ヌル

第ニ章 伯爵(5)


 あ……

 う……

 密やかな声を合図に、伯爵と夫人の動きが止まった。

 「……」

 伯爵は息を吐きながら夫人の脇に横たわり、ふと壁に目をやった。 茶卓のランプが照らし出す自分と夫人の背中の影が

ゆったりと上下し、波の様に見えた。

 (海か……彼女達は無事だろうか……)

 自分たちの身代わりになった、シスター達の事を考えていると、隣に横たわる夫人が身じろぎをした。 伯爵は、彼女の髪を

手ですくい取るようにして肩から胸を、やさしく撫でる。

 「疲れたろう」

 「いいえ……」

 意外に元気そうな声がして、豊かな胸が彼の腕に押し付けられ。 夫人は、幼子が甘えるようにそのまま伯爵の体にすり寄っ

てくる。

 「……」

 伯爵はそっと笑みをかみ殺すと、夫人の求めに応じるべく己を奮い起こした。


 「うぉぅ……」

 護衛士のティンガはやや間抜けな声を上げると、彼の下にいるメイドのクララの中に男の情熱を放つ。

 「あん……」

 そのクララは、ティンガの腰を細い脚で抱え込んだまま身をくねらせてよがった。

 「ど、どうだ……」

 そろそろ『若い』と言う言葉が似合わなくなるティンガに対して、クララは下手をすると『幼い』似合いそうな風貌だったが、服を

脱いだ彼女は脱皮して大人になったのかと思うほどのプロポーションと色気を発しており、ベッドの上ではティンガが防戦一方に

なるありさまだった。 小娘に手玉に取られたら男の沽券に係わると、意地になって奮闘したが、引き分けに持ち込むのが精い

っぱいだったようだ。

 「ふぅ……ふぅぅ……」

 息を吐いてクララを解放しながら、ティンガはクララの脇に身をしずめた。 力んだせいか、やたらに体が重くてだるい。

 「うふ……終わり?」

 クララの問いに、ティンガは虚勢を張って応える。

 「こんなもんで終わるか!……しかし、おりゃやさしいんだ。今夜のところはこれで勘弁してやる」

 「そう……あたしは満足してないの……」

 「なに?」

 ティンガが目を向くのて、クララの両足がティンガの足に絡みつくのが同時だった。 再びクララの下半身とティンガ自身が密

着する。

 「お、おい!?」

 「ねぇ……」

 クララの秘所が熱い蜜を吐きだし、さっきまで中で暴れていてたティンガ自身を蜜でぬらす。

 「うぉっ……」

 力を失っていたそれが、みるみる固くなっていく。 同時に、さっきまで感じていた気だるさがいっそう強くなり、体が思うように

動かなくなる。

 「な、なんだこれは」

 戸惑うティンガに構わず、クララは自分の秘所をティンガ自身に摺り寄せた。 途端に熱い蜜を流す少女の秘所が、テラテラと

光る花びらを広げ、固くなった男性自身を咥えて呑みこんでしまう。

 「ううっ……?」

 暖かいなそこにティンガ自身が咥えられると、異様な感触がそこを包み込んだ。 ヌメヌメした無数の襞が彼自身を這いまわり

そしてそこを伝って広がっていくような……

 「な、なんだこれは」

 グチャグチャと、卑猥な音を立てるクララの秘所からおびただしい量の愛の滴が流れ出している。 いや、滴どころではない、

ドプドプと音を立てるクララのそこは、熱い液体をとめどなく吐き出しており、その液体がティンガ自身を伝って彼の股間を濡らし

ている。 たちまち二つの宝玉が熱い液体に包まれてみ上がる。

 「あひぃ!?」

 奇天烈な声を上げ、ティンガが飛び起きかけ。 が、クララの両腕が彼の背中に回り込み、それを許さない。

 「逃げちゃ……いや」

 クララは秘所にティンガを捕まえたまま、器用に太ももの間にティンガの宝玉を挟み込んでこすりあげる。

 「ひゃ、ひゃめれ……」

 「いやなの?」

 「いい……よすぎて……ひぇ」

 ティンガは宝玉が蕩けてしまうような錯覚を覚えていた。 トロトロに溶けかけたソレがクララの愛撫で擦りあげられ、おかしく

なりだった。

 「なって……おかしくなっていいのよ……ほら」

 ドプ……ドプ…… 

 クララの中から、後から後から愛液があふれ出てくる。 溢れた液は、ティンガの腰を濡らし、背中に回り……彼の体を包み

込んでいく。

 「ひゃぁ……こ、これはぁ……」

 「気持ちいい?……もっとよくなるわ」

 クララの足と手がしなやかに動き、ティンガの体に自分の愛液を塗りつけて弄っている。 クララに愛撫される毎に、ティンガの

体はビクビクビクと激しく震えている。

 「あ……ひ……」

 「体が全部、アレになったみたいでしょう……」

 カクカクと、壊れた人形のようなティンガは首を振った。 愛液に濡れたところが、男性自身になったように感じやすくなってる。 

そこをクララの全身で弄られると、猛烈に心地よく、中身が溶けてしまいそうだ。

 「ふふ……そう……蕩けるの……気持ちよくなって……全部」

 クララは熱い息をティンガの顔に吐きかけながら、首の下まで来ていた愛液を、彼の顔に広げていく。

 「ヌ……ヌ……」

 あまりの快感に、舌が回らなくなったらしい。 ビクビクと震え、白目をむいているティンガのの顔を舐めながら、クララは囁く。

 「貴方はもう私の虜……これから毎晩、私たちのところに来て……」

 ガクガクとティンガは首を縦に振る。

 「少しずつ蕩かして……毛のひと筋も残さずに……白い気持ちのいいトロトロにしてあげる」

 恐ろしい言葉を口の端に乗せ、クララは腰を大きくゆすった。 全身ヌルヌルにされたティンガは、人とは思えぬ声を漏らしながら

クララの中に『熱いトロトロ』を放つ。

 「ふふ……いらっしゃぃ……」

 妖しく笑ったクララは、足でティンガの腰を引き寄せた。 ヒクヒクと震えるティンガが放つモノを、一滴たりとも逃さぬように。

 「捕まえた……」

 その夜ティンガが解放されたのは、さらに遅くなってからだった。

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