し気に粘りついてくる。 

さながら『肉の泥沼』であった。

 「はぁ……ぁぁぁ」

 ズブリ……ズブリ……ズブリ

 一動きごとに、肉襞が擦れ合う快感が体に絡みつき、そして体の奥へと染み込んでいく。 柔らかな女体はますます深く男を迎え入れ、一層深くなる

快感に男を溺れさせていく。

 「ああ……あぁ……」

 「ふふふ……そろそろ……きて」

 プロフェッサーに命じられると、男は体の芯が溶けていくいく様な感覚に襲われた。 トロトロと生暖かく、形のない粘液のような心地よさはに酔いしれ、

体が快感に痺れる。 そして、深く深くつながった肉体が、彼を呼ぶ。

 『おいで……さぁ……こっちに』

 「いく……」

 股間が快感に痺れ、疼きながら脈動する。 ドロドロの絶頂の証が、プロフェッサーの体の奥へと貢がれていく。

 「ああ、熱いわ……もっと……もっと頂戴……」

 「いく……いく……」

 うわ言のように呟きながら、男はプロフェッサーに精を貢ぐ。 快感に震える男の体にはプロフェッサーの手足が粘りついて愛撫を続け、男を快楽の頂に

押しとどめる。


 「あ……」

 トクン……

 数分間も続いた絶頂は唐突に終わり、二人は体を重ねたままぐったりとして、身動き一つしなくなっていた。

 「くふぅ……」

 先にプロフェッサーが意識を取り戻し、滑る手で男の顔を撫でる。

 「……」

 男はのろのろと顔をあげてプロフェッサーを見た。 その瞳からは意思の光が消え失せて、ドロンと曇り切っていた。

 「うふふ……すっかり虜になったわね……安心なさい。 貴方の種は、私の中で生き続ける……きっと先の世で芽吹かせてあげるわ」

 プロフェッサーはそう言いながら、男の頭を胸に抱いた。 男の唇がプロフェッサーの胸を探り、乳首を咥える。

 「さあお飲み……そして貴方の肉体もトロトロに蕩けて……私の力になってもらうわ」

 プロフェッサーの恐ろしい宣言も、もはや男に理解することはできないようだった。 やがて二人の息が荒くなり、二人は再び一つに絡み合う。

 「あう……ああっ……」

 やがて男の肉体に変化が現れた。 プロフェッサーの腕の中で次第にしぼんでいく男の体。 彼の体もまた、前の二人同様にプロフェッサーの胎内へと

消えつつあった。


 「これで三人……後は気を失っているあの女だけか」 ドドットは固い声で言った。

 「最後は女か。 口直しって訳か、あ?」

 エミの方をむくと、厳しい顔の彼女は首を横に振る。

 「彼女には別の運命がまっているわ……」

 「なに?」

 「先に3人の男を呑み込んだのは、あの女に使う魔力が必要だったからよ」

 「……どういうことだ?」

 「黙ってみていなさい。 あの女の魔女の力を」

 はっとしてスクリーンを見ると、三人目の男の姿はすでに無く、プロフェッサーは濡れぽそった肢体を起こして、粘液を滴らせながら気を失っている女に歩み

よろうとしていた。

 「悪魔の儀式の始まりよ」

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