ヌル

第四章 プロフェッサー(8)


 グチュ、グチュ、グチュ……

 プロフェッサーの秘所が淫猥な音を立てて、男の体を舐めまわす。 縮んでしまった男の頭だけが、陰唇の間から覗いており、そこから下はプロフェッサー

の胎内で弄ばれていた。

 「はぁ……はぁ……」

 男は喘ぎながら、プロフェッサーの中をかき回しているのだろう。 青い筋が無数に走りヌメヌメと光る女の腹が、小ぶりな人の形に膨らんでもこもこと蠢い

ているのがその証だった。

 「あぅっ……」

 プロフェッサーが切なげな声を上げ、自分の胸に指をめり込ませた。 力がこもった細い指の間から、柔らかな餅の様に白い乳房かあふれ出そうとする。

 「ううっ……あ……ああっ?……」

 プロフェッサーの陰唇が、男が顔を舐めるように蠢いた。 男はそれに応えて、濡れた襞を咥え、噛み、舐めまわした。

 「ああ……そこ……そこよ……」

 プロフェッサーが身をよじり、同時に男も声を上げる。

 「うぁぁ……いく……いっちまう」

 「きて……さぁ」

 ビクン……

 腹の下の男の体が跳ねた。 ニ度、三度……そして……

 「ああ……ああああ……か……絡みついてくる……」

 男の口から悦楽の呻きが漏れ、男がはまり込んだ秘所の奥で濡れた肉が絡み合う音が聞こえてくる。

 「い……く……」

 ビクン、ビクン、ビクン……

 唯一外界に出ていた男の頭が、オモチャか何かの様に震えだした。 そして震えながら、プロフェッサーの胎内へと沈み込んでいく。

 ああっ……アアッ……ウウウッ……

 くぐもった声が緩んだ秘所の奥から聞こえ、やがてそれもかすれて聞こえなくなった。

 「はぁ……ああ……はぅ……」

 ぐったりと床に横たわったプロフェッサー。 彼女の下腹柔らかく動いていたが、それもすぐに収まり、彼女の吐息だけが残った。


 「く、喰われちまった」

 「近いけど……いえ大分違うわね」

 ドドットはスクリーンから視線を引きはがすようにして、無表情なエミの方を見た。

 「どういう意味だ?」

 「あの女は自分で『魔女』だと言ったでしょう? その力の源は何だと思う?」

 「知るか! 自慢じゃねぇが、俺は頭が悪いんだ!」

 「まったく自慢にならないわね。 少しは頭を使はないと、向こうに捕まって勉強させられていたスライム娘達に追い抜かれるわよ」

 無情な言葉に、ドドットは傷ついたような顔をしたが、エミは取り合わなかった。

 「魔女の力はね、人の『精気』とでも言うものから得ているの」

 「なんだそれは?……ひょっとして、男のアレか?」

 「ソレにも含まれているらしいけど、まぁ普通は『精気』なんて目に見える形になるものじゃないわ。 当然、やり取りできるようなものじゃない」

 ドドットは首をひねった。

 「やり取りできない『力』が源ねぇ? となると……自分の『精気』を使うのか?」

 パチパチパチ…… エミが拍手した。

 「正解。 魔女は自分の持っている『精気』で魔法を使う。 ところで『精気』は無限にあるわけじゃない。 使えば減る、時間がたてば回復するけど、体の

中にためられる量には限りがある。 だから魔女が使える『魔法』は自分の『精気』の上限と、回復する時間に制限されるの」

 「普通の体力と同じだなぁ。 体力を増やすなら……体を鍛えるしかないか。 『精気』の場合は? アレを鍛えるのか? 鍛えられるならだが」

 「顔が親父になってるわよ。 全く、男って…… 実のところ『精気』の上限は、生まれつきの素質と年齢に左右されるもので、体や頭を鍛えてもほとんど

変化しないらしいわ」

 「なんだ、つまらん」

 「なにがつまらないのよ……じゃない。 ところが、できないはずの事をやる方法があったのよ」

 「おいおいおい、言ってることが違うぞ!?」

 ドドットの抗議に、エミは咳払いで応えた。

 「『魔女』は魔法を使う。 魔法ってなんだと思う? 何ができると思う?」

 「なに?……あ、あの女は魔法の力で『ヌル』になった……そういう事が出来るんだろう?」

 「そう、それはどういうことだと思う?」

 エミの問に、ドドットは訳が判らんと言う顔をし、エミは肩をすくめて見せた。

 「『魔女』の力はね、人を変えることができるの。 比喩じゃないわよ、人の体をいろいろと作り変えることができるの」

 エミは言葉を切って、ドドットが自分の言葉を呑み込むのを待った。

 「『魔女』はね、人の体を作り変えて、精気を吸いだせるようにできるのよ」

 「……え?」

 「プロフェッサーはね。あの男たちの体を一部作り変えて、精気が吸い出せるようにしているのよ」 

 「……な……なんだと?」

 「さっきの二人を思い出して。 一人目は骨と皮みたいになって、二人目は体が小さくなってプロフェッサーに呑み込まれた。 あれは体から『精気』を奪う

ためだったの」

 ゴクリ……

 ドドットはつばを飲み込んだ。

 「ま、魔女ってのは『人食い』なのかよ」

 「喰う訳じゃないんだってば。 体の中に持っている精気を吸い出すために、体の一部を溶かし……いえ作り変えられたの、男のアレに」

 「……」

 「大量のアレに変わった男の体は、プロフェッサーの胎内に吸い込まれ、そこで精気を絞り取られるの……」

 「……」

 「それを促すために、限界を超えた快楽を感じさせて……」

 バン!

 ドドットがスクリーンに平手を叩きつけた。

 「狂ってる……人のやることか!?」

 「人のやることよ」

 ドドットはエミを睨みつけた。

 「でも、あの女を弁護するわけじゃないけど。 あの男や女達は、自分の飢えを満たすために他人を犠牲にしようとした……それに比べたら、あの女の方

がまだ慈悲深いと言えるんじゃないの?」

 「!………」

 ドドットは何か言おうとして言葉を呑み込んだ。

 「理解しろとは言わない。 ただ、あの女が魔女としてやっていることを見て、知ってほしい。 それだけよ」

 「……意味が……あるのか?」

 
 「よ、よせぇ……」

 三人目の男が涙声で訴えるが、プロフェッサーは聞いていない。 艶然とした笑みを浮かべ、這いずる様にして、床に転がる男の体にのしかかっていく。

 「大丈夫……すぐに自分から……」

 ペチャリ……

 ネットリと糸を引く舌が、男のモノをズボンの上から舐めまわした。 男の口調と裏腹に、彼のズボンはムクムクと膨らんでくる。 

 「ほら……貴方の体は欲しがっているじゃないの……私を……」

 ジーッと音を立てファスナが引き下ろされ、白い芋虫のような彼自身の膨らみがさらけ出される。

 「震えているのね……可愛いわ……」

 巨大なナメクジのようなプロフェッサーの舌が、ジワリと獲物に迫っていく。

 「すぐに……食べられたくなるから……」

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