ヌル

第四章 プロフェッサー(4)


 スクリーンの中で男の一人が再び発砲した。 ドドットがそれを見て呟く。

 「さっきは判らなかったが、あの筒から何か打ち出しているのか?」

 「ええ。 金属の弾を打ち出しているのよ、相手の体に穴をあける勢いで」

 「あの女は平気そうだが……弾き飛ばしているか?」

 「その通りよ」


 ビシビシビシ……激しい音を立てて、天井、壁を問わず弾が跳ね返る。

 「そんなオモチャ危ないわよ」

 プロフェッサーは笑みを絶やさぬまま、一歩前に出た。 その体のあちこちがプルプルと震えている。

 「おい、当たったねぇぞ!!」

 「違う! 当たっているけど跳ね飛んで……うあっち!?」

 男の手から銃がはじけ飛んだ。 跳弾が銃に当たったらしい。

 「危ないと言ったでしょう……ウフフ」

 さらに進み出るプロフェッサーに別の男が銃を向ける。 それを見たプロフェッサーは、両手を胸にあてがう。

 プシャー

 プロフェッサーの胸から液体が迸り、男と銃を濡らした。 

 「のわっ!?」

 男は手を滑らせて銃を取り落す。

 「なんだ!? ヌルヌルして……うわぁぁ」

 プロフェッサーの胸から白い霧状の液体が盛大に迸り、侵入者たちを襲った。 

 「な、なんだ……いて!」

 足が滑ったのか一人が床に倒れ、弾みでほかの三人も転んだ。

 「くそう、変なものを巻きやがって……わわっ?」

 「きゃぁ、滑るわよ

 床に転がった4人がじたばたもがいている間に、プロフェッサーは悠然と歩み寄ると、手近の一人に覆いかぶさる。

 「こ、こいつ……」

 舌なめずりしたプロフェッサーは、男の服を脱がせにかかった。


 「あの女、何をしたんた?」

 「『ヌルの粘液』よ。 あの胸から出した液体は、恐ろしく滑りやすいの。 それで足が滑って転んだのよ。 さっき銃を取り落したのは、粘液で手が滑ったの」

 「するとその『銃』とやらで撃たれても平気だったのは……」

 「あの女の体は粘液で覆われている上に、恐ろしく柔らかい、相乗効果で弾を弾き飛ばしているの。 刃物で切りかかろうが、殴りかかろうが同じ事」

 「ぬぅ……しかし、薄情な連中だな」

 プロフェッサーに捕まったのは一人、当然残り三人が助けに入るところなのだが、助けるどころか二人から離れようと床を這いずっている。

 
 「や、やめろ」

 男の抵抗など意に介さない様子で、プロフェッサーは男を裸にして体を摺り寄せた。 粘液で濡れた男の肌にプロフェッサーの肌が吸い付く。

 「ひっ」

 異様な感触に、男の体が震えた。

 「フフっ……気持ちいい?」

 「ふ、ふざけるなぁ!……化け物がぁ!!」

 「あらあら。 嫌われちゃったわね……でも……」

 プロフェッサーは、男の目の前に自分の秘所を広げて見せる。

 「すぐに……よくなるわよ……」 

 薄く赤みがかった秘所が糸を引いて口を開け、左右の陰唇がみだらに蠢く。

 「だ、誰が……」

 喚き続ける男に構わず、プロフェッサーは男の胸に腰を下ろした。

 「うっ……」

 ぴたりと男が口をつぐんだ。 胸に軟体動物がべったりと張り付いたような異様な感触だが、それが理由ではなかった。

 「くふっ……どう……」

 艶然と微笑みながら、プロフェッサーはゆったりと体をうねらせ、男の胸を彼女の秘所が嘗め回る。

 「か……からだが……」

 「この粘液は貴方を捕まえるだけじゃないの……イオンを介して神経を刺激……」

 「そ、そんな小難しいことが判るか!」

 男の言葉にプロフェッサーは眉をしかめる。

 「……簡単に言えば、あなたと私は一つに繋がるのよ……そしてあなたは私の思うがまま……」

 ヌルヌルと這いまわる秘所の感触が、下腹へ、さして彼自身へと移動していく。

 「さぁ……繋がりましょう……」

 ズ……ヌルリ……

 そそり立った男自身が、プロフェッサーの秘所に咥えこまれ、奥へと引きずり込まれる。 ヌメヌメした感触が、愛し気に彼自身を舐めるのがはっきりと

分かった。

 ヌルリ……

 「……ひっ!? な、なんか……来るぞ!?」

 「ふふふ……感じる?……貴方のモノで私とあなたが繋がったの……ああん……さぁ……犯してあげる……」

 「や、やめ……」

 彼自身の中にヌルヌルとした何かが入ってくるおぞましい感触。 その感触が陰嚢へと侵入し、彼の腰の中を粘り這ようだ。 そして恐ろしいことに……

 「あ、あ……い、なんかいいぞ……こ、こんな……」

 「ふふ……気持ちよくなってきたでしょう……ほら」

 「あうっ、いく!」

 男は、唐突に彼自身が硬直して熱いモノが迸るのを感じた。 が、股間の猛りが収まる様子はない。

 「な、なんだこれは……」

 「言ったでしょう。あなたの体は私の思うがまま……さぁ……もっともっと……いかせてあげる……」

 プロフェッサーは横たわる男の体を愛し気に抱きしめると、ふっくらとした尻を男の腰の上で動かす。 その体の下で、男の体はヒクヒクと不自然に震える。

 「ああ、あああ……いい、いいのが……来る……上がってくる」

 呟く男の視線は宙をさまよい。いつしか彼はプロフェッサーの体を抱きしめていた。 ヌメヌメとした女の皮膚が彼の肌に吸い付くと、そこからあの得体の

しれない感触が体に入ってくるのが判る。

 「ひぁ……き、気持ちいい……」

 「ふふ……私もいいわぁ……もっと……貴方を感じさせて……」

 ズ……ズリ……ズリ……

 男の体が小さく震え、プロフェッサーの体と擦れ合う。 濡れた皮膚同士がこすれあい、粘膜を愛撫する歓びが全身を包み込む。

 「あ……」

 「ふ……」

 二人は巨大な軟体動物と化し、無心に互いを求めあう。 その異形の交尾に、他の侵入者たち己が未来を見て恐怖した。

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