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23.ベタ…ベタ…


ヌル…ヌメ…リビングに入ってきた緑色の女…どうみても『スライム』…は一体ではなかった。

いくつかの緑の塊がズルズルと入って来ては、リビングを照らす照明の光の中での女の形となり立ち上がろうとし…

よろよろと這いつくばる。

ズリ…ズリ…最初に入ってきた『スライム』女は早々に立つこと諦め、不器用に這いずってエミと『組長グリーン』に

近寄って来た。

「ひっ…ひっ…ちょ…」エミはなんとかして『組長グリーン』を振りほどこうとするがうまくいかない。

「いつシナリオがホラーになったのよぉー!」さすがにこの状況では、興味よりも身の安全が優先するようだ。


ズリリリ… 先頭の『スライム』女が、進路上で気絶していた英一郎を乗り越える。

「…うーん…」英は意識を取り戻し、頭と胸をさすりながら起きて辺りを見回す。 

「…」右側では『組長グリーン』とエミの肉弾戦。 左側からは迫り来る『スライム』女達。その中間で寝ている自分…

英はすばやく立ち上がり、『スライム』女達の進路を開けた。

「いやーどうも、知らぬこととはいえお邪魔しまして。どうもどうも」ぺこぺこと『スライム』女達に頭を下げる。「親分も

お楽しみのようで。粋なボディペインティングなんかしちゃって。憎いねっこの、色男!」

ぺらぺらしゃべりながら玄関に歩いていき。「どうもお邪魔しました」扉をバタンと閉めた。 

表でガチャガチャ車の扉を開けようと努力する音がし、やがて…ジャジャジャッ…砂利を踏みしめる音が遠ざかって

いった。

「…逃げちゃった…」ミスティが呟く。

「ほっ…ほっときなさいあんなの…それより…なんとかして!」悲痛なエミの叫び声。

『スライム』女達はすぐそこに迫っている


ベチョ… ウガッ? ついに一人の『スライム』女が『組長グリーン』の足首を捕まえた。

ジュルルル… ウカカガッ!? 『スライム』女は形を崩しながら、組長の足首から踝、腿と昇ってくる。

さすがに気持ち悪いのか、腰の動きを止め足と左手をぶんぶんと振り回す『組長グリーン』。

(よし…)エミは『組長グリーン』の隙を見逃さなかった。 ソファにかけた手をぐっと引いて、体ごと前に倒れる。

フゴッ!? 『スライム』に気を取られていた『組長グリーン』はバランスを崩し、エミの背に倒れこむ。

「んっ!」エミは気合を込めて腰を後ろ上に突き上げた。 エミの脚力は、彼女の体を一跳びで屋根に運べる。 エミの

ヒップアタックは、狙い通りに『組長グリーン』を後方に弾き飛ばした。

ドボッ… グボッ! 『組長グリーン』は『スライム』女達の真ん中に落ちた。

ヌヌヌヌヌヌッ… 『組長グリーン』に取り付く『スライム』女…エミが『ヘチマ』と称したイチモツを胸に抱え込み、一瞬で

胎内に収めてしまった。

ウグッ!?…グッグッ…グフフフッ… 『組長グリーン』は『スライム』女を跳ね飛ばそうというのか、思いっきり腰を振り

出した。

リビングの床の上で仰向けになったまま、『ヘチマ』を帆柱のごとくつき上げる『組長グリーン』に半透明の『スライム』

女が跨って、ヘナヘナと体を揺する。

『ヘチマ』は『スライム』女の頭の中まで達しているが、『スライム』女は気にした様子もない。

フグ…ウググッ… 『ヘチマ』に緑色の肉襞や触手や繊毛やらが総動員で纏いつき、カリを這いずり、鈴口を刺激する。

ウゴッ…グヘヘッ…フンガァ…アゥゥゥ… 『組長グリーン』は怒声と喘ぎ声を交互に上げるのに忙しい。


そこに残りの『スライム』女達が一斉に絡みつく。

グチョ…グチョ… 『組長グリーン』の手や足に纏わり突いて動きを止め、緑色の長ーい舌を出してその全身をベロベロと

舐めている。

フンヌ?…フグッフグッ… 『組長グリーン』は程よく冷えた舌の愛撫に体を慄かせる。

『組長グリーン』が顔、胸、脇の下、手足の指、所構わず嘗め回されるにつれて、『ヘチマ』がビクンビクンと震えだした。

ビュク…ビュクンビュクン… ついに亀頭から緑色のドロリとした液体があふれ出す。

アァァァァ… 『組長グリーン』に跨っていた『スライム』女が歓喜の呻きを上げる。

ビュクク… 迸りが止まると同時に女の形が崩れて流れ、『ヘチマ』がむき出しになる。

すかさず別の『スライム』女が少し小さくなった『ヘチマ』を呑み込む。

ウグゥゥ… ヌッチャ、ヌッチャ… 粘る音が再び戦いのリズムを奏で始めた。


「うわー…グチャグチャ…」ソファの背に肘をついて、ちゃっかり高みの見物としゃれ込んでいるミスティ。

「何を人ごとみたいに…」ミスティの頭のすぐ下でソファにへたり込んでいるエミ「つ…疲れた…」

「人ごとだもん」あっさり言い放つミスティ「とにかくコーモリ女ちゃんは助かったでしょ♪」

エミはミスティを横目で睨んだ。「結果的にはね…」


エミは視線を『スライム』女達に向けた。ズルズル…普通の女性なら悲鳴を上げかねないその姿に、いたく興味をそそら

れるようだ。

(這いずっているのは立てないからかしら?興味深いわぁ)

「ねえねえ〜」ミスティに声をかけられ、エミは我にかえる。

「いけない。こんな事やってる場合じゃなかった」自分の頭をこんこんと叩いて『諸悪の根源』に向き直る。

「どうやら貴方が呼び出したらしいけど…何よあの『スライム』娘達は…」エミが尋ねる。

「詳しく言うと『ミストレス』おば様が…」ミスティの言葉をエミが遮る。「簡潔に」

「ぶぅ」不満そうに頬を膨らませミスティ。「…知り合いの魔女の作った『魔法ロボット・メイドの試作品』かな?…」

ミスティはエミに媚薬3号と『可塑性擬似生命体素材試作9号』を誤って混ぜたら『アレ』が生まれたこと。 そして

『可塑性擬似生命体素材試作9号』は人間を襲って精気を吸う性質があると告げた。

「もっとも失敗作なんだけど…」ミスティが続ける。

「失敗?…」不安げな口調で聞き返すエミ。

「うん、9号は制御不能だったの」肩をすくめるミスティ。

「制御不能って、貴方…じゃああの子達は貴方の命令じゃなくて…」

「はーい♪勝手に動いてまーす♪」

「…『組長グリーン』はどうなるの?」詰問口調になるエミ。

「知ーらない♪」無責任なミスティだった。

(…いっそこの娘を今ここで…その方が世の為かも)エミは物騒な事を考えだした。


ファァァ…二人目の『スライム』女が絶頂に達し崩れ落ち、三人目が『ヘチマ』に纏わりつく。

最初の『スライム』女は復活し、『組長グリーン』の耳の辺りをペロペロ舐め始めた。

ミスティの言うとおり、止めそうにない。

グゥゥ… 『組長グリーン』が時折不満そうに唸る。 どうも女性上位に攻められているのが気に入らないようだ。


「うーむ、『組長グリーン』、思ったより手強い…頑張れぇ!」ミスティは無邪気に『スライム』女達に声援を送り始めた。

「…頑張ってる…みたい…」ずるずると崩れ落ちるエミ「…」

「え?…」エミに視線を移したミスティはぎょっとした。 彼女の下半身が緑色の物体に覆われている。

「コーモリ女ちゃん?」

いつの間にかエミの女陰に『スライム』女の一人が顔を埋め、舌(?)を体の奥深くに差し込んでいる。

エミの下腹が柔らかく動き、その都度エミが甘い愉悦の声を上げている。

「だめ…溶けちゃいそう…」エミは潤んだ目つきでそう言うと、ソファに寄り添うような形で床に寝そべった。 

ヌラリ… 『スライム』女は形を崩しながらエミの体を這い上る。 そして、エミの女陰に顔を埋める格好で人の形に戻り

二人は69の格好となった。

ハァ… 悩ましい声を上げ、エミは長い舌を伸ばして『スライム』女の足付け根を舐めた。

フルフルとゼリーのような緑色の尻が振るえ、スリットが開く。 蛇のようにエミの舌がスリットに滑り込み、ヒクヒクと

淫らに震えている。

エミの瞳が金色に…弱々しく瞬く。

「ありゃあ…コーモリ女ちゃん?」ミスティの呼びかけにエミが反応しない。

「ねぇ、大丈夫?」

アア…イイノォ…

「ありゃ…まっいいか」冷たく言い放ち、エミに背中を向けると自分の携帯電話を捜し始めた。


成り行きと勢いで共闘を張っていたが、ミスティにとって彼女は只の行きずり人…いや、コーモリ女でしかない。

(生意気にミスティ色々言ってたくせに…ミスティを怒鳴って、置き去りにして、油親父の前に放り出して…)

ムカムカムカ… 考えていたら段々腹が立ってきた。 

組長達の荷物を乱暴にかき回す。

ゴロリ… 弾みで転げ出た酒瓶が、ミスティの足にぶつかった。

「そうだ、これで一発殴っとこう♪」

ミスティは酒瓶を取り上げると、エミ達のそばに戻る。 エミを殴ろうとしたが、彼女に覆いかぶさっている『スライム』女の

尻が邪魔だ。

「えーと…えい、面倒くさい」適当に酒瓶を振り下ろす。

ドムッ… スライム女の尻で酒瓶が弾んだ。「もぅ!邪魔!…あれぇ?」

『スライム』女の背中が盛り上がり、頭、肩、腕が生えてきた… 背中から、第2の上半身を生やした『スライム』女が

ミスティを睨む。

「なによぉ…きゃっ」『スライム』女はミスティの手から酒瓶を引っ手繰る。 ゴン! それでミスティの頭に軽く一発。

「あ痛ぁ…何するのよ!」ミスティはお返しとばかりに、拳骨で『スライム』女を殴る。 ポカ… 小さな拳が緑の頭で

弾む。 

すると『スライム』の第2の上半身からさらに手が2組生えた。 そして3組の手でミスティをポカポカ殴る。

「あいてて…3倍返しはひどいよぉ…」

怒ったミスティは『スライム』女から酒瓶を取り戻し、力いっぱい振り下ろそうとして…また殴り返されるだけだと思い

止めた。

(うー…お?…) タプン…中身が入っている。 ミスティは深く考える事なしに半抜きのコルクに手をかけ、スポッと

抜いた。

「これでも食らえ!」中身を『スライム』女の顔に浴びせた。 緑色の顔を赤い雫が滴り落ちる。

『スライム』女はペロリと舌を出し、顔を流れる雫を舐めた。 そして手を伸ばすと再び酒瓶を引っ手繰る。

「きゃっ!」 中身をかけ返されるかと、ミスティは思わず手を上げて顔を守る。 

しかし『スライム』女はそうしなかった。 ビンを咥えると、上を向いて一気にあおる。

グビッ…グビッ…グビッ… ウッパーッ… 中身を一気に飲み干すと、空になったボトルを床に落とす。

ヒック… 『スライム』女は一度げっぷをした、緑色の顔が見る見る赤みを増していく…

「ありゃ…」ミスティが驚きの声を上げた。 『緑スライム』女が『赤スライム』女に変わってしまった。

ヒック… 気のせいか少し知的な感じなった『赤スライム』女…微かにワインの香りを漂わせている。

フラリフラリと体を揺らしていた『赤スライム』女は、ぴたっと動きを止めるミスティをじーっと見る。

「…?」

ジャーマネン〜!!…キャッハハハハ! 


ミスティはぼそっと呟く。「ベタベタ…」

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