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6.ウォーミングアップ2:まじめ君 VS 『悪いお姉さん』


少年は、まじまじと「ソレ」を見つめた。

白く大きなお尻の真中から黒い蛇の様に垂れ下がるそれは紛れもなく尻尾。 常識的に考えれば、作り物かアクセサリーなのだが…

じっと見ていると、それは左右に揺れた…彼をからかうように。

「気になる?」「えっ?」

気が付けば、エミが首だけでこちらを見ていた。

「女性のお尻をそんなに見つめて…悪い子」

慌てて首と手を振る少年。

エミは微笑みながらこちらを向く。 今度は女性の陰りが視界に入ってきた。

「わっ!」赤くなったり、顔を手で覆って…指の隙間から覗いたりと忙しい。

「ね…見て」エミはそう言って手を広げた。 白い女体が午後の陽光に晒されて輝く。

「きれい…です」と言った少年は、屋上にへたり込んだままエミを眺めるのみで動く気配がない。

(?…ああ…)エミは心の中で頷いた。 どうしていいか判らないのだろう。


エミは少年をのからだをまたぎ、ゆっくり腰を落としてきた。 そのまま彼をクッションにして、鳩尾の辺りに座り込む。

(くっ…)予想外の重みに少年が微かに顔をしかめる。

「重かった?」エミが気遣うと、少年は首を横に振った。 女性は体重を気にするものだと思っていたからだ。 エミには見透かされていたが。

ふっ…エミは微かに笑って、腰をゆっくりと細かく前後に動かす。

(あ…)お腹のあたりで暖かく柔らかいものが動くのが判る。 (これが…「アレ」…)

ヌルリ…ヌルリ…滑るそれが、若い腹筋に吸い付く感触がする。

(ここに…入れるんだ…)そう思うと、ズボンの中で大事なところが震えた。


エミは腰を動かしながら、両手を少年のズボンにかけた。 背中に目がついているように、後ろ手で(尻尾も使って)器用にズボンをずり下げていく。

ヒュウ…大事なところに風が当たる感触。 肌寒さに亀の頭が首を竦める。 

するとエミの尻尾が慈しむようにそこに巻きつき、鈴口を先端が擦り始めた。 尻尾に元気付けられ、再び亀頭が鎌首を持ち上げる。

「…なにか…あん…巻きついて…」息を荒くしながら少年が言う。

エミはそれには答えず、腰を前後させる場所をジワジワずらしていった。

ヌルッ…ヌルッ…淫らな口が涎のように滑る液体を滴らせつつ、無垢なモノを狙うように近づき、亀頭は尻尾に絡め取られたままヒクヒク震えた。


エミは一度動きを止め、少年の手に自分の手を重ねた。 思わずエミの顔を見上げる少年。

エミはニコりと笑う。 次の瞬間、ズルリと腰をずらす。 固くなった少年自身は、柔らかな肉の洞に一気に滑り込んだ。

「!」ノ…ノノノノノ…

亀頭のエラがエミの肉襞の数を数え、愛液の洗礼を受ける。 一瞬の間があって、エミの秘所が少年の形を写し取るように締め上げた。

「うっ…くっ…し…締まる…」

キュ…キュゥッッッ。 熱い肉に絞られる感覚は不快ではないものの、快感と言うには程遠い。 しかし、女の人の中に始めて入ったという思いが

少年を激しく興奮させる。

はっ…はっ…熱い息を吐いて、股間に神経を集中しエミを感じ取ろうとする…そうしなければいけないと思っていた。

「力を抜いて…」エミに言われて、少年は何となく恥ずかしくなった。

言われるまま、腰の辺りの力を抜いてみる。 と、イチモツがヒクヒク脈打つのが感じられた。 

トクトクトクトク…チュ…チュ…チ…チ…

(…)脈打つ亀頭のエラが、熱い肉襞と微かに擦れる…擦れる…

チ…チッ…チチ…は…はっ…はっ…はあ…

擦れる毎に亀頭に微かな甘い疼きが生まれる。 その疼きに震えるイチモツ… それが新たな疼きになり…

ヒク…チチ…ヒクッ…チチ…ヒクヒクヒク…

ああ…あ…あああ…ああああ…

イチモツが震える…別な生き物のように。 エミの中の心地よさに気がつき、勝手に動いて壁に頭を擦り付ける…何かを貪るように。

「ああ…だめ…止まらない…」

そう言いながら身を捩り出す少年、イチモツが暖かく気持ちいい所にいるのに上半身が寒くて寂しいのだ。

エミはそれがわかるのか、押さえていた手を離して少年の背中に差し入れると一気に引き寄せた。

「ふぁ…」

エミの胸に抱きとめられると、少年は大人しくなった。

ふくよかな胸に顔を埋めているとエミしか見えない。 息を吸えば甘酸っぱい女の匂いが肺を満たす。 背中にまわされた女の腕が自分を捕まえ

腰に女が脚を絡めている。

(捕まっちゃった…ああ…) 奇妙に安らかな気分になる。 このまま彼女にされるがままになっていればいいのだと…


エミは少年を抱きすくめ、細かく腰を動かす。 少年の性器は固く膨らんでいくにつれ、むしろ感覚が鈍くなっていくようだ。

(?…)   戸惑う少年。 そのうち、からだの芯に撫でられるような感覚が生まれてきた。

(なんだろ…)ぼんやりとそれを見定めようとする。 それはゆるゆると背中を上ってきて、頭の中にトロトロと溢れる。

(体が…冷たく…) ボーッとしてそれに浸っていると。 冷たいと思っていたものが、甘い暖かさに転じた。 

(うわぁ…体が…蕩けて…蜂蜜みたい) 蕩ける感覚が全身を満たし、少年は陶然とした表情になった。 

「いいよぉ…」

「アハァ…イイ…アタシモ…」

エミの声が不思議な響きを帯びる。 淫靡な響きを帯びた声を聞いていると、逆らえなくなり、そしてエミに喜んでもらえる事がたまらなく嬉しくなる。

「もっと…感じて…好きにして…ボクをお姉さんのものにして…」

「チョウダイ…イッパイ…」

「はい…あ…ああああ」少年が応えると、彼の体はエミに命じられるままに。

ヒク…ビクビクビクビクビクビクビク…

イチモツが甘い疼きに震えつつ、粘る液体の形で精気をエミに捧げる。 エミの体がソレを貪るように呑んでいるのがわかる。

喜びに震える女体。 その動きは少年の体に快感を、そして心に深い喜びを刻んでいく。

「嬉しい…」


ヒクヒクヒクッ…精気の放出がゆっくり止まる。 エミは彼を抱きしめたまま動きを止めた。

と、その背中から黒いマントが翻るように二枚の翼が現れた。

エミは翼をゆっくり動かしてみてから少年を離し、そっと横たえた。

少年は朦朧となりながら、エミの体に黒い翼、角、尻尾があるのを見た。 それは悪魔とか呼ばれる類の者の姿に見えた。

再び少年に顔を寄せるエミ。 長い舌が蛇の様に伸びて、耳の穴をチロチロと舐める。

(…)ひどく疲れて思考ができない…このまま続きをされたら命が…だが、不思議と恐怖が湧いてこない。

観念したように目を閉じる少年。

(これは夢よ)

え…少年は目を開いた。 疲労で目の焦点が合わないのかエミがぼやけて見える。

(これは夢よ…いいわね…)

舌が耳の中で囁く。 少年の意識が抵抗するが、エミの言葉に逆らえない。 意識が急速に暗黒に落ちて行った。


エミは意識を失った少年の体をチロチロ嘗め回して情事の痕跡を消し、器用に服を着せてやった。

黒いレオタードを着てスニーカーを履き、コートを小さくたたんで腰に縛り付け、最後にウェストバッグをつけサングラスをしまう。

「さて…」呟いてから、意識を失ったままの少年を見た。 幸せそうに寝息を立てている。

エミは自分の手首を見た。 悪戯っぽく笑うと、少年に近づいてその上に屈み込み彼の手を取る。

「有難う…」


傾きかけた太陽がエミの影を長くする。 エミはかろやかに屋上の上を走り抜け、縁を気って宙に身を躍らせた。

体が軽くなる感じがして、翼が風をつかまえる。 尻尾を振ってバランスを取り、二度羽ばたくと目的地を目指した。


カァ…ん…

少年はカラスの鳴き越えで目を覚ました。 寝ぼけ眼で空を仰ぎみると頭上をカラスが旋回している。

辺りを見回せば、山の稜線に日が沈もうとしている。

「わっ! いつの間に寝ちゃったんだろう!」

(眠気覚ましに屋上へ風に当たりにきただけだったのに。)

慌てて起き上がろうとするが、からたが妙に重い。

手をついて慎重に体を起こそうとして、「それ」に気がついた


「あれ?」左手に細い皮ひもが巻きついている。 それは女性のつけるアクセサリーだった。

少年は細い皮の腕輪をまじまじと見つめた。

顔を近づけて、息を吸う。

甘酸っぱい香りが鼻をくすぐる。

ポトッ…「あれ…」何故か涙が流れた。

少年は顔を上げ、学生服の袖で顔をごしごしと擦った。 

弾みでポケットから携帯ゲーム機が滑り落ち、コンクリートの屋上に音を立てて落ちた。


軽やかな電子音が鳴り、画面に文字が表示される。


『勇者はサキュバスに襲われ、HPを半分奪われた。

 勇者は失神し、サキュバスは立ち去った。

 アイテム「思い出の腕輪」を手に入れた!

 判定:勇者はサキュバスに弄ばれ、少しだけ大人になった…』

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