ザ・マミ

第一章 ミイラ復活(3)


 ふぐうっ!?

 口をふさがれた池煮得太は、自分の顔を掴んでいるミイラの手を両手で掴み返し、引き剥がそうとした。

 しかし、見かけは女の細腕なのに鉄の棒を掴んでいるようでびくともしない。

 じたばた暴れる池煮得太を、ミイラ女はなんと片手で持ち上げ、ベッドに押し倒した。

 はぐをふふぅ!? (何をする!?) 

 ミイラ女は、もがく池煮得太の上半身を右手とひじで押さえ込むと、左手を池煮得太のズボンに滑り込ませた。

 ひゃ!ひゃめろ!?

 池煮得太の抗議を無視し、ミイラ女の左手が陰嚢を包み込むように掴み、手のひらで押しつぶすように弄る。

 ズリュ……ズリュュュ……

 ミイラ女の手の動きが、池煮得太の男の証の中に柔らかい響きを生み、彼の股間を固くする。

 (なんだこの女!? ち、痴女か!?)

 池煮得太が事態を把握できないでいる間も、ミイラ女の手は彼の陰嚢に絡みつくように動き続ける。

 細い指が裏筋をなぞり、皺をつまびき、包み込んで揉みしだく。

 池煮得太のそこは、女の指を逃れるように縮こまり、執拗な愛撫に耐えかねてもがく。 しかし彼には、それが股間が妙にざわつく程度の刺激としか認識できない。

 ひひかげんにひろ! (いいかげんにしろ!)

 池煮得太は怒りを込めて、膝を突き上げようとした。 が、同じタイミングでミイラ女が彼の男根を引き絞る。

 ズヌリ……

 ひぐっ!?……

 熱くネットリとした違和感が脳髄を襲い、意識が一瞬飛んだ。

 ズクリ……ズクリ……ズクリ……

 股間がうずき、イチモツ膨れ上がる。

 突然スイッチが入ったように、こみ上げてくる甘ずっぱい感覚。

 あ……あ…… 

 瞬間、池煮得太はその感覚に酔いしれ、抵抗がやむ。

 その隙を狙い、ミイラ女は膨れ上がった池煮得太自身を解放し、蛇のように体をくねらせて彼の股間に顔を滑らせる。

 ひやりとした感覚に、池煮得太が自分自身に目をやるのと、ミイラ女がそれを咥えるのが同時だった。

 熱く猛る亀頭をなだめるように、やさしく口付けるミイラ女。

 微かに開閉する唇が、敏感な亀頭を縦になぞりつつ、浅く、深く、また浅くとそれと戯れる。

 「やめ……」

 言いかけて口を閉ざす池煮得太と、ミイラ女の視線が交錯した。

 フッ……

 口元だけでミイラ女は笑い、再び亀頭を弄ぶ。

 乾いた唇と濡れた口腔を交互に感じ、亀頭がヒクリ、ヒクリと震え、ひと滑り毎にミイラ女の口は彼の男根を深く咥えていく。

 「……」

 池煮得太は、魔術にかかったようにじっと、その様子を見ていた。 

 女の舌が鈴口を舐め、唇が陰茎をなぞる。 

 彼の男根はミイラ女の唾液で覆われ、テラテラと妖しく光り、ミイラ女のなすがままに震えている。

 かれはそれを呆然と見ていた、まるで傍観者であるかのように。


 ズクリ……

 う……

 重く濡れた快感が背筋を走った。 彼のイチモツが言っている……いきたい、この女の口で……と。

 ミイラ女がさらに深く彼を咥え、時折強く吸う。

 ズクリ……ズクリ……

 うう……

 陰嚢がもがき、男根が震えて彼に語る、何をしている、早く解き放てと。

 我知らず伸ばした手を、ミイラ女の手が握り締めた。 古びているように見える包帯が、絹のような手触りである事に気づいた。


 キューン……

 股間が熱くたぎり、心地よいうずきが背筋を走って脳髄に快楽の波を打ちつけた。

 あ……ああ……

 体が反り返り、熱い奔流がミイラ女に向けて放たれた。

 ヂュ……ヂュュュュ……

 うぁぁ……

 吸われている。 熱い精の迸りが、ミイラ女の口に消えていく。

 彼が放つより速く、ミイラ女が精を吸い尽くす。

 ミイラ女の吸引力が、鈴口を開かせ、尿道の中を禁断の部屋めがけて突進して来る。

 ヂュァァァァァ……

 たちまち干上がる池煮得太の精。 しかし容赦ないミイラ女の吸引は、禁断の部屋の玉を吸い出さんばかりに震わせる。

 ひ……ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ……

 玉は、鈴の中の玉のように震え、池煮得太を絶頂のさらにその上に押し上げた。

 甲高い声でよがり、体を硬直させて池煮得太は終わらぬ絶頂の中をさまよい続けた。


 はぁ……はぁ……

 いつ終わったのだろうか。 気がつけば、池煮得太はベッドの上で荒い息を吐いていた、一糸まとわぬ姿で。

 目を上げれば、見知らぬ女が彼に跨っている。 褐色の肌に青い瞳、知的な顔立ちの美しい女だ。

 対照的に池煮得太は惚けた様な表情をしていた。 まるで魂を抜かれてしまったように。

 ニタリ……

 女が笑み崩れた。 ひどく淫らな表情でぞろりと口の周りを嘗め回し、池煮得太の体を跨いだまま、腰を前後に揺すった。

 うひ……

 池煮得太も笑った。 起立したイチモツの先端が、女の秘所ですられたのだ。 

 ヌメヌメした肉の感触がたまらない。

 ギヒヒヒヒヒ……

 およそ知性を感じさせないよがり声を漏らしながら、女は腰をゆっくり落としてきた。

 のたうつ肉襞が池煮得太自身に絡みつき、涎のように熱い愛液を垂れ流す肉壷に呑み込んで行く。

 うひひひひひ……

 下品な声で応じる池煮得太。 濡れた肉襞が男根に巻きつき、激しく摩りあげて来たのだ。

 何の疑問も持たず、女の中で肉欲に浸る池煮得太。

 意思が消えうせた頭の中に、不思議な声が響き渡る。

 ”浸るがいい、この快楽に。 肉も、魂も、すべて精に変え、この体に注ぐがいい。 そして復活させるのだ……我を”

 うひひ……はい……女王様……おおせのままに……

 池煮得太が気がつくことはなかった、彼と彼女がいつの間にか白い大きな繭ののようなものに包まれていることに。 

 絹の肌触りの心地よい繭の中で、魂を奪われた池煮得太は褐色の肌の女と交わり続けた。

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