ヌル

第ニ章 伯爵(9)


 トプリ……

 「わ?」

 お風呂に張られていたのは湯ではなかった。 トロリとした感じの透明な液体で、温度はぬるま湯程、それが盛大に湯気を

上げている。  誘われるままに『湯』に入ったボブだったが、さすがにおかしなものを感じ、疑問が口をでる。

 「セリアさん……これなんです? お湯じゃないですよね」

 ボブが尋ねると、湯煙を割るようにしてセリアが現れた。 当然裸だったが、ボブは顔を真っ赤にしてあたふたと慌てる。

 「あっあの、ごめんなさい! じゃなくて……」

 「おかしな子、お風呂なら裸で当然でしょう」

 おかしそうにくすくす笑いながら、セリアは手で『湯』をすくい上げると、ボブの肩からかけ流す。 生暖かい『湯』が、ボブの肌に

絡みつくように肩から胸に、そして下腹を温もりで覆っていく。

 「立ったままだと冷えるわよ」

 セリアはそう言ってボブの肩をそっとつかみ『湯』の中へ導いた。 ボブはセリアにされるがままに、『湯』に身を沈めた。

 トプリ……

 粘り気のある『湯』に、ボブを中心に重々しい波紋が生まれ、湯煙の向こうに消えていく。 なんとなくそれを眼で追うボブの横で

セリアが湯に身を沈めた。

 トプリ……

 ボブは、セリアの起こした波で撫でられているような妙な感じを覚えた。 

 ……

 あらためて周りを見回すと、やたらに濃い湯気が立ち込めていて壁も天井も見えず、そのためやたらに広い空間にいるように

感じられる。 もちろん、館の地下にそんな大きな地下室があるわけが無く、湯煙のすぐ向こうには壁があるはずなのだが。

 「そう言えばネリスさんは? さっき声がしたような気が……」

 「ネリスとエリナがいるわ。 それに護衛の……ダイルさんと言ったかしら。 その方も」

 聞いてボブは驚いた。 一度に5人も入れる風呂となれば、かなりの大きさになり、地下室に作れるとは思えない。 それに他の

三人が近くにいるように感じられない。 ということは、ここはかなり大きな風呂で、その端の方に自分たちはいるのかもしれない

そんな大きな風呂が館の地下にあるなんて、ボブは今日まで知らなかった。

 「大きなお風呂なのは間違いないけど、私も先日ミリに教えたもらうまで知らなかったのよ」

 「ミリさんが?……」

 ボブが次の言葉を探していると、何やらうめき声のようなものが聞こえてきた。 はっとして耳を澄ますと、太い男の声とネリス

エリナの声がする。

 「セリアさん? 何か声が……だれか具合が悪くなったんじゃ!」

 ボブは少年従者で、伯爵夫人の世話を手伝うこともあり、夫人の体調が悪い時はメイドに知らせるように言われていた。 聞い

たことのない唸り声に、教えられたとおりの反応を示したらしい。

 「まぁボブ、偉いのね。 でも大丈夫よ」

 「で、でも」

 「大丈夫よ、ボブ。 ほら」

 セリアがボブの背後を指差した。 ボブがそちらを見ると、まるで幕が開くように湯気が薄れ、そこにいたダイル、ネリス、エリナ

の姿がボブの視界に入る。

 「!」

 目に入った光景が理解できず、ボブは硬直した。

 「うう……あぁ……」

 さっきまでくぐもった唸り声だったダイルの声がはっきりと聞こえる。 彼はエリナの胸に顔を埋めるようにし、彼女に抱き着いて

おり、ダイルにネリスが背後から抱きつき、ダイルは二人のメイドに挟まれているように見えた。

 「な、なにを」

 「見ていればいいのよ、ボブ」

 セリアはボブの耳元でささやきながら、彼を自分の膝の上に座らせた。 そしてセリアの手が、幼い男の印に蛇のように伸びて

いった……


 「ううっくうっ……」

 唸り声を上げながら、ダイルはエリナの腰に自分の腰を突き入れた。

 「ああん……」

 エリナもよがり声を漏らすが、彼よりかなりの余裕が感じられる。

 (なんて女たちだ……)

 寝室を抜け出し、メイドの部屋に夜這いをかけたところまでは良かったが、途中でメイド長のセリナに見つかり『おもてなしが

足りませんでしたか?』と、ここに引っ張り込まれ、エリナとネリスの二人を相手に精を出す羽目になった。

 (くそう、小娘が)

 セリアはともかく、エリナ、ネリスはようやっと女になったばかりのような若いメイドだ。 普通、領主の館に努めるメイドは身持

ちが固く、このような役割を受け持つ女性は、臨時で外から雇う。 ただし、それは『領主のお客様』が相手用で、自分たちの

ような護衛が領主の館でこういう持て成しを受けることはないのだが。

 (こ、こっちが、ほ、本職か? うっ)

 エリナが腰を柔らかく捻り、同時に背後のネリスが彼の股間を指で刺激した。 男の魂の座に、ギュッと絞られるような刺激が

加わったと思ったら、あっという間に彼は果てていた。

 「うおおっ!」

 「あ、はーん」

 絶頂に合わせて放った最後の一撃も、奥が深いエリナに呑みこまれてしまった。 汗まみれで荒い息を吐くダイルに、余裕の

表情のエリナがほほ笑む。

 「よろしゅうございました……」

 「そ、そうかい」

 応えながらダイルはエリナの中から撤退した。 快楽の余韻を残すシンボルに『湯』のぬめりがくすぐったい。 

 「や、やるじゃねぇか……しかし、なんだこの『湯』は? 変な感触だなぁ、おい」

 ダイルが手で肩をこすってみると、ヌルヌルした『湯』が、なんとも形容しがたい感触を残す。 

 「お気に召されませんか?」とネリス。

 「なれてねぇからな。 ははぁ、奥様の体が悪かったから、薬湯とか言うやつにしてたのか?」

 適当な推測を口にするダイルににこやかに笑いかけながら、ネリスが彼に纏わりつく。

 「お、おい?」

 「さぁ、今度は私と……」

 ダイルは内心冷や汗をかきつつも、強がって見せようとした。 しかし、ネリスには見破られたようだ。

 「お疲れですか?」

 「お、おう……すまねぇが……」

 と、ネリスが肩をそびやかすようにして、胸を揺すった。 年の割には育ちきった見事な果実が揺れ、薄紅色の乳首が彼の

方を向く。 と、その先端から小さく何かがほとばしり、ダイルの唇を濡らした。

 「ぶわっ!? なんだお前、もう『母親』だったのかよ……」

 驚いていたダイルの口調が緩やかになり、目つきが怪しくなる。 

 トプ……

 ダイルの腰の前で、波紋を立てて『湯船の怪物』が鎌首を上げた。

 「うふ……やる気中分ですね」

 「お……おう……よ……」

 やや間延びした口調で答えながら、ダイルはネリスを抱き寄せた。

 (なーんか……へんだが……)

 さっき唇を濡らしたものを舐めとったと思ったら、体がぽうっと暖かくなりアレがはち切れそうに元気になった。 あらためて

ネリスを見やると、見事な女体が彼を誘い、幼さの残る口が彼を呼んでいる。

 ”オイデ……サァ……”

 頭の中に響く声に従いってダイルは固くそそり立ったシンボルを、ネリスにささげる。

 「アア……」

 「う?……うぁぁ……」

 膨れ上がったモノがネリスの胎内に突き入れられると、驚くほど柔らかいネリスのそれが彼のモノに纏わりいてきた。 たまらず

に腰を前に振るダイル、その先端がネリスの奥を貫く。

 「クァァッ……」

 「うぉぅ……」

 ネリスの奥が、極上の柔らかさを持ってダイルを受け止め。 続いてザラリとした女の神秘が彼の先端を縦横に舐めあげる。

 「うぁっ!」

 思わず腰を引こうとするが、シンボルに巻き付いたネリスのそれは、ダイルと一体化しているかのように離れない、それどころ

か……

 ズ……リッ…… ズ……リッ……

 ネリスの秘所が、貪欲な獣のように彼のシンボルを引きずり込もうとしている。 はずみで彼の精の源が、ネリスの胎内に呑み

こまれた。

 「ひっ……ひっ」

 ヌルヌル、ヌメヌメ……

 精の源にもネリスの秘所が纏いつき、ヌルヌルした襞が渦を巻く。

 「と、蕩けそうだぁ……」

 ”イイノヨ……蕩ケテ……蕩ケテ……溶ケテ……私ノ中ニ……”

 ダイルの頭の中に妖しいネリスの囁きが響き渡る。 腰に加わる妖しい快楽の中で、ダイルは朦朧としながら応えていた。

 「いく……いく……蕩けて……お前の中に……」

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