ヌル

第一章 伯爵夫人(4)


 ベッドに横たわるエリナ、その秘所に張り付いた『ナメクジ』が脈打つたびに、彼女は喘ぎを漏らす。 夜着を脱いだ

ミリは、エリナの脇にひざまづくと自分の下腹に手を這わせた。

 「ん……ふぅ……」

 悩ましげな声を漏らして身をくねらせると、手で何かを掬い取るようなしぐさをし、ゆっくり持ち上げる。 彼女の手は

テラテラと煌めき、その手には月明かりを集めたような『水』が湛えられている。

 「エリナ……」

 ミリは、その『水』をエリナの下腹にゆっくりと注いだ。 『水』は銀の糸のように滴り、エリナの下腹を濡らして女の

陰りへと流れていく。

 「あ?……」

 エリナはいぶかしむような声をあげたが、一瞬のちにはまた表情を緩ませ、甘い喘ぎを漏らす。 その間に『水』は

彼女の秘所に流れ着いた。

 「あ……ぁぁ」

 エリナの喉が動いて大きな喘ぎを漏らす。 しとどに濡れた秘所が、柔らかく動いて口を開いた。 すると、張り

付いていた『ナメクジ』が一方の端を秘所に滑り込ませ、ビクリ、ビクリと大きく震えた。

 「!……あ……はぁぁ」

 エリナは目を大きく見開いて硬直し、次の瞬間にはその口に陶然とした笑みを浮かべた。

 「いいの……きて……」

 エリナの声が聞こえたように『ナメクジ』は濃淡の縞を浮かび上がらせて蠕動しながら、一寸刻みにエリナの秘所

へと潜り込んでいく。 『ナメクジ』が潜り込むのに合わせて、エリナの体がヒクヒクと震え、その口から甘い喘ぎと

快楽の呟きが漏れていく。

 「はぁ……」

 エリナを見ていミリの様子が変わってきた。 体はうすいピンク色にそまり、上気した顔に妖しい笑みが浮かんで

いる。

 「エリナぁ……」 

 ミリはエリナにゆっくりと体を重ねる。

 青白い月明かりの中で、二人の少女は押し殺した喘ぎを漏らし、淫靡な儀式にふける。

 「ミリ……」

 エリナがもとめると、ミリは彼女の口に自分の唇を重ねた。 エリナの唇を自分の唇でそっと開けさせ、柔らかな舌を

エリナの口腔に滑り込ませる。

 チュ……

 ほとんど聞き取れない水音をたて、ミリの舌がエリナを犯す。

 二人の行為を恥じらうかのように月が雲に隠れ、部屋が闇に沈んでいく。


 「……うっ」

 不意にエリナが身を固くした。 彼女からは見えなかったが、その秘所に潜り込んだ『ナメクジ』がついに禁断の

小部屋の扉を叩いていたのだ。 その動きとかすかな痛みが、忘我の淵に沈んでいたエリナの意識を浮かび上が

らせた。

 「……ミ、ミリ?」

 エリナが自分に覆いかぶさっている少女の名を呼んだ。

 「エリナ……お目覚めぇ?」

 甘ったるい声でミリが応える。 その間もミリの体はエリナに絡みつき、体のあちこちをいやらしくまさぐっている。

 「な……なにを……しているの……ぁ」

 ミリを引きはがそうとしたエリナだったが、その体にはけだるい快感が満ちていて思うように動かない。 それに

下腹の中で何かいて、それが動くたびに暖かい快楽の波が体をゆったりと満たしていく。

 「なに……これ……」

 エリナは朦朧としてくる意識をとどめようともがきながら、ミリに尋ねた。

 「いい気持ちでしょう……暖かいお湯に浸っているみたいで……」

 ミリがやさしくささやく。

 「ええ……」 エリナは頷いてしまう。

 「とっても……ああっ……入ってくる」

 『ナメクジ』がエリナの禁断の小部屋に侵入し、彼女の下腹が柔らかく蠢いた。 一瞬表情を強張らせたエリナだっ

たが、すぐに陶然とした表情へと変わる。

 「なに……これ……」

 秘所の奥の奥に甘い蜜が弾けたように、熱い快楽の波が生まれた。 快楽の波はうねるようにあふれだし、彼女の

体を満たしていく。

 「溶けちゃいそう……はぁ……」

 緩みきったエリナの顔を舐めながら、ミリはささやいた。

 「気持ちいいでしょうエリナ。 お腹の中で甘い蜜が溢れていくみたいで」

 エリナは頷いたが、その瞳は宙をさまよっている。

 「たまらないの……私……」

 「そうよ……お腹の中で……あの子が私たちを溶かして……変えていくの」

 ミリは、不気味な事をささやき出したが、エリナはすでにその言葉を理解していなかった。

 「じきに貴方も私と同じなるわ……一緒に気持ちよくなりましょう……」

 「ああ……もっと……もっと……蕩けさせて」

 妖しい睦声をあげて二人の少女は互いを愛し合う。 その秘所から、熱く甘い蜜を溢れさせながら。

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