ヌル

第ニ章 伯爵(15)


 「さぁダニー、マドレーヌ様がお呼びよ」

 セリアがダニーの背中を押した。 ダニーはいやいやするように首を横に振る。 それが精いっぱいの抵抗だった。

 「まぁダニー。 あなたは怯えているのね」

 伯爵夫人マドレーヌは、うつ伏せの姿勢から手をついて上体を起こした。 テラテラと光を放つ彼女の半身がダニーの視界に

入り、つい目をそらしてしまう。

 「ダニー、いい子ね……こっちを見て……」

 伯爵夫人の声は、いつもと変わらず優しい。 主の命に、ダニーは顔を上げてそちらを見てしまった。

 「奥様?」

 メイドの女体の山に座った伯爵夫人は、はしたなくも豊かな胸をさらけ出し、それをゆっくりと揉みしだいていた。 柔らかそうな

双丘が伯爵夫人の手の中で形を変え、ツンと立った赤い乳首が円を描いている。 ダニーの、ついその動きを眼で追ってしまう。

 「あ……ぁぁ」

 悩ましい声で喘いだ伯爵夫人の乳首から乳がほとばしった。

 「わぁ!?」

 伯爵夫人の乳は狙ったようにダニーに命中した。 濃厚な乳の匂いが鼻孔を満たすのと同時に、ダニーは全身の力が抜ける

のを感じた。

 「わっ?……」

 ダニーは床に座り込んでしまった。 伯爵夫人の乳でぐっしょりと濡れた夜着が、寝室の絨毯にシミを作る。

 「ダニー……」

 セリアが彼の背後で膝まづいて濡れた夜着を脱がせた。 そしてダニーの脇に手を入れて彼を立たせ、伯爵夫人の方に押し

出した。

 「さぁ……」

 宴が始まる。


 ダニーはよろめきながら、メイドの山につっこんだ。 やわらかく滑った女体が彼を受け止める。

 『やん……』

 『積極的……』

 目を開けると、目の前で肌色の壁が滑らかに動いている。 

 「えーと……わあっ」

 肩を掴まれ、体が半回転体する。 今度は背中から女体の山に突っこむ。

 『うふふ……捕まえた……』

 背後から手が伸びてきて、少年の体を拘束した。 身動きすると、背中にふわふわしたものが当たっているのがわかる。

 『あん……動くと……感じる』

 なんだか背中が暖かくなってきた……と思ったら乳の匂いが良くなった。 むせ返るような甘酸っぱいにおいが立ち込める。

 「わぁ……」

 香りを吸い込むと頭がクラクラして、力が入らなくなる。 ダニーは女体に体を預けてぐったりとする。

 「体が……変だよ」

 力が入らないだけでなく、熱っぽい。 そして……

 『ここが……変なんでしょう?』

 足の間から伸びてきた手が、彼の大事なところを撫でた。 ダニーは力の抜けた手で、なんとかその手を払いのけようとする。

 「きゃぁっ……駄目ですよ……そんなところを……」

 拒む言葉は弱々しく、そしてだんだん小さくなっていく。

 『駄目なの?……』

 『本当?……』

 耳元で誰かが囁き、背後から伸びてきた手が彼の胸を触り、頤をしゃくる。 そして大事なところを撫でる手が、次第に滑りを

帯びてくる。 

 「なんだか……ヌルヌルしてるよう」

 『ヌルヌル?』

 『こんなふうに?』

 ビチャビチャビチャ……背中に滑りを感じる……と滑りが溢れかえり、肩から胸に伝い落ちて来た。 背後からの手が、その

滑りを彼の体に広げていく。

 「いゃぁ……」

 びっくりして身をよじるダニー。 しかし彼の動きは、手から逃げると言うより、よがっているように見えた。

 『いやなのぉ……』

 『そんなことないでしょぅ……ほらぁ……』

 首筋に生暖かい感触が吸い付いてきた。 誰かがダニーの首筋にキスをして、そのまま舐めているらしい。 そして……

 チュルン……

 「ひゃぁっ?」

 大事なところにが固いものに辺り、続いて何かに揉み解されるような感触……

 「あ……だめ、そんなところを咥えちゃ…あ、ああっ……」

 『だめ?』

 『そんなことないでしょう……ねぇ』

 「貴方たち。 あまりからかってはいけませんよ」 ダニーの頭上で伯爵夫人の声がした。 「ダニー。 心配しないでいいのよ

……まずは貴方を……」

 (ボクを?……ああっ……)

 ダニーの全身を弄る女たちの手は、あくまで優しく、彼の体を舐める舌は彼の心を蕩かしていく。 そして、少年のシンボルは

覚えがないほどに固くそそり立っていた。

 『うふふ……』

 『ダニーったら……』

 股間を咥えていた口が、ダニーを解放した。 濡れた大事なモノが冷える間もなく、ダニーの体が半回転し、彼の顔が肌色の

谷間に押し付けられた。

 「むふぅ」

 息を吐いたダニーの耳に、囁き声が聞こえた。

 『さぁダニー……私の中に入れて……あげる』

 言葉の意味を考える暇もなく、反り返った少年のシンボルが熱く滑る何かに呑みこまれる。

 「あうっ……あぁっ」

 鋭い痛みと共に、シンボルにずるりと何かがめくれる感触があった。 続いて鮮やかな熱い滑りがシンボルを包み込む。

 「あうっ……熱い……熱い……」

 熱い滑りは遠慮なくダニーのシンボルを包み、そこを嬲ってきた。 そそり立つシンボルが熱くなり、続いて根本がきゅっと縮ん

でいくような感触がダニーを翻弄する。

 「ああっ……ああっ……」

 未知の感触に翻弄され、ダニーはただ呻くだけだった。 少年の体は熱くたぎり、滑る女体に包まれることで男としての快楽に

目覚めていく。

 「熱い……ああっ……」

 『うふふ……どうしたのダニー……』

 『なんだか、顔が赤いわよ……』

 メイド達の囁き声が、だんだん遠なって行くような気がした。 シンボルに纏いつく滑る感触は、妖しい快感となってダニーの

魂を犯していく。

 「ああ……変……変になっちゃう……」

 『いいのよダニー……変になって……さぁ……』

 ささやき声に導かれるまま、ダニーは快感に身を任せた。 シンボルの根本から冷たいものがせりあがってくる。 それは熱く

痺れる快感へと変わりながら、少年のシンボルを熱い快楽で満たした。

 「ああっ」

 掠れるような声を上げ、ダニーは少年から男に変わる。 同時に、彼を迎え入れていたメイドが女の歓びの声を上げる。

 『ああん……熱い……』

 柔らかな女体が少年の体を抱きしめる。 ダニーはメイドの体に埋もれて、初めての快感に震えた。


 ……

 しばしの時が過ぎ、ダニーは我に返った。 男になったばかりの彼の体はメイド達の塊に捕まったまま、さわさわと体を弄られ

ている。

 『ダニー……よかった?』

 『初めて……でしょ』

 「初めて?……」

 ダニーには『初めて』の意味が分からないようだった。 首を傾げるダニーの横手に、人影が現れた。 そちらを見たダニーは、

全裸の少女が立っているのに驚き、慌てて目をそらす。

 「ごめん!……君は誰?」

 眼を逸らしたまま尋ねたダニーに、少女はハスキーな声で応えた。

 「ボク? ボクは……そう、ボニータ。 それがボクの新しい名前……」

 「新しい名前?」

 「前の名前は……ボブ」

 ダニーは驚いて少女に目を戻す。 スレンダーな体型に短い髪、わずかなふくらみと足の間の陰りがなければ少年のようにも

見えるその少女は、確かにボブの面影があった。

 「ボ、ボブ!?」

 ダニーは絶句した。

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