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3.前座試合:最低男 VS 『コーヒー・ゼリー』


ピーンポーン…

チャイムの音に、『コーヒー・ゼリー』がピクリと動いた。

…もしもーし…蛇の目宅配便です… 戸口の向こうで若い男の声がする。

…留守ですかぁ…留守ですねぇ… 声のトーンが低くなった。

カチャ…カチャカチャ…ガチャリ。

鍵の開く音がしてノブが回り、宅配便のユニフォームを着た若い男が部屋の中に滑り込んできた。 

男は後手でドアを閉める。

「宅配便ですよぉ…荷物の引き取りにきましたぁ…誰もいないなら勝手に引き取っていきますよぉ…なんちゃって…」

男は靴を脱ぐと、箱や袋の散らかる台所に上がりこむ。

「?」 黒い液体の満たされたタライに首を傾げるが、気にするでもなく居間に入る。


「おおっ!」 男は窓際に吊るされた小物干しハンガーを見て歓声を上げた。

黄色い星のついたピンク色のパンティが陰干しされている。

かれはそのパンティに手を…伸ばさずに、散らかった床のガラクタやゴミを掻き分ける。

「洗濯前のやつは…あった!」

こちらは黒一色でレースの縫い取りがあるセクシーなものだ。

「こ…これを履いているのは…うひひ…どんな女だろう…」

男は頭の中で中身を想像…いや妄想する。


ハックチュ…

「ん、寒いか?」ボンバーが可愛いくしゃみをしたタンデムシートのミスティに声を掛ける。

「ううん」セータの上にジャンパーを引っ掛けたミスティが首を横に振る。

ミスティ達は郊外に出て、山間に入ろうとしていた。


「きっとセクシーな美人で…腰がこう…で胸が…お?」 洗濯していない着替えをかき回していた男は、ブラジャーを

見つけて摘み上げた。

「なんだ、Aカップか」がっかりした口調で言う。


ゲッホッ…ゲホホホッ…

「お?風邪か?」ボンバーがミスティを気遣う。「今日はやめとくか?」

「やだ!行く!」ミスティが首をブンブンと振る。

ボンバーは苦笑した。

(むー…なんだかむかつくぅ?…)不機嫌な顔で首をひねるミスティだった。


「まぁいいか」男は手直にあったビニール袋にパンティやブラジャーを詰め込み始めた。

ニュルルル…

「?…!…」

突然足首になにかが巻きついた。 振り向く間もなく『それ』が男を後ろに引っる。

ズテッ…男はバランスを崩してつんのめり、居間の床にうつ伏せに倒れた。

「な…何だ?」驚いて上体をひねる。 足首に黒い紐のようなものが巻きついていて、その先は台所のタライの中に

消えている。

ニュルル…ズルルッ! 「どはっ!!」

さらに一本の紐が巻きつき、男をタライに向けて引っ張って行く。

「な!なんだこれは!」男はてをばたばたさせて、何かにつかまろうとするが、紐がぐいぐいと引っ張るのでその余裕がない。


「ところでミスティ」ボンバーはドライブインに停めたバイクに寄りかかり、コーラを飲んでいるミスティに声を掛けた。

「なーにぃ」

「ミレーヌの所から何か持ち出したろう…か…可塑性…」

「可塑性擬似生命体素材試作10号の事〜?」意外にスラスラとミスティが答える。

「そう、確かそれだ。 ミレーヌがミスティが持ってたのか聞いてくれと言ってたぞ」

「うん。封印してなかったし…何かにつかえないかなぁって…」

ボンバーが顔をしかめた。

「ミレーヌの持ち物で危なくないものがあるのか?だいたいなんだそれは?」

「ミストレスの注文でミレーヌが研究していた擬似生命体だ」答えたのはブロンディだった。

「『用心棒』と『メイド』を兼務できるものを目指していたと聞いている。10号は生まれた状態では粉末状で、液体に

溶くとゲル状の生命体になるらしい」

「液体…」ボンバーは手にもった缶コーヒーに目を落とした。「そんな物作ってどうする気だったんだ?」

「んーとね…おば様の屋敷に来た人間を捕獲できるように、エッチして呪縛する機能を持たせたらしいけど…」


「どわ!?」

黒い紐は次から次に現れて男を絡め取る。 何とか体勢を入れ替えてあお向けになったが、タライのすぐ前まで

引きずられてしまった。

手で紐を掴み、戒めから抜け出そうと引っ張ってみるが、滑ってうまくいかない。

「ウナギか!?この!」

紐の一つに噛み付いた。 紐の見た目は柔らかく噛み切れそうだった…しかし噛んでみると、途中までは歯が立つが

噛み切れないほどの弾力がある

そして、男は味からその正体を知った。

「この味は…『コーヒー・ゼリー』?…んなばかな!?」

とタライの中からニュルリと太目の紐が…と思ったらそれは手の形になった。 人差し指を立てて左右に振り、床に

落ちていた紙袋を拾って男に示した。

「粉末こんにゃく…おお、そうか」男はポンと手をうつ。 「ただの『コーヒー・ゼリー』ではなく『コーヒー・こんにゃくゼリー』…なるほど…じゃない!」

ドタバタと暴れるが、ミスティが心と力を込めて練ったこんにゃくゼリーの『腰』は強力で男は次第に自由を奪われて

いく。

と、一本の紐が男のズボンの前に滑り込む。

「げ!」

ニュルニュルと男のモノ巻きつき摩り上げ始めた。

「ばかよせ!大体こういうシュチエーションでやられるのは女と決まっているだろうが!!」

男の抗議を無視して、『コーヒー・ゼリー』は熱心に男のモノをしごく…しかし今ひとつ反応が悪い。

紐の一つが男の前で『?』の形を作ってみせる。

「コ…コーヒー・ゼリーなんぞにやられたら…お、男の恥だ!」

と、紐が手の形になり『OK』のサインを出す。

ズボリ…

男のモノに撒きついている紐が根元から太くなり…大きな塊になった…と思ったら次の瞬間には人の形…黒い

ゲル状の女性となった。

「おっ?…おぁぅ!」

ゼリー女は男の腰を抱きすくめ、男のモノを口に含む。 ゼリー状の舌が陰嚢にベタベタと貼りつき、粘りつくような

口腔に引きずり込む。

「か…形が変わっただけ…うお…」

ビチャ、ズル、グチャ…

ちゃんと舌の形を作って責めているのか、はたまた中で別なものがイチモツを嬲っているのか、粘る舌やら触手の

ようなものがイチモツに巻きつく感触がする。

うぐ…ぐぅ… 男の息が荒い。 陰嚢の中身まで粘ってくるような感触が堪らない。 男の意志に関係なく男根が

張り詰めていく。

しかし、未知の快楽に体が戸惑い精を放つ事ができない。 

そして、男の心もこの状況を是としなかった。

「こ…この…やられっ放しでたまるか。 そうだ…くらえフェラ崩し!」

男は、腰をぐっと引いて力をため、えいやとばかりに突き上げた。 不意に喉の奥にモノをつき込まれれば、吐き出すか

咽るかだと考えたのだ。 

しかし…

ウニュン!

「ひいゃぁぁ!」

瞬時に女の形が変わる。 頭が腰に、腕が脚に、そして口が秘所に…男はゼリー女と騎乗位で交わり、女の奥深くに

己のものをつき込んでいた。

ギュウウウ…ヌタ…ヌラヌラヌラヌラヌラ…

「あ…あぅあぅあぅ…」

ゼリーで出来た女の秘所はヌルヌルで程よく粘りつき、そして涼しい。

カリに吸い付き、亀頭を舐め上げつつ、奥に引き込んでそこでヌラヌラと責め上げる。

ゼリー女に飲み込まれたイチモツは熱くひくつき…そし適度に冷やされてゆっくりと中に粘るような快感が塗り込め

られていく。

男は股間に力を込め、防戦にまわった。

するとゼリー女は、タライに残っていた部分を上半身の形に変え男に抱きついてきた。

冷ややかなゼリー状の女体の抱擁に男の体が震えた。

ゼリー女は男の胸に吸い付き、舌で乳首を舐める。右手を伸ばして男の口に人差し指を差込み…それが舌となって

男の口を舐めまわす。

女の腰は男の腰に密着し、足はありえない形で男の両足に絡みつく。

そして女の全身がブルブルし細かく震え、男を異次元の交わりへと誘う。

(う…う…?)

体の自由が利かない…女のように自分の中身がゼリーになっていくようだ…

(変だ…でもいいぞ…これは…)

ヌラヌラヌラ…体の中で快感がうねり、のたうち…やがてそれが熱く粘ついてきた…

(あう…い…く…)

ビュク…ヌックン…

(ほう…)ドロリとした…気持ちのよい物ものが出て行く…ゼリー女ビクビクッと振るえた。

男の体がその動きに促されるように『何か』を吐き出していく。

ヌクン…ヌクン…ヌクン…

ビクリ…ビクリ…ビクリ…

男の体と黒いゼリー女の体が同期して、激しく震える…そして死んだように動かなくなった…


「10号は自我がない?…」ブロンディがしまったと言う顔になった。 

それではブロンディが『コーヒー・ゼリー』に何を言っても無駄だったと言う事になる。 ミスティが続けた。

「メイドをやる為の判断力程度で、自分から何かをするだけの自我はない…はずだったらしいけど」ミステイは言葉を

切った。「エッチして人間を捕まえると…自我が生まれるって言ってた」

「自我が生まれる…となるとやっぱり…」ボンバーが言った。

「自己保存を考えだして…逃げ出すか」ブロンディが受け、小声で呟く。「ふむ、ではミスティを送った後で…いや…」

だが、結局ブロンディ達が『コーヒー・ゼリー』の後始末をする事はなかった。


男が目を開く…ぼんやりと自分を見つめる黒いゼリー女を見つめる。

「…ツヅキ…」「あ?…ああ…」

女はタライに戻り男を誘う。 男はフラフラと立ち上がり、服を脱ぐと腰をタライにつけた。

ゼリーは女の頭、手、秘所を形作って男の体を撫でまわす。

男は呆けたような表情で女にされるがままになり…粘るような快感に浸りきり、代わりに何かを奪われていく…


キィ…

ミスティの部屋の扉が開き、宅配便屋の征服を着た男が出てきた。

両手で大きなピンク色のタライをささげ持ち、フラフラとした足取りで階段を降りると、宅配便の車にタライを積み込んだ。

そして車は走り去った。 何処ともなく…


ミスティの部屋には一通の便箋が残されていた。

「創造主の姉ちゃんよ、おれっちはあんたのおやつとして生をうけたけどもよ。喰われるのはやっぱりやだけんね。とんずらさしてもらうわ」

この『コーヒー・ゼリー』がその後どうなったか…それは別な機会に語られるであろう。


判定:コーヒー・ゼリーの完全勝利

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