ヌル

第一章 伯爵夫人(6)


 「おおミリ、お願い。 正気に戻って……」

 子爵夫人の懇願も空しくナメクジの『紐』は彼女の足に絡みつき、ナメクジはそれを手繰るようにして子爵夫人の

足ににじり寄っていく。 足が動かせない子爵夫人は、恐怖の色を顔に浮かべて手で宙を払うが、足のあたりにいる

ナメクジに届くわけもなかった。

 「ミリ?」

 セリアが顔に当惑の表情を浮かべてミリを見る。 ミリもセリア同様に当惑している。

 「おかしいですね。 この子の鞭に巻きつかれたら、身動きできなくなるはずなのですが……」

 ミリはベッドに歩み寄って膝まづき、子爵夫人の足に張りついたナメクジの背を撫でた。

 「……ああ、奥様お可哀想に。 腰から下の感覚が失われているので、この子を感じることができないのですね」

 ミリは悲しげな声で呟いた。

 「ミリ、奥様は大丈夫なのですね?」

 セリアがミリに問いかける。 その様子を見た子爵夫人は、説得する対象をセリアに変える。

 「セリア、やめて頂戴。 あなたもセリアもその恐ろしいモノに操られているのよ」

 セリアは子爵夫人をチラリと見て、ミリに視線でどうするかを問いかける。 ミリはセリアの視線を受け何か考える

様子になった。

 「……」

 逡巡した後、ミリは意を決した様子で立ち上がる。

 「奥様をご不快にするのはミリたちの本意ではありません」

 その言葉を聞いて子爵夫人は安堵の表情を浮かべる。 が、その後のミリの言葉に再び青ざめた。 

 「奥様がご不快にならないように、ミリたちで慰めて差し上げましょう」


 頷いたセリアはメイド服を脱ぎ捨て、下着を外す。

 「あ、貴方たち……」

 子爵夫人は二人の裸体に改めて恐怖した。 セリアの腰の辺り、へそから下が濡れたように光っており、肌と

下着の間で糸を引いていた。 すでに裸体を晒していたミリは首から下がその状態だ。 

 「奥様」 

 近くの声に子爵夫人は驚いてそちらを見る。 服を脱ぐセリアに気を取られ、足の方にいたミリが反対側から顔の

辺りに回り込んできたのに気がつかなかったのだ。

 「ミ、ミリ」

 濡れて光るミリの肌は、近くで見るときめが細かく異様な艶めかしさをそなえている。 こんな時なのに子爵夫人は

その肌に嫉妬を覚えた。

 「奥様……」

 呟きながら、ミリは濡れた腕を伸ばして子爵夫人に迫る。

 「ミリ、やめて」

 弱々しく抵抗する子爵夫人の手を、反対側から近寄ってきたセリアが捕まえた。 動けなくなった子爵夫人の頭を

ミリが胸に抱いた。

 フニャリ……ヌルリ……

 柔らかく滑る双丘に、やや年の行った夫人の頭が包まれた。 子爵夫人は意外に豊かなミリの胸に驚く。

 (この子いつのまに……あぁ……)

 濡れたミリの体からは、かすかに甘酸っぱいにおいが立ち上っていた。

 (いい匂い……)

 意識せぬうちに彼女はミリの『匂い』を吸い込んでいた。 すると、伯爵夫人は心が安らいでいくのを感じた。 恐怖

に荒れ狂っていた心の嵐が徐々に静まっていく。

 「奥様、よい香りでしょう? さぁ、心を鎮めてくださいませ」

 やさしく囁いたミリは、ふくよかな胸の間で子爵夫人の顔を丁寧にマッサージする。 滑って張りのある若い肌が、

曲がり角を迎えた肌に心地よい刺激を与えてくれる。 いつしか子爵夫人の体から力が抜け、ミリにされるがままに

なっていた。

 「ミリ……」

 おとなしくなった子爵夫人の顔をマッサージしていたミリは、今度は上体を夫人に預けるよう抱きついて胸と胸を

合わせる様にし、体をゆすってマッサージを続ける。

 「おぉ……」

 柔らかい乳首が夫人の乳首に赤子のように吸い付き、柔らかく吸って引っぱり、揉みほぐす。 その動きを感じて

いると、夫人の心にふわふわした暖かいものが生まれてきた。

 「まぁ……どうしたことかしら……こんな気持ちはじめて……」

 うっとりと呟く夫人の反応を顔で確かめながら、ミリは手で彼女の神秘をそっとまさぐっていた。 夫人は気が

付いていなかったが、ナメクジは彼女の神秘にたどり着いていたのだ。 しかしナメクジは夫人の秘所にそこに端を

入れたものの、先に進む事が出来ずにいた。

 「……」

 ミリはナメクジの端と秘所の間に指を滑り込ませ、夫人の神秘の珠を弄ってみる。 ふつうならば『女』としての

反応があるはずなのだが、夫人の秘所は何も感じた様子がない。 腰から下の感覚がなくなっているので、『女』の

機能が失われているのだ。

 (奥様……お可哀想に……)

 ミリは心の中でつぶやくと、自分の腕に意識を集めた。 するとミリの腕を濡らしている粘液が量をまし、腕を伝って

指先へと流れだした。 ミリの粘液がナメクジと夫人の秘所をしとどに濡らす。

 (さぁ、お入り)

 心でつぶやくと、ナメクジはそれが聞こえたかのように蠕動し始めた。 ミリの粘液が潤滑剤となり、今度はナメクジ

がスムースに夫人の中に潜り込んでいく。

 (いい子ね、さぁ、奥様を……)


 「ミリ……」

 熱っぽい口調で夫人が呟いた。 ミリがそちらを見ると、ほほを赤らめた子爵夫人が何かもの欲しそうな表情に

なっていた。 ミリはためらうことなく夫人に口づけると、彼女の舌を舐めた。

 ン……ンンー……

 ミリの舌が夫人に引きずり込まれそうになりミリの方が慌てる。 引こうとしたミリの体に夫人の腕が巻き付き、

がっちりと拘束してしまった。 長らくご無沙汰だったところに、若い娘の体で慰められた夫人の女に火が付いた

らしかった。 あわててセリアがミリに加勢する。

 あぁ……

 お、奥様ぁ……

 そ、そこを……

 三人の女はいつしか我を忘れ、自らの意思で肉欲に溺れて行く。

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